景鶴山BC  群馬・新潟県 2004m       
   

2017年4月30日(日)

 景鶴山は残雪期限定の尾瀬の山。予てより登りたいと思っていた山の一つだ。往復20Kmを越える長丁場のアプローチと、余りスキー向きとは言えないロケーションが難点。これまで二の足を踏んでいたが、今回、群馬のKさんに背中を押されてようやくクリアすることができた。

 午前4時過ぎに道の駅白沢に集合し、Kさんの車に同乗し戸倉へ。鳩町峠へのゲート前にはマイカーで峠に向かおうとする多くの車が列をなしていた。台数制限があるとの事前情報を得ていたKさんは鳩待峠直行を即断念。第一駐車場から乗り合いバスを利用することとした。結局、殆どの車は回れ右を強いられたようで続々と引き返してきた。

 Kさんの判断宜しきを得て、第一便の乗り合いバスに乗り込みスムーズに鳩待峠に到着。それでも最終バスが午後4時30分なので、余り悠長に構えてはいられない。


深い雪の残る鳩町峠


 直ぐに支度をして6時20分にスタート。ハイクアップから始まるのが常なのに、この日は滑降からだ。朝の冷え込みで雪面はカチカチ、ウォームアップ無しなので体も硬い。山の鼻への標高差200mを慎重に滑り降りた。平坦になってからも気が抜けない。川上川にかかる橋には雪がついていたが、下手をすれば雪融け水にダイブだ。ここは安全を期してつぼ足で渡った。


山の鼻へ滑降



カチカチなので慎重に



真っ白な至仏山



川上川に辛うじて残るスノーブリッジ



この橋はスキーを外し歩いて渡った


 GW連休二日目とあって、至仏山荘前はカラフルなテント村になっていた。大勢のハイカーやスキーヤーで賑わうテント場を尻目に尾瀬ヶ原へと歩を進めた。再び川上川にかかる橋を渡った後は見渡す限りの雪原の水平移動となる。


賑わうテント村


 Kさんはクロカン走法を駆使し、リズミカルに足を前後させ、早いペースで進んで行く。クロカンに慣れない私は専ら腕力頼りの手漕ぎボート。凸凹の雪原はまるで波打つ大海原のようだ。


大雪原と燧ヶ岳



これから登る景鶴山の南東尾根が見えてきた


 途中で上ノ大堀川を渡る。橋があっても踏板が無いため、幅20cmほどの鉄骨上をそろりそろりと進む。足裏感覚に欠ける兼用靴を履いていては中々スリリングな渡河だ。


橋の端を渡るKさん


 スタートしてから2時間25分でヨッピ吊橋に到着。この橋も踏板が外されており、渡る距離も長いため神経を使う。スキーを背に両手でワイアーをしっかり掴み、幅10cmの鉄骨上を慎重に渡った。


ヨッピ吊橋を渡る



景鶴山とケイズル沢 右は南東尾根


 無事に渡河を終えたところで大休止。カロリー補給と同時にシールを貼って登りに備えた。そうこうしている間に何人かハイカーが追いついてきた。皆さんシニアながらかなり山慣れたベテランのようだ。使い古したザックを背負い、足早やにどんどん先に行ってしまった。

 暫くは広く開けたケイズル沢の扇状地をシール登行する。斜度が一段と増してきた標高1600m辺りで舵を右に切って沢筋を抜けた。ジグを切りながら山腹を登行。ザラメにシールが良く効いてくれる。


ケイズル沢を登る



標高1600mで南東尾根に取り付く


 標高1800mを越えたところで南東尾根の稜線に出た。目の前に与作岳の展望が一気に開ける。傾斜が緩くなると、そこは景鶴山直下の肩だった。下から眺めている限り想像も出来なかった景鶴山の堂々たるピークが聳えている。


稜線に出ると目の前は与作岳



山頂はもう目前


 山頂からは、既に与作岳ルートから登頂したツアーグループが下山を始めている。狭い雪稜ですれ違いは困難なので、御一行様が通り過ぎるまで待機。その数、20名位だろうか。皆私より年長と思われる元気溌剌のシニアパーティだった。

 スキーは山頂より40mほど下にデポ。後はつぼ足で登り切った。山頂からの滑降に執念を燃やすKさんはスキーを背にしている。山頂到着は11時ちょうど。ここまで鳩町峠から4時間40分。


景鶴山山頂



至仏山 手前は崩落寸前のケイズル沢左俣



尾瀬ヶ原を俯瞰



燧ヶ岳 雪が薄い



隣のピークの方が若干高そうだが、植生を痛めそうなので行くのは止める


 360度の大展望をゆっくり楽しみたいところだが、続々と登ってくるハイカーやスキーヤーで狭い山頂は満員御礼となってしまう。席を譲るため山頂滞在は10分ほどで切り上げ、下山開始。

 ギャラリーの見守る中、Kさんが山頂から無事に滑降したのを見届け、私も続く。ケイズル沢上部はザラメの面ツル斜面で快適だった。標高が下がるにつれ、縦溝が酷くなってきた。飛び跳ねる板を抑える太腿が辛い。


Kさん、山頂より滑降開始



ここの斜度は軽く40度オーバー



ケイズル沢を滑降するKさん



同上



ケイズル沢を滑降する私



同上


 扇状地まで降りると僅かな斜度とザクザクの雪でスキーにならない。山頂から30分かけてヨッピ橋に帰着。再び底抜け橋を渡って帰路に就いた。

 往路で酷使した上腕は使い過ぎて攣る一歩手前。否が応でもクロカン走法を試さずにはいられない。しかし、やれば何とかなるもの。再び約5㎞の道程をスキーを滑らせながら水平移動し、山の鼻へと戻った。


滑降を終え帰途に就く



至仏山にはシュプール多数


 ここからはシールで200mの登り。午後2時50分に鳩町峠に帰着した。行動時間の相当分が水平移動と、これまで経験したBCとはちょっと異質な景鶴山、とても印象に残る体験ができた、、、が、二度目は無いかな。


行動時間  8時間30分



 Map                 Track  Weather  Map
 トップ                山歩き 
inserted by FC2 system