一ノ倉岳BC   群馬・新潟県 1924m            
 


2018年3月17日(土)

 一昨年、初めての芝倉沢は、強風、ホワイトアウトにアイスバーンという冬山三点セットの前に大苦戦。撤退こそしなかったものの、機会があれば是非再訪したいと思っていた。今回群馬のKさんとともに茂倉谷に向かう予定だったが、寒の戻りでハードバーンが懸念されること、それに下部のデブリが凄まじいとの事前情報もあり、より条件の良さそうな芝倉沢に転進することになった。図らずもリベンジのチャンスが巡ってきたことになる。

 午前7時始発のロープウェイで天神平スキー場へ。同じゴンドラに乗り合わせたスキーヤー4人パーティの皆さんは、赤谷川源頭部を経由して万太郎山を目指すとのこと。先週同じコースを踏破したばかりのKさんが、コース状況や注意点など丁寧にアドバイスしていた。

 そうこうしているうちにゴンドラは山頂駅に到着。残念ながら天神峠へのリフトは暫く動きそうにないので、シートラーゲンでハイクアップ開始。硬く氷化した雪面にアイゼンの爪を食い込ませながら天神尾根を目指して登って行く。


スキー場脇をハイクアップする登山者



天神尾根に出た ガスが残っているが天気は回復傾向



熊穴沢ノ頭の下降ポイント


 我々も含め、相前後しながら歩く登山者は例外なく足元はアイゼンで固めている。ところが、驚いたことにガチガチに氷化した斜面をシール、それもクトーも付けずに登行している二人組がいた。フランス人の若いカップルで長い手脚をリズミカルに動かし、歩行ペースは驚くほど早い。やはり本場アルプス仕込みなのだろうか。その後彼等はトマの耳を往復し、万太郎山方面へと向かっていった。


フランス人健脚カップル



ガスが上がっていく



肩の小屋に到着



万太郎へと向かうフランス人カップル


 肩の小屋で小休止。吹き曝しの稜線歩きに備え、Kさんは防寒装備を追加。私は横着し自前の皮下脂肪で対処することにする。

 9時55分にトマの耳に立った。東側のスッパリ切れ落ちた、あり得ないようなところから登山者が半身をのぞかせている。恐る恐る下を覗き込むと東尾根のリッジを登攀している登山者が何人も見えた。高所は苦手ではないが、私にはとても真似できそうにない。


ダブルアックスで東尾根から山頂に登り上げる登山者



東尾根を登る登山者



万太郎山 右手には苗場山


 記念撮影をしたらすぐに次のマイルストーン、オキの耳へ。20分ほどでこのピークを通過すると、我々の他に登山者の姿は見えなくなった。対照的にトマの耳への稜線は蟻の行列状態だ。


万太郎谷を観察するKさん



トマの耳には大勢の登山者



岸壁をトラバースする私 ここはちょっと緊張させられた



一ノ倉岳を登る私


 一ノ倉岳との鞍部に一旦下った後は、本日最後の登り。踏み抜きに注意しながら130mの標高差を登り切って一ノ倉岳の頂に到着。後続パーティに先を越されたくないので、さっさと滑降準備をし、ファーストトラックを頂くことにする。

 一ノ倉岳直下はカリカリに氷化した急斜面。二年前は知らぬが仏、ホワイトアウトの中でこの斜面を滑り降りたのだった。視界があると無いでは難易度が天と地ほども違う。斜面をよく観察し、茂倉岳との鞍部へとトラバース。ここから下の沢芯はパウダーの吹き溜まりとなっているからだ。


一ノ倉岳山頂から茂倉岳との鞍部に向かって滑降を開始するKさん



パウダー領域に突入するKさん



私も続く


 Kさんと二人で無垢の斜面に思い思いのシュプールを描く。雄大な景色の下での標高差1000mの大滑降。谷川を代表するツアールートの名に恥じない素晴らしいロケーションだった。


素晴らしいロケーション



どんどん落ちる私



同上



ノドに突入するKさん



ここまでアッという間



なおも落ちるKさん



なおも落ちる私



ノドを通過


 ノドを過ぎると左岸から大小のデブリが出てきた。特に清水街道とクロスする辺りは大量のデブリに埋め尽くされている。Kさんは巧みにスキーを操り強行突破したが、私は早々に観念し、スキーを手にツボ足で累々と積み重なった雪塊を四苦八苦しながら乗り越えた。


デブリが出てきた



デブリを越える


 その先のデブリは板を履いたままで何とかやり過ごし、右岸台地へと乗り上げた。緩斜面をゆるゆると下るとほどなく虹芝寮が見えてきた。ここで本日初めての大休止としランチタイム。行動食をパクついていると単独のスキーヤーが二人追いついてきた。


雪に埋もれた虹芝寮



谷川岳を振り返る


 虹芝寮から先は消化試合。河原沿いの平坦地をヒールフリーにして歩く。幸い一ノ倉沢やマチガ沢との出合いは雪が繋がっており、渡渉せずに通過。最後の西黒沢だけは浅い渡渉があったが、難なくクリアし、対岸の国道へと無事降り立った。


行動時間 6時間25分
Gear  Dynafit Denali 168cm / Scarpa F1 Evo



  
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