常念・蝶ヶ岳    長野県 2857,2677m       百名山
      

2016618日(土)

 鬱陶しい梅雨の最中、貴重な晴れ間を利用しない手は無い。向かう先は夏日の下界とは別世界の北アルプスだ。三股を起点に常念岳、蝶ヶ岳と経由しワンデイで周回するという少々長丁場の山歩き。槍穂の大展望を楽しみながら夏山に備えての体力作りをするのが狙い。

 駐車場の混雑が予想されたので、少し早すぎるかもと思いながら午前
4時に三股に到着。ところが驚いたことに70台は収容できるという広い駐車スペースは既に満車状態だった。運良く一台分の空きスペースを見つけ、すかさず車を滑り込ませたので何とか路駐は免れた。


             駐車場は満車状態                            登山届けを提出 


 朝食、パッキング等、いつものリチュアルを済ませ、
435分に車を後にする。まずは林道歩きでウォーミングアップ。登山センターで届を提出し、登山口に入ると50mほどで常念岳と蝶ヶ岳の分岐が現れる。ここから前常念を経由し常念岳へと至るこのコースは私にとっては初めての体験だ。


           常念岳、蝶ヶ岳の分岐                            笹薮の中の急登


 しばらくは樹林帯の中の急坂を黙々と登って行く。汗をふきふき夢中で歩いている内にいつの間にか周囲が明るくなり、木々の合間からは稜線が垣間見えるようになってきた。


           蝶ヶ岳方面の稜線                           前常念岳への尾根


 陽が高くなるのにつれて虫の活動も活発になってきたようだ。ぶんぶんと顔の周りを飛びまわり、中には「飛んで口に入る夏の虫」もいる。用意しておいた特製のハッカ油スプレーを帽子や首筋にかけると、薬効はあらたか。しばらく虫は寄ってこなくなった。但し効き目は一時間程度しか持続しないので繰り返し噴霧する必要があるのが少々面倒。

 ここまで何人かの中高年ハイカーに追いついたが、その一方で、若いトレイルランナー達は私を矢の様に追い抜いていく。ランナーの中には一見か弱そうな女性もいたりするので、年甲斐も無くつい見栄を張りたくなってしまうのだが、最大許容心拍数が低下する一方の高齢者に無理は禁物と戒め、マイペースを維持して登り続ける。


          石のゴロゴロする登山道                              石室


 やがて登山道は樹林限界を抜け、ハイマツの中の岩稜帯となった。大きな石がゴロゴロして歩き難い道を攀じ登っていく。気息奄々やっと赤いブリキ屋根の石室に着いたが、そこは前常念岳ではなかった。ピークはまだその少し先にあった。前常念岳から先はそれほど大きな高低差も無く楽しい稜線歩きだ。


前常念岳から上演岳山頂を望む


 午前
850分、4時間15分かけて常念岳山頂に到着。3年前にヒエ平から常念小屋経由で登った際と同タイムだった。少なくとも登りに関しては、それほど身体機能のデグレが進んでいないようなので取り敢えず一安心。


            常念岳へ最後の登り                          ごったがえす山頂に到着


 多くのハイカーでごったがえす山頂で
、槍穂の大パノラマを眺めながらのリッチなランチタイム。栄養を十分補給して蝶ヶ岳までの長い行程に備えておく。


槍ヶ岳



穂高連峰



横通岳、大天井岳



蝶ヶ岳方面


 山頂を後にすると
400m近い大下り。途中標高2570m辺りでうっかり道を外して上高地側のガレ場を降りてしまった。足場がかなり悪くて戻るのも大変なので、ハイマツの中をトラバース気味に稜線の登山道へと復帰した。


             どんどん下る                                 まだ下る


 
2480mの最下降点からはアップダウンを繰り返しながら蝶ヶ岳へと登り返して行く。途中の陽だまりにはお花畑の群落があったりして目を楽しませてくれるのが救い。蝶槍へのラスト200mの登り坂は疲れた脚には辛かった。ここでも若いトレイルランナーの後塵を拝すが、もはや対抗しよう等という大それた気は毛ほども起きない。


            常念岳を振り返る                            樹林帯まで高度を下げた



蝶槍までもうすぐ


 蝶槍を越えると、後は緩やかな登り。
1235分に蝶ヶ岳の山頂に立った。ここまでちょうど8時間の道程だった。もうかなり足に来ており、一旦腰を下ろして休むと、再起動が大変だ。立ち上がって歩こうとしても、情けないことに足腰が固まりロボットのようにギクシャクしてしまう。こうした時は潤滑油が回るまで体をゆっくり動かして暖機運転するしかない。ちょっと前までこんなことは無かったのに。。。


蝶ヶ岳が指呼の距離



              蝶ヶ岳ヒュッテ                                 山頂標識



テン場はカラフルなテントで一杯


 
1250分、カラフルなテントで賑わう大盛況の山頂を後に下山の途に就く。途中何人もの足の速いハイカーに抜かれるが、もはやそんなことにはお構いなし。マイペースを守ってゆっくりと下る。


             下山にかかる                            大滝山と三股への分岐


 この時間が三股から登ってくるピークの時間帯のようで、ハイカーの列は引きも切らない。今晩の蝶ヶ岳ヒュッテの大混雑が眼に見えるようだ。

 標高が下がるとともに、白い可憐な花が登山道脇に多く見られるようになった。帰宅後調べると「オサバクサ」と言うのだそうな。登山道沿いに延々と咲いているこの花には随分と元気付けられた。


             まめうち平                                お馴染み ゴジラの木


 足場の悪い急下降するような登山道も標高
2000mを切ると一転して歩き易くなってきた。脚も復活してきたようなので、少しペースを上げ小走りに下山する。水分補給を除いて立ち止まることもなく、三股へと下った。

 車への帰着は午後
335分。標準コースタイム13時間40分、沿面距離19Kmの道程をちょうど11時間かけて歩き通したことになる。静寂とは程遠い喧噪溢れる今回のコース。それでも槍穂の絶景と沢山の高山植物を鑑賞できたことは何よりだった。年々ロングウォークがしんどくなるが、CT短縮率20%位ならまだいけそうなので、この夏予定している南アルプスの縦走に少し自信が持てたことも収穫の一つだった。


見かけたお花


               ミヤマキンバイ                              オオサクラソウ


              シナノキンバイ                               オサバクサ

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