2857m 長野県 | |
2018年9月28日(金) 秋雨前線やら台風やらで連日雨続き。列島縦断を窺う台風24号が迫りくる中、この日の貴重な晴れ間を利用しない手はない。向かう先は久々の常念岳。先日安曇野の友人宅を訪問した際に眺めたピラミダルな山容が瞼に残って無意識のうちに手招きしていたらしい。 午前4時30分、一ノ沢の登山者用駐車スペースを後にした。スタート地点の標高は1230m、山頂まで1600mを越える標高差があるので最初は抑え気味のペースで足を運ぶ。ひと頃の猛暑から解放され、汗もかかず癒しの沢音を耳にしながらの快適な登行を続けた。
胸突き八丁からは沢を離れ山腹の急登となる。この辺り、朝日で鮮やかさを増した紅葉が見事だった。重荷覚悟で担いできた一眼レフのシャッターボタンを押すのに忙しく中々足が進まない。 常念乗越では待ち構えていたかのように槍ヶ岳や穂高連峰が勢ぞろいしてお出迎え。雪化粧していないすっぴんの姿を見るのは今シーズン最後かも知れないとじっくり拝ませてもらった。一通り景色を楽しんだ後は、三々五々山頂を目指すハイカーに交じって私も無数の石が堆積した斜面を攀じ登った。
9時5分、常念岳の頂に到着。スタートから4時間35分。同じコースを5年前は3時間45分。回を重ねる毎にタイムは遅くなるが、過去の自分と競っても詮無き事。70歳を目前にして最近は加齢による衰えを素直に受け入れる諦めの心境になってきた。ちなみに「諦」の字には断念とかギブアップとかのネガティブな意味は無く、「悟り」のニュアンスに近いポジティブな言葉だそうな。
登頂したタイミングでは人影も疎ら。祠の裏手にある一番見晴らしの良い場所に遠慮なく陣取って早めのランチタイムとした。眺望は文句なしに素晴らしい。北アルプスの主要な峰々はもとより、雲海上には富士山を初め、中部山岳の名峰が頭を覗かせている。 絶景を十分に堪能。そろそろ後続のハイカーに特等席を譲ることにしよう。後はひたすら下るだけだが、足はまだ十分鮮度を保っていたので少々負荷をかけてみた。と言っても斜度が緩く安全が確認できるところを小走りで下るだけ。疲れたらすぐに止めるつもりが、中年のトレラン氏と張り合うように結局最後までそのペースで下山してしまった。往生際悪し。やはり「悟り」に至るには、まだまだ修行が足りない。前言撤回しないと。
駐車場帰着は12時30分。澄んだ空の下、久しぶりに気持ちの良い汗をかくことができた。 行動時間 8時間 |