唐松岳BC  長野・富山県 2696m            三百名山 
 


2017年12月3日(日)

 3シーズン連続となる初冬の唐松岳BC。これまでの戦績は、、、一昨年の初挑戦は強風で敗退したものの、10日後に再チャレンジして見事登頂に成功。昨シーズンは強風に阻まれ敗退。今シーズンは何とか登頂を果たして勝率5割にもって行きたいところだ。

 今回も同行頂くのは群馬のK師匠。夏の間足繁くゲレンデに通い、ピスラボ上でスキー脚とテクニックを鍛えに鍛えているという実に頼もしきお方だ。

 早朝6時30分にゴンドラアダム前の駐車場に集合。先に到着していたKさんの隣に車をとめる。八方ルールに従い、取るものも取りあえずゴンドラ駅に行き、板を置いて順番を確保しておく。ゴンドラの運行開始は8時とのこと。通常は8時30分なので少し余裕ができたことは有難い。


この絶景を眺めながら、



グラートクアッド沿いをハイクアップ


 快晴の空の下、ゴンドラとアルペンクアッドを乗り継いで標高1390mへ。ここから1300m弱をハイクアップすることになる。8時30分、先陣を切ってシール登行開始。振り返れば引きも切らずBCスキーヤーや登山者が登ってくる。

 天気は最高だが体調は今一つ。前日のハクノリの疲れが残っているのか、はたまたこれが実力と言うべきか、上がるのは息ばかりでペースはなかなか上がらない。後続者には次々に抜かれるし、Kさんにも寒い中度々お待たせして申し訳ない限り。


12月初めなのに雪はたっぷり



前を行くスキーヤーや登山者 情けなくもどんどん抜かれてしまう



ひたすら忍の字の私だが、、、



時には大パノラマに癒される


 亀の歩みを続けること1時間30分、昨年の敗退ポイント、下樺尾根との分岐を越えた。2361mピークを過ぎたところでクトーを付けたが、痩せ尾根にクラストした急斜面が現れてシール登行はそろそろ無理。2554mピークの手前でアイゼンを装着し、シートラーゲンに切り替える。ここから主稜線までが帰路スキー滑降する上での核心部となるため注意深く観察しておく。


俗に言う南斜面 まだシュプールは無い



丸山が見えてきた



不帰嶮



2554mピーク手前を行くKさん



主稜線までもう一息 スキー滑降の核心部


 主稜線に出ると剣立山の大展望と引き換えに強風と雪礫の盛大な出迎えを受ける。背負ったスキーを強風に煽られながら鞍部に向かって下降。鞍部から山頂までは標高差100m。山頂直下のクラストした急な斜面を登り切り、午後1時ちょうどに唐松岳の頂に立った。


剣立山連峰の絶景



主稜線を鞍部へと下る



ゆっくり眺めていたいが、、、とても無理



登頂を終え下山してくる人たち 唐松沢へドロップするボーダーもいた



唐松岳山頂で滑降準備する私


 強風吹きすさぶ絶頂では、とても感慨に浸る余裕は無い。記念写真を撮ったらすぐに滑降の準備にかかる。1時15分、例によってKさん先頭に滑降開始。生憎ガスがかかって視界が悪くなっているのが気掛かり。雪庇のある唐松沢側に行き過ぎないよう細心の注意を払いながら、カリカリにクラストした急斜面を横滑りの連続で降りていく。


山頂より滑降スタート モデルはKさん



横滑りでアイスバーンをクリア



山頂からドロップした私


 雪の繋がったところまで下降したところで再び板を担ぎ八方尾根の降り口まで登り返した。さて、下山にかかると、ここからが私の正念場。下手なスキーがどこまで通用するのだろうか。岩峰が続くので急斜面の大黒沢源頭部をトラバースしなければならない。

 Kさんの後について一つ目のトラバースは何とかクリア。二つ目のピークのトラバースはまさに登行時一番の難所と思えたところ。そこにKさんは果敢に滑り込んだが、テカテカに氷化した急斜面で、まさかのエッジ抜け。バランスを崩して10mほど滑落。しかし即座に反応してダブルウイペットのピックを雪面に突き刺し落下を止め、事なきを得た。Kさんには幸い怪我も無く、至って冷静。稜線にシートラで登り返し、何事もなかったかのように再びスキー滑降を続けたのは流石だ。


Kさん滑落現場(手前)はテラテラのアイスバーン



何事も無かったかのように滑降を続けるKさん


 この一部始終を目撃した私は初めから滑降を断念し、板を背に稜線を歩いて降りたのは言うまでもない。Kさんは華麗なショートターンを繰り返しながらどんどん下山していくが、私の方は太腿が既に完全に売り切れ状態。踏ん張りがきかず、疲れて集中力が切れていることもあり、コケなくても良いところで他愛なくコケてしまう体たらく。寒い中、Kさんを何度も待たせてしまった。


雪質が良いと脚に負担かからず楽しい



同上


 雪まみれになりながら八方池山荘まで下山し、やれやれと思ったのは早計だった。半ばモナカと化したシュプールで滅茶滅茶に荒れた斜面とカリカリのコブ斜面が最後に待ち構えていた。この人工的難所を休み休み滑り降りてやり過ごし、何とかゴンドラクローズ前の午後3時40分に兎平に帰着した。

 おかげさまで今日も完全燃焼。達成感も半端ない。それにしても、前日同様、一番にスタートしてしんがりで帰着という不甲斐なさ。何でも歳のせいにしたくはないが、やはり無理がきかなくなっているのかも知れない。悔しいが唐松岳ピークハントBCは今シーズンをもって幕引きかも、、、と弱気の虫を抑えきれないのでした。ともあれ、よれよれの私をサポートして頂いたKさんには大変お世話になりました。大感謝です。


行動時間  7時間10分

Equipment  Voile Supercharger Woman 164cm/Scarpa F1Tr


  
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