金山BC  新潟・長野 2245m       
   

2018年4月3日(火)

 先の昼闇山から三日と空けず、再びKさんと頚城の山に向かうことになった。今回目指すのは昼闇山の目と鼻の先にある金山。直近のヤマレコ山行情報を参考に大倉沢からアプローチ、シゲクラ尾根を経由して山頂を目指すというもの。

 前回同様、高崎からKさんの車に同乗させて頂く。歳と共に夜間の長時間運転がしんどくなってきているので本当に有難い。小谷温泉手前500m、スノーシェッド近くの路肩スペースに車をとめた。身支度を整えながら片道11Kmの長丁場に備えて、しっかりカーボローディングをしておく。

 午前5時25分、板を背に車を後にする。除雪最終地点の雨飾荘までシートラ、その先はシール登行となった。雪道となればどこを歩くのも自由。林道をショートカットしながら大海川沿いをゆるゆると登って行く。百名山踏破に血道をあげている頃、雨飾山に登る際にこの辺りで見かけた水芭蕉の群生を懐かしく思い出した。


小谷温泉を過ぎると間もなくゲートクローズ



雨飾荘からはシール登行



雨飾山を正面に見ながらハイクアップ



大海川の遡行を続ける


 夏道を左手に見送り、更に大海川の遡行を続ける。歩き始めから2時間20分、荒菅沢と黒沢の合流点を通過。この先大海川は大倉沢と名を変える。沢幅は一段と狭く、両岸は急峻な崖となった。全層雪崩が引き起こした土砂交じりのデブリをいくつも越えていく。足元に注意しながらも時々上を見上げる。大きなクラックが入ったまま、辛うじて崖にしがみついている雪塊がいつ頭上に落ちてくるか気が気ではない。


スノーブリッジを渡るKさん



こんなトラバースも もし落ちたら、、、



滝が出ていた



こんなのが彼方此方に



デブリ越えする私



同上



沢割れがどんどん進行している


 スノーブリッジも賞味期限ぎりぎりといったものが多い。左岸から右岸に渡り終わった途端、ボンという破裂音と共に大きな亀裂が入った時は肝を冷やした。

 8時15分、参考にしたヤマレコ記録でシゲクラ尾根に登り上げる地点に到着。この先は崖マークが連続するので、ここしかない取り付きポイントだ。とは言え、上を見れば相当な急斜面、かつ大きな雪割れが見えている。


尾根に取り付く急斜面



四つん這いで登る私


 最初の20mほどをシールで登ったものの、キックターンもままならない急斜面。雪もザクザクで緩み過ぎている。無理は禁物と潔く板を担ぎ、四つん這いになって安全地帯まで登った。Kさんも暫くシールで頑張ったが、結局ツボ足に切り替えてこの難所を乗り切った。


下を見ればこんな急斜面



やっとのことで支尾根に乗り上げやれやれ


 その後は気持ちの良いブナの森をハイクアップする。いつしかザクザクの雪は表面が凍って立派なモナカに変身。帰りの滑降が試練になりそうだ。


ブナの森をハイクアップ



同上



同上


 標高差450mを喘ぎ登るとようやくシゲクラ尾根の稜線に出た。振り返れば布団菱の荒々しい岩稜と雪に覆われた1894mピークが迫力あるコントラストをなしている。


シゲクラ尾根までもう一息



雨飾山をバックに登る私



シゲクラ尾根を行く



同上



山頂までもう一息


 11時45分、6時間20分かけ金山の山頂に立った。ここまで全く姿を現さなかった火打山が満を持してショーアップ。つい9日前に三田原山から眺めた純白で端麗な印象はどこへやら、山頂部分が無残に地肌を曝け出していた。この様子では今年の賞味期限は例年よりかなり短いかも知れない。


山頂から焼山と火打山の展望 早くも地肌がかなり露出


 写真撮影を終えたらお待ちかねの滑走編。当初計画していた大倉沢源頭部はデブリランドと化しているので却下。往路をトラックバックすることに。滑りだすと雪はパックされておりねっとりと重い。一年ぶりに履いた板のせいか、それとも雪質がそうさせるのか、というのは言い訳で、本当はスキル不足なのだが、板がバラけて様にならない。そんな無様な状態でも流石にスキーは早い。山頂から40分ほどで尾根の取り付き地点まで下ってしまった。


滑降スタートしたKさん



雨飾山に向かってKさんのダイナミックな滑り



雪に板を取られ、板がバタつく私



ド迫力の雨飾山



ブナ林のツリーランを楽しむKさん



大倉沢との合流点間近



クラックの隙間を滑り降りる私


 登りに苦労した急斜面は避けて、すぐ隣の小沢を経由することで難なく大倉沢に滑り込むことができた。最初からこの小沢を登路にすれば苦労することも無かった。先人が付けたヤマレコのトラックは参考にしても、最終的に取るべきルートは自分達で判断しないといけないというのが、本日の反省その一。

 その後はスノーブリッジ崩壊やブロック落下に怯えながら気の休まらない大倉沢下り。キャンプ場が見えてきてようやく一息ついた。標高1080mまでスキーで降りた後は再びシートラで道路歩き。午後2時20分に無事小谷温泉に帰着した。


再びデブリとの格闘



試練はまだ終わらない



キャンプ場まで戻ってきた



最後はシートラで林道歩き


 今回参考にしたヤマレコ記録は8日前のもの。それ程大きな状況変化は無いだろうと高を括っていたが大間違いだった。投稿された写真ではデブリ一つ無い美しい渓相が、このところの高温続きで無数の全層雪崩れと危ういスノーブリッジだらけの悪相に大化けしていたのだ。

 衣替えのこの季節、山は時々刻々、日々刻々状態が変わる。やはりそうした状況変化を見込んで計画を立てなければと、本日の反省その二。

 日本各地で最高気温を記録するようなポカポカ陽気の下、難しい雪質への対処や、ヤマレコ情報をどう活用すべきかを学ぶ良い機会となった。Kさん、今回も感謝です。


行動時間  8時間55分 
使用Gear  Dynafit Cho Oyu 158cm / Scarpa F1 Tr


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