観音岳   山梨県 2840m          百名山
 


2019年11月1日(金)

 毎年の恒例行事にしている鳳凰三山巡りの季節がやってきた。青木鉱泉を起点にドンドコ沢を登り、三山を縦走して中道を下山するのがお決まりの順路。しかし、これだと薬師岳から下山した後、青木鉱泉まで疲れた足を引きずり退屈な林道歩きを強いられるのが難点。そこで今回は周回のスタート地点を中道の登山口に変えてみることにした。青木鉱泉まで歩くことには変わりないが、朝一フルチャージの足であれば少しは新鮮味があるだろう。

 暗闇の中、狭くダート区間もある小武川林道の走行にはいつも神経を使う。青木鉱泉からはデコボコが際立ち、一層の悪路となる。速度を抑え慎重運転に徹し、何とか無事に薬師岳登山口に着いた。

 5時25分、ヘッドランプをオンして車を後にする。念のために下山地点を確認しようと暗闇の中道標を探すと、張り紙がしてあった。読んでみると、あろうことか「台風19号によりドンドコ沢は土砂崩れで通行不可」とのこと。この張り紙を見過ごしていたら、危うく青木鉱泉まで下ってしまうところだった。青木鉱泉ルートが使えないのであれば、選択肢は一つ。中道から観音岳をピストンするしかない。

 中道は薬師岳まで標高差1500mの殆どが急登という、南アルプスの典型とも言える過酷な登山道。ドンドコ沢のような名勝の滝巡りがある訳でもなく、展望も無い樹林帯が延々と続く地味で辛いコースだ。


癒しの笹原


 急な坂道を私の経済速度、心拍数130前後を維持しながら登って行く。6時を回り300mほど高度を上げたところでヘッドランプを消灯。標高1700m辺りまで来ると急登は一段落。等高線も緩み、このコース唯一緩やかな笹原だ。こうした癒しの笹原地帯を過ぎると、その先から愈々核心区間、苔むした岩と根っこの急登がこれでもかと続く。



御座石 雨をしのぐこともできそう



薬師岳山頂目前


 御座石で給水と行動食を摂っただけで、休みなく黙々と歩き続け、9時25分、薬師岳の頂に到着。これまでの労苦が報われる大パノラマの御開帳だ。雪化粧した富士山や北岳を初め、南アルプス北部の名峰が圧巻の迫力で出迎えてくれた。


この景色がお出迎え


 山頂は流石に風当りが強い。薄手の手袋だけでは寒さに慣れない手がかじかんでしまいそうだ。ウインドブレーカーを着こみ上半身をガードして稜線漫歩開始。青空の下に広がるパノラミック・ビューを満喫しながら観音岳へと向かう。


観音岳へ向かう稜線


 鳳凰三山の最高峰、観音岳へは鞍部から100mほどの登り。のんびり歩いても30分もかからない。10時ちょうどに観音岳に到着。岩場の狭い山頂を歩き回り、360度の大展望をカメラのメモリーと網膜に刻み込んだ。これで思い残すことはない。後は下山するだけだ。


観音岳山頂から北岳と間ノ岳



富士山をバックに薬師岳



甲斐駒をバックに地蔵岳



八ヶ岳には雪が無い


 帰路、薬師岳の山頂から少し下った陽だまりでランチタイムとした以外は休むことなく中道を下った。12時50分、登山口に無事帰着。今日も良い汗がかくことができた。


紅葉は今一つ


 残念だったのはドンドコ沢。ここは毎年足を向けたくなるほど私のお気に入りコース。そこにも台風19号の爪痕が残されたと知ってショックだった。関係者のご尽力により一日も早い復旧がなされることを祈るばかり。


行動時間 7時間25分



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