2014年4月18日(土)
週末の晴れ間を利用し、諸先輩のブログを通じて関心のあった柄沢山を歩くことにした。午前6時半、巻機山でお馴染みの清水集落に到着。除雪最終地点の登山ポスト脇に車をとめた。先着の車が既に5、6台。巻機山の陰でマイナーな山と思いきや、とんでもない誤解だったようだ。
この先にも数台が駐車 立派な登山ポスト
7時ジャストに登山届を投函して出発する。暫くは杉林の中を行くが、やがて涸沢川沿いに雪原が開けてくる。沢割れは殆ど見られないものの、細かな起伏がずっと続くため上がったり下がったりが忙しい。
雪原を行く 結構な起伏がある
巨大な鉄格子のような透過型砂防堰堤を左手から越えるとようやく稜線が見えて来た。もう一つの堰堤を過ぎると川幅は一段と狭くなり、左にドッグレッグして行く。
透過型砂防堰堤を越える 左へドッグレッグ
標高1250m辺りで沢は左右に分岐。ここは先行の方のトレースに従って左俣へと進む。ここからがいよいよ核心部。稜線へと続く斜面は首が痛くなるほどの急勾配だ。雪面は緩み始めているのでシールでも行けそうだが、キックターンの下手な私には、ちょっと微妙な感じ。高度に応じてクラストしてくるだろうし、急斜面の途中でギブアップすると、不安定な足場でアイゼンを履き、スキー板を背負わねばならない。と言うことで、安全第一、ここからシートラーゲンに切り替えることにした。
正面の沢を詰める
アイゼンの歯が小気味よく雪面を噛んでくれるものの、やはり胸を突く急斜面の直登は厳しい。シール同様、ジグを切りながら登っていく。ハーフパイプ状の沢中央部にはデブリ跡も見られるので、途中から右手の支尾根に上がった。
振り返ると結構な高度感
柄沢山の山頂が臨めるようになると、さしもの急斜面も一段落、稜線もいよいよ間近だ。右に折れて山頂方向に直接向かおうとしたところ、行く手には一面の根曲がり竹の藪が待ち構えていて、思わぬ藪漕ぎを強いられることになってしまった。結局、ショートカットの目論見は外れ、山頂に背を向けて1809mピークとの鞍部へ転進する羽目に。
前方を行くシール登行のスキーヤー すべすお肌のスロープ
支尾根を登るが、、、 前方の藪に阻まれる
やっとの思いで到着した鞍部にザックとスキーをデポし、つぼ足で山頂へと向かった。ところが稜線の雪はグサグサに緩んでいて何度も踏み抜き、シール登行に換えれば良かったと後悔する。
左から回り込んで山頂へと向かう 山頂に立つ
そんなこんなで稜線を穴だらけにしながら歩き続け、10時50分、山頂に立った。そこには同年輩と思しきスキーヤーがお一人。お話すると、これから東面を滑降されるそうだ。彼は一足先に颯爽と山頂を滑り降りていき、稜線途中の雪庇の切れ間からゴトウジ沢の源頭にドロップしていった。
巻機山に向かって滑り降りたスキーヤー氏
一通り写真を撮り終えた私は、無様にもまた踏み抜きを繰り返しながら鞍部へと戻った。先ほどのスキーヤー氏に触発され、軽はずみにも私もちょっとだけゴトウジ沢を賞味してみようかという気になってしまった。
早速支度をして鞍部から滑り込むと雪面はちょうど良く緩んでいる。ところが、最初の緩傾斜に気を許したのは大間違い。お椀を伏せたように、バーンは先へ行くほどどんどん斜度を増して吸い込まれるように落ちていく。立ち止まるとフィルムクラストがザーザーと凄まじい音を立てて周囲を流れ落ちている。
鞍部から滑り込む まだまだスロープが続くが100mでストップ
標高差で100mほど滑ったところでストップ。初めての山でもあるし、今回はお試しだけにしておこう、、、というのは嘘、実は急斜面の登り返しに恐れをなしたのが本音。足場をしっかり作ってシールオン、30分ほどかけて鞍部へと登り返した。
私のシュプール
風当たりが強いので鞍部でゆっくりはしていられない。周囲の山々に別れを告げ、涸沢源頭にドロップ。10分と掛らずに斜度の緩む沢の出合いまで滑り降りた。その後は消化試合だ。除雪最終地点まではあっという間だった。
涸沢川源頭を滑る 朝には無かった雪崩跡
帰り支度をしていた先ほどのスキーヤー氏に再会し、話をすると登り返しの間中、稜線に連なる雪庇が落ちそうで、気が気ではなかった由。やはりそんな心配の無い鞍部からドロップしたのが結果的に正解だったようだ。
行動時間 5時間45分
後記 柄沢山の山頂でお会いした方は、常日頃、山スキー記録を参考にさせて頂いているアベル父さんだったことが後日判明。やっとご本人にお会いできて本当に嬉しく光栄でした。
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