北岳    山梨県 3193m 百名山      
      

2017年6月23日(金)

 前回の富士山から、しばらく間が空いてしまった山歩き。さて次は何処に行こうかと思案していると、たまたま南アルプスの奥座敷、広河原へのアクセス解禁の記事を目にした。久しぶりに北岳も悪くないなと思いつつ、さらに調べると、24日(土)には開山祭が催されるとのこと。当日は激込み間違いないので、その前日、つまり解禁初日に北岳を歩くことにした。

 目論見通り比較的静かな山歩きが楽しめた半面、シーズン初めでトレースの無い大樺沢の雪渓で、とんだルートミスを犯して大汗をかかされてしまった。

 芦安5時15分始発の乗り合いタクシーで一路広河原へ。いつものようにインフォメーションセンター2階で登山届を提出し、三々五々出発していくハイカーに混じって歩き出した。出発時刻は6時15分。予定のコースは大樺沢から、八本歯のコル、トラバース道へと進んで、この時期限定のキタダケソウを鑑賞し、北岳山頂から白根御池を経由して下山するというもの。2年前にも同じコースを歩いている。


梅雨の貴重な晴れ間


 久しぶりの山歩きだが、体調は可もなく不可もなく、まずまず順調に高度を上げて行く。標高2000mを越えると登山道にぽつぽつと残雪が見られるようになってきた。大樺沢を前にすると残雪量は一昨年よりも遥かに多いようだ。二俣への道は大半が雪の下だ。


またやってきた岳



大樺沢



コバイケイソウの緑が眩しい



ほどなく雪渓歩き


 次第に雪渓上を歩くことが多くなったため、12本歯アイゼンを装着。ついでにエネルギー補給をしておく。そうこうしていると、しっかりした足取りでシニアのハイカーが追いついてきた。私より2歳年長のこの方とはその後稜線まで行動を共にすることになる。


振り返ると後続が何人も


 再び大樺沢を登り始めると、右岸近くの雪渓上に白くペイントしたような跡が断続していているのに気が付いた。良く見れば小型車ほどの落石が飛び跳ねながら落ちた痕跡だった。しかもまだ生々しい。あんなのに見舞われたら一たまりも無いだろう。

 右岸沿いは落石の通り道になっているようなので、左岸寄りに進むことにする。しかし、後で考えると、これがコース取り失敗の遠因になったようだ。


調子に乗って雪渓をどんどん直登



バットレスの威容


 雪渓は次第にその斜度を増してきた。そろそろ夏道に合流しても良さそうなのだが、雪渓はまだ上へ上へと伸びている。GPSをチェックすると、かなり右に寄り過ぎていることがわかった。しかも地図に依れば、夏道の支尾根との間に二本の支尾根越えがある。さらに、稜線直下は崖マークになっており、このまま雪渓を詰めるのはリスク大。夏道に向かってトラバースするしかないだろう。

 後続に迷惑をかけるおかしなトレースだけは付けないよう気を遣っていたのに、何たる不覚。私に引きずられたシニア氏も気の毒だ。


雪渓をトラバースし一本目の支尾根(左)へ


 一本目の支尾根を乗越して急峻な雪渓をトラバース。時間こそかかったが、それほど大仕事では無かった。二本目の支尾根に登ると地図通り、正面に夏道の支尾根が見えている。しかし、そこに辿り着くには激藪と急峻な雪渓を越えていかねばならない。覚悟を決めて背丈ほどもあるハイマツを漕ぎ、灌木をかき分け何とか雪渓に降り立った。


八本歯のコルへの夏道 梯子が見えるが手前に急峻な雪渓が。。。


 そこは急峻な上に雪質は最悪だった。膝までの踏み抜きを量産しながら、一歩一歩前進するが、予期せぬ夏山ラッセルに消耗が激しい。ルートミスに気が付いてから1時間20分もの苦闘の末、ようやく登山道に辿り着くことが出来た。合流点は八本歯のコルよりもかなり上、100mほど北岳寄りの稜線だった。


藪を漕いで稜線に出た


 そこで待ち構えていたハイカー曰く、先を行く私達が夏道を外れたので心配していた由。後続は正しいコースを進んでくれたようだ。迷惑をかけずに済んで何よりだった。

 時刻は既に11時を回っている。お花畑のトラバース道に寄り道したいのは山々だが、最終バス時刻までに下山できないかも知れない。今回は寄り道を諦め、山頂へ直行した方が無難だろう。トラバース道へ向かうシニア氏に別れを告げ、先を急ぐ。しかし、急くのは気ばかり。脚は完全に売り切れ状態で一向にペースは上がらない。


山頂はまだ遠いが、、、



キタダケソウに癒される



よく似ているが、これはハクサンイチゲ(葉が違う)



振り返れば間ノ岳は雲の中


 12時15分、ちょうど6時間かけて北岳山頂に立った。バス時刻が気になり、まったりとランチを楽しむ余裕も無く、栄養補給したのみで即刻下山を開始する。ここしばらく山スキーばかりで、下りで楽をし過ぎたようだ。膝が大笑い。足が今一つ山仕様になっていないことを痛感させられる。


今回はえらく遠かった北岳山頂



仙丈ヶ岳


 時間は押しているが、ケガをしては元も子もない。泥濘や浮石に気を付けながら慎重に足を運ぶ。白根御池小屋で小休止しただけで、ノンストップで歩き続け、午後3時45分に広河原に帰着した。


肩の小屋から北岳を振り返る



厳しい風雪を物語るダケカンバ帯



鳳凰三山をバックに白根御池



また来る日まで


 少し遅れて下山してきた青年はトラバース道でお花畑を堪能した由。私はルートミスでせっかくのチャンスを棒に振ってしまった。ちょっと残念だが、人やトレースについて行くだけでは得難い経験をさせてもらったので良しとしよう。


行動時間  9時間30分




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