硫黄岳  長野県 2760m   百名山

  
 
20091229

 若かりし頃、毎週のように通った八ヶ岳。40年近いブランクを経て再び冬の硫黄岳の山頂に立つことができた。昔と違って気温や風などの最新情報をネットで確認できるし、何よりも装備が軽量化され随分と便利になった。とは言え冬山自体の厳しさは今も昔も変わりはない。北八ヶ岳と雖も寒気と風は相変わらず凄まじいものがある。

 夜が明ける前に麓に到着できるように午前4時に自宅を出発。中央道の諏訪ICを降りて三井の森へと向かう。しらかば平別荘地周辺から雪が現れ始めたので、滑り止めを装着した。今年3回目なので少しは手際がよくなったようだ。フォレストCCを過ぎ、唐沢鉱泉への分岐から夏沢鉱泉へと向かう。林道の雪が一段と多くなってきた。高度が上がるにつれて路面の雪は更に深くなり、前輪に滑り止めを巻いただけの2WDではちょっとした登り道でも難渋するようになった。桜平まで車で乗り入れるつもりだったが、私の車と運転技術ではどうやらこの辺りが限界らしい。河原木場沢近くの駐車スペースまで来たところでついにギブアップ、ここで車を停めた。隣には雪上車が置いてあるので万一の場合には心強い。外気温はマイナス9度、相当寒そうだ。手早く身支度を終えて歩き出した。当初予定した桜平まで到達できなかったので、夏沢鉱泉まではプラスアルファのアプローチ時間を覚悟せねばならない。


車を置いて歩きだす


 固く圧雪された道を歩いていると、スタッドレスを履いた4
WDのアウディが颯爽と登ってきた。羨望の眼で眺めていると「宜しければどうぞ」とのお誘い、さっそく甘えさせて頂く。これで凡そ1時間は節約できたであろうか。軽がると桜平に到着、ゲートの前に駐車した。ここから改めて歩き出す。後で聞くと夏沢鉱泉の気温がマイナス13度だったそうで雪質は上々だ。きゅきゅと金属性の音を立てながら進む。30分足らずで夏沢鉱泉に到着することができた。一応小屋の主人に声をかけ、挨拶をしておく。


夏沢鉱泉に到着



オーレン小屋へ向けて歩く



 小屋の玄関先のベンチに座ってアイゼンを装着、
825分に登山を開始した。森林帯のなかにはトレースがしっかりついているので楽である。鉱泉では無風状態であったが、次第に風音が増してくる。オーレン小屋を過ぎて一頻り登ると稜線にあるヒュッテ夏沢に出た。ここでストックをピッケルに替えて更に先に進む。爆裂火口壁が左手に迫るように見えてきた。稜線沿いの深い雪の樹林帯を過ぎるといよいよ硫黄岳への急峻な登りになる。風が強いため雪は飛ばされて岩がむき出しになっている個所が多い。


硫黄岳への登り


 耳覆いを万全にし、ネックウォーマーを引き上げて鼻もカバーした。今日はそれほど歩いていないのに足が重い。身に着けた全体の重量がいつもの日帰りよりも重いのと両足のアイゼンも鉄下駄になっている所為だろうか。
11時ちょうどにだだっ広い硫黄岳山頂に立った。360度の大展望は何度見ても感激させられる。眼前に展開する赤岳や横岳のアルペン風の景観が圧巻だ。阿弥陀岳の背後には南アルプスが見えているがどの山か同定できない。この位置からだと甲斐駒ケ岳と鳳凰三山と思われるが角度が変わると見慣れた山の姿が別人のように変身してしまう。北に目を転ずると明日登る予定の天狗岳や先日登頂した蓼科山が見える。雪の量はそれほど多くないようだ。北西方面には真っ白に冬化粧した北アルプスの峰々が屏風のように連なっている。南西に目を転ずれば、中央アルプスが意外に近くに控えている。


横岳、赤岳、阿弥陀岳



北アルプスの峰々



デルス・ウザーラ?



蓼科山と天狗岳



 風が強いのでデジカメで景色を一通り撮り終え早々に下山にかかった。岩と雪の交じった登山道を注意して下る。ヒュッテ夏沢、オーレン小屋と来た道をそのまま引き返し、夏沢鉱泉には午後
1時に帰着した。さっそく記帳して部屋にあがる。それほど利用客の数も多くないので個室が確保できた。到着が早すぎたため温泉も使えない。ストーブにあたりながら小屋の主人から昨今の八ヶ岳事情や高山植物など色々話しを伺った。夏沢鉱泉を通年営業としたのは、5年程前とのことらしい。温泉の用意ができたとのことでさっそく湯につかる。源泉は5Cしかない湯(水)なので沸かしているとのこと。源泉は透明だが、加熱すると赤茶けた硫黄泉となるのが不思議だ。夕食は単独の同年代と男性と若い女性の3人で囲むことになった。お二人とも相当な山経験があるようで山談義に花が咲き楽しいひと時を過ごすことができた。食後部屋に戻りしばらく小説を読んでいたが、9時の消灯を待つ前に前後不覚に眠り込んでしまった。


夕日に染まる北アルプス


飛行機雲も茜色に染まる



行動時間              5時間(夏沢鉱泉から4時間35分)
実歩行時間           4時間30
コースタイム       3時間25分(夏沢鉱泉からの往復)

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