木曾駒ケ岳   将棊頭山    2956m、2730m 長野県  百名山      
      

20146月20日(金)

 今シーズンの夏山シリーズも三回目。そろそろ山を歩いて翌日筋肉痛に悩むことも無くなってきたので、久しぶりにロングウォークにチャレンジすることにした。行き先は、以前から温めていた木曾駒ケ岳から将棊頭山、茶臼山への日帰り周回コース。歩行距離は約20Km、標準CT14時間なのでたっぷり歩けそうだ。

 いつものように深夜自宅を発って夜明けとともに木曾高原コガラに到着。ヒルトップの広大な駐車場の片隅に車を停めさせてもらう。午前450分に行動開始。前回秋に初めて訪れた時には荒廃した印象しかなかったゲレンデ跡は、打って変わって素敵なお花畑。とりわけ紫色のルピナスが群生していてとても見事だ。


             ゲレンデ跡を登る                       茶臼コースは通行できないとの注意書き


 福島Bコースの登山口までは僅かな林道歩き。ポストに登山届を投函しようとすると、何やら注意書きが。何と「茶臼山コースは吊り橋が流され通れません」とある。このコースを下山する予定なのに、延々と周回して帰ってきた最後の最後で通せんぼは叶わない。しかし、ここしばらく大雨も降っていないことだし、水に浸かることを我慢すれば何とかなるだろう。後で幸ノ川を渡る際に水量をチェックしたが、それほどでもないので「いける」と確信。


             新緑の林道歩き                                幸ノ川を渡る


 林道から山道に入ってしばらくすると4合目表示が現れた。もう半分近くまで来たのかと気が楽になる。ところがこの合目表示が曲者、ここからが長いのだ。随分と歩いたつもりなのに次に出てきたのは4合半の表示。いつも思うことだが、合目のカウントアップは、かいた汗の量には比例しない。「散々歩いたのにたった0.5合かよ」と毒づく。その後は合目表示を視野から押しやって黙々と歩を進めるのみ。


             力水に水は無かった                          急坂だが新緑が心地よい


 自ずから視線は足元に。慰めは登山道の岩場に咲き乱れるイワカガミ。可憐に咲く花々を踏まないように気をつけながら歩いていると、いつの間にか7合目の避難小屋の前に出た。ここで小休止。


                  避難小屋                                雪渓が出てきた


 この先、木曾前岳の山腹をずっとトラバースするように路が付けられている。当然、いくつもの小沢を横切っていくわけだが、それが残雪期、それも今回のように人が余り入らないコースではやっかいな存在になる。避難小屋を出発して暫くすると幾つもの雪渓が現れ、登山道を断ち切っている。中にはかなりの急斜面のトラバースを強いるものもあって緊張させられる。ピッケルを持って来なかったことをいたく後悔するが後の祭り。


           小雪渓のトラバースが続く                          ルーファイにひと苦労      



稜線にはガス


 慎重に足場を何度も踏み固める作業が加わったので途端にペースダウンしてしまった。そのうち夏道は完全に消えて雪上歩きとなる。人様のトレースは全く見当たらず、頼りは地図とGPS。主稜線への夏道は、玉ノ窪山荘へとジグザグに登っているが、今は雪の急斜面と化している。しかも雪質は腐ってグサグサ。


雪渓を登る


 持参した玩具のような簡易アイゼンでは足元が安定せず中々捗らない。他に手はないかと上方をよく観察すると雪渓の途中から岩場が稜線へと伸びている。そこを登ることにした。夏道よりかなり左手に寄った雪渓を直登し、雪の切れたところでハイマツに突入。しばらく藪こぎしてから大きな石がごろごろと堆積した岩場を攀じ登る。大汗をかいてようやく稜線に出ると、そこは玉ノ窪小屋より100mほど高みにあった。


            ハイマツを漕いで、、、                             岩場を登る


 後は快適な夏道を歩いて10時ちょうどに駒ケ岳山頂に立った。平日で冴えない天気、はたまたワールドカップ日本・ギリシャ戦と重なったためか、いつもは賑わう百名山の山頂にいるのは私一人。ガスに包まれた静寂の頂きも悪くないが、距離的にはまだ1/3しか消化していない。燃料補給をさっさと済ませて先を急ぐことにする。


             やっと稜線に出た                            駒ケ岳山頂は視界無し



茶臼山は遥か彼方


 馬の背を下って行くと、あろうことか振り返るたびに駒ケ岳を始め周辺の山々にかかった雲がどんどん消えている。何故かいつもこうなる。山の神様も意地が悪い。


          伊那前岳がクリアに見えてきた                        振り返れば駒ケ岳も  



視界はさらに良くなり宝剣岳も


 遭難記念碑を過ぎれば、日本百高山84番目の将棊頭山。しかしどこが頂きかわからないうちに通り過ぎてしまった。西駒山荘は新築工事の真っ最中。職人さん達が何人も忙しそうに立ち働いていた。結局この日、山中で出会ったのはこの方々だけ。登山者と行き会うことはなかった。


               遭難記念碑                               新築中?の西駒山荘


 標高も下がったし、この先もう雪渓は出てこないだろうと思っていたら大間違い。北東斜面にはまだ雪がたっぷり残されていた。雪渓のトラバースには最初の2か所まで、スコップでしっかりステップが切ってあったので助かった。ところが、3か所目に出てきた胸突ノ頭手前の雪渓は、幅があるので力尽きたのか全くの手つかずの状況。


このトラバースにひと苦労


 かなり高度もあり、急傾斜なので、滑落すれば間違いなく痛い目に遭いそうだ。時間をかけて一歩一歩慎重に足場固めをしながらトラバース。やっとの思いで2645mのピークに立つと今度は夏道が見当たらない。地図を見ると夏道はピークの下を巻いている。本日2度目の藪こぎを強いられ、ボロボロになって夏道に出た。

 この先、桂木場への路を別けて行者岩へと向かう。ちなみに今年は桂木場への林道が通行不能でこのルートは使えないらしい。茶臼山で最後の小休止。ここから標高差1300mの一気下り。


             行者岩が見えてきた                            駒ケ岳もすっきりと



                行者岩直下                                 茶臼山



               下る尾根                             最初のうちはふかふかの登山道


 枯れた下草がふかふかした高級絨毯の上を快適に歩けたのは最初のうちだけ。標高が下がるにつれて倒木、落ちた枯れ枝でジャングルジム状態。さらに下ると濡れてツルツルの石が堆積したスケートリンク、最後は障害物がシダ類の葉に覆われて見えないので手探り、足探りの目隠し競争となる。極めつけは正沢川の水泳大会。吊り橋は完全に破壊されて使用不能なので水に入るしかない。後わずかだし、裸足になるのも面倒なので登山靴のまま、じゃぶじゃぶと流れに飛び込む。幸い水は膝までで、難なく渡渉することができた。


            緑を楽しみつつ、、、                       壊れた吊り橋 最後は水浴びで仕上げ


 車に帰着したのは1520分。久しぶりの長丁場だったが、この季節ならではの変化に富んでいてとても楽しく充実した独り遊びの一日だった。但し翌日再び地獄の筋肉痛に見舞われたのは頂けない。私の古びた筋肉は壊れっぱなしで、もはや超回復しないと言うことなのでしょうか。(-_-;)


行動時間  10時間30



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