木曽駒ケ岳  長野県 2956m    百名山
  

2010911

  木曾駒ヶ岳へは千畳敷からロープウェイを使って登るのが一般的のようだ。標高差300mなので2時間足らずで山頂に立つことが出来る。お手軽に3000m近い高山を楽しめるのは結構なことだが、私としてはやはり自分なりの基本原則「汗をたっぷりかいて頂きに到達する」ことに拘ろうと思う。そこで選んだ登山口は千畳敷とは山を挟んで反対側の木曾福島Bコース。このコースを日帰りピストンすることにした。

 自宅を午前2時前に出発。夜が白々と明け始める頃、木曽駒高原CCに到着。別荘地を抜けて木曾駒高原スキー場へと向かう。このスキー場は親会社が倒産したとかで休業中、荒れ放題だ。草ぼうぼうのリフト運転小屋の前に車を停める。登山口としてもマイナーなコースなのだろうか、土曜日でも先着の車は2台だけだ。530分に出発。沢沿いの林道をしばらく歩く。



          木曾駒高原スキー場                            福島Bコースへの分岐



 林道の終点から河原に降りて対岸に渡渉すると、「登山口」と赤ペンキで書かれている。ここからいきなりの急登になるが、道はジグザグで適度な勾配が保たれているので歩きやすい。しばらくして先行していた単独の登山者に追いついた。後にも先にもこのコースの往路で出会った唯一の人だ。四合目の標示を過ぎてしばらく行くと「四合目半力水」との案内板があった。但し水は殆ど涸れていて地面を濡らしている程度。この季節だけかも知れないが水場としては期待しない方が良さそうだ。



               迫力の無い力水                           6合目の標識            



 高度が上がるにつれて御嶽山らしき山容が木々の合間から見えるようになってきた。六合目を過ぎたところが開けていて展望台になっている。ここから見る御嶽山と乗鞍岳の眺望が素晴らしい。さらに一頑張して七合目の避難小屋に着いた。屋根にはソーラーパネルが設置されていている。小屋の内部は清潔で明るく、薪ストーブもあって快適そうだ。小屋脇のベンチに小型のザックが一つデポしてあった。おそらく麦草岳を往復しているのだろう。



         ようやく展望が開けてきた                         七合目の避難小屋




             中は清潔                                薪ストーブまであった



 
七合目から八合目までは山腹を巻いていく緩やかな道だ。但し大きな石がごろごろしていてとても歩きにくい。しばらくすると玉ノ窪山荘が稜線上に見えてきた。稜線までもう少しの辛抱だ。登山路の両脇には、ダテカンバが真っ赤な実をつけて目を楽しませてくれる。それとは別に赤い可憐なみが手の届くところに沢山あった。タケシマランであろうか。とてもおいしそうなので思わず口に入れて見たが、強烈なえぐみでとても食べられたものではない。何でも口にしてしまうなど年はとっても相変わらずバカをやっている。この意地汚さは一生直りそうに無い。次第に勾配がきつくなり最後のガレ場を登りきると玉ノ窪小屋である。ここが九合目だ。尾根筋で遮るものが無くなったので、風が強く吹き付けてくる。強い日差しのなかを登ってきた身には冷たくて心地よい。



            稜線が見えてきた                         とても美味しそうなのだが。。。




         ガレ場を登っていくと間もなく稜線だ                      玉ノ窪小屋



 
小屋を素通りして休まずに歩き続ける。9時55分、人でごった返す駒ヶ岳山頂に立った。頂きは広々しているのにハイカーが群れをなしていて座る場所もない。これまでの静謐な登山路とは何という違いだろうか。中岳への稜線には蟻のように多くの人がぞろぞろと駒ケ岳を目指してくるのが見える。山頂の喧騒はさておきここから眺める360度の展望は最高だ。瓦礫を積み上げたような宝剣岳、熊沢岳や空木岳とその背後に控える南駒ヶ岳等、中央アルプスの峰々は指呼の間。北ア槍穂高、乗鞍岳、御嶽山などの眺めを楽しんだ。南アルプスも見えているのだが、今ひとつ同定できない。



      突如人だらけになった             頂上の社
    


ともかく人また人




茶臼山方面への尾根



宝剣岳と中央アルプスの峰々




麦草岳とバックの御獄山



 
そうこうする間に山頂は益々込み合ってきたので引き上げることにする。復路は麦草岳を経由するルートも頭にあったが、駒ヶ岳山頂から観察する限り、稜線の崩壊が相当に進んでいるようだ。君子危うきに近づかず、下りは往路をそのまま下ることにしよう。新たな発見はないので退屈だ。次回の山行先をどこにしようか等、あれこれ考えごとをしながら黙々と同じ道を下り続けた。途中で大きなストライドで登ってくるトレラン氏と行き交う。登山口が近くなって若者のパーティ数名に出会った。この連中はおそらく七合目の避難小屋泊まりだろう。いずれにしても、このコースで出会った人は十指に満たない。とても静かだし、よく整備されたお勧めのクラシカルルートだ。


行動時間  7時間50分
歩行時間  7時間10分
歩行距離  15.1km
標準CT         11時間50


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