3193m 山梨県 | |
2013年7月19日(金) このところ何かと野暮用が多くて泊まりがけの山歩きに中々行けない。それに家ではペットの世話も仰せつかっているので、夕刻までに帰宅せねばならないという制約まである。こうした条件で絞っていくと対象の山は、どうしても近場か、高速のアクセスの良いところになってしまう。とは言え、条件から外れてもどうしても行きたい山もある。今回はその範疇の山、日帰りではせわしないのを承知で久しぶりに北岳を歩くことにした。 朝5時30分発の始発バスに間に合うよう深夜に自宅を出発。芦安には午前5時前に着いた。平日というのに登山者用第二駐車場は既にほぼ満杯状態。バス発着場の一段下にある駐車場に空きスペースがあったので、すかさず駐車する。 時間もあるしと、のんびり朝食をとっていると、乗り合いタクシーが5時10分に出るとのアナウンス。慌てて支度してタクシーの列へと向かった。10台程並んでいるが、どれも満員。それでも最後列の車で、何とか最後の一席を確保することができ滑り込みセーフ。積み残された乗客が何人もいたので危ういところだった。 広河原へは小一時間ほど、曲がりくねった林道で揺られる。夜叉神峠を越えると車窓から高みにそびえる白峰三山が見えてきた。抜けるような青空にごつごつしたスカイラインがくっきりと映えている。運転手さん曰く、今日はシーズン中、そう何度も無いほどの「どピーカン」だそうな。 広河原に着くと、タクシーから大勢のハイカーが吐き出され、三々五々野呂川沿いを歩き始めた。私もその一人。時刻は6時10分。野呂川にかかる吊橋を渡っていよいよ標高差約1700mの登山のスタートだ。
しばらく大樺沢左岸を歩いてちょうど良いウオーミングアップになった頃、大樺沢二俣コースとの分岐が現れる。北岳には過去3回登っているが、何故かいつも二俣経由。今回は趣向を変えて白根御池小屋を経由するコースを初めて選んでみた。
分岐からすぐに情け容赦の無い急登が続くが、灼熱の都会から来ると嘘のように清涼な気候。それにジグザグに良く整備された道なので、それほど汗をかかずに済むので助かる。 高度2200m辺りになると第一ラウンドの急登は一休み。しばらく山腹を巻くフラットな道が続いて白根御池小屋へと導かれる。小屋と呼ぶのは失礼と思えるほど真新しい豪壮な造りの山小屋だ。 御池を過ぎると、第二ラウンドの草すべりの急登が始まる。眼下の御池が、中々小さくならないと振り返る都度こぼしながら急坂を喘ぎ登っていると、上から続々と下山者が降りてきた。時間的に見て、朝一番に山頂を踏んで来た人達なのだろう。
途中ダケカンバの疎林ごしに大樺沢方面が眺められるスポットがあった。思っていたよりも残雪が多そうだ。八本歯ノコル経由大樺沢を下山するのが当初の予定。しかし、残雪期必携アイテムのアイゼンやピッケルは今回持ってきていない。大丈夫だろうか。
右俣コースとの分岐を過ぎると辺り一面にお花畑が広がり、思わずため息がもれる。黄金色のシナノキンバイ(多分)が白色のハクサイチゲに混じって群生しているお花畑だ。広範囲に色鮮やかな花々が敷き詰められているのは何とも壮観だ。
こうした花に癒されながら登り続け、ようやく小太郎尾根の稜線に立った。目の前に甲斐駒ケ岳や仙丈ヶ岳が登場。彼方には北アルプスや中央アルプス、それに富士山もくっきり展望できる。
北岳肩の小屋を過ぎれば、もうひと頑張りで目的地だ。休まず歩き続け、10時5分に日本第二の高峰の頂きに立った。目標にしていた4時間を僅かながら下回ることができた。このペースなら午後2時過ぎのバスに間に合うだろう。
大パノラマを一通りカメラに収めて早目のランチタイムとする。山頂には30分ほど滞在し、景色も十分堪能できたのでそろそろ下山にかかる。この時点で帰路をどのルートにするかまだ迷っていたが、駄目元、引き返すことも覚悟で八本歯ノコルに向けて歩きだした。
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