2017年11月10日(金)
紅葉のこの時期、何故か足が向いてしまう鳳凰三山。首都圏に近くて、お手軽にアルペン気分が楽しめ、南アルプスの盟主北岳を初めとする白根三山の絶好の展望台でもある。最近は夜叉人峠からの縦走がポピュラーらしいが、私がとりわけ気に入っているのはドンドコ沢コース。地味な急坂続きが定番の南アルプスにあって珍しく、風光明媚な滝が連続し急登の疲れを癒してくれるからだ。
午前5時35分、ヘッデンを点けて、まだ暗闇に包まれた青木鉱泉をスタート。大規模な法面工事現場を過ぎると沢沿いの道となる。うず高く積もった落ち葉が登山道を覆い隠しているので気を付けていないとすぐにコースアウトしてしまう。小沢をいくつか越えながら高度を上げていくと最初の滝、南精進ヶ滝が現れる。まだ残る紅葉とナメに流れる白い水流が美しく見応えがあった。
落ち葉でどこが登山道やら。。。
南精進ヶ滝
一段と勾配の増した急坂を木の根っこを掴みながら登っていくと次は鳳凰の滝だ。廊下状の奥まった所にあるため、全体像がよくわからない。陽が差さず半ば凍り付いた沢登りは難儀。落ち口に近づくことは断念し、遠目で眺めるだけにしておいた。
全貌がうかがえない鳳凰の滝
次の白糸滝は平凡、その後の五色滝は落差もあり圧巻だった。滝巡りを終えると程なくドンドコ沢源流の河原歩きとなる。バックには地蔵岳のオベリスクが聳え、絵になる景色だ。
白糸滝
五色滝
地蔵岳のオベリスクを望む
鳳凰小屋には10時ちょうどに到着。ちょっと早いがランチタイムにして燃料を補給しておく。鳳凰小屋からはしばらく樹林帯の急登が続く。森林限界を越え、稜線までもう一息のところに待ち構えているのはお馴染みの蟻地獄。花崗岩の砂礫にはまるで新雪のように足がとられる。二歩歩いて一歩後退の急斜面を喘ぎ登り、ようやく主稜線に出た。まず目に飛び込んでくるのは甲斐駒。そして薄っすらと冠雪した北岳と間ノ岳。何度眺めても飽きることのない絶景だ。
蟻地獄を登る
子授け地蔵群と甲斐駒
地蔵岳
地蔵岳のオベリスク登攀はパスして観音岳へと向かう。手前の赤抜沢ノ頭を越えると急下降。鞍部からの200mの登りは、既に標高差1600mを登ってきた身にはかなり堪える。
赤抜沢ノ頭からの地蔵岳と八ヶ岳の展望
同 北岳と間ノ岳
同 観音岳
観音岳との鞍部にはこんな「オブジェ」も
12時25分、観音岳の頂に立った。雲海の上に聳える富士山が圧倒的な存在感を発揮している。流石に3000m近い高峰、吹きつける風は氷のように冷たいので長居はしていられない。一通り景色をカメラに収めた後は、鳳凰三山最後の頂、薬師岳へと向かった。
富士山を背景に薬師岳
雲海に浮かぶ笊ヶ岳
薬師岳の山頂はほとんど素通り。白峰三山を初め、南アルプス主脈の峰々に別れを告げて下山の途についた。青木鉱泉帰着は午後3時55分。平日ということもあり、この日山中で出会ったハイカーは7人だけと静かな山歩きが満喫できた。
行動時間は、10時間20分。4年前に同じコースを8時間台で歩いたことを思い起こすと、昨今の顕著な体力低下が何とも哀しい。しかし、最近は山に限らずそんなことは日常茶飯事。否が応でも老いの現実を直に受け入れざるを得ないという心境になってきた。その一方で身体能力の低下を道具で補おうと乏しい老後資金をつぎ込む物欲とのせめぎ合いも激しくなるばかり。。。こんな葛藤が続くうちはまだ山を歩けるかな。
後記
最近不調続きだったGPSだが、やっと原因が判明した。引き金となったのは、今年9月15日より開始された「みちびきのセンチメータ級測位補強サービス」の試験放送。Garminの一部機種のソフトに不具合があり、この試験電波を受信すると測位機能が正常に働かなくなってしまうのだと。私のGSMAP64sはまさにこの不具合の対象機種だった。この詳細はこちら。
Garminによれば、再起動すれば復旧する由。しかし、衛星信号ロストは、経験上起きるときには頻発するので実際上この方法で対処するのは煩わしい。という訳で引退していたOregon
300を現役復帰させることに。ところが、リタイヤして生活リズムが狂ったのか、いつの間にか永眠。パワーオンしてもうんともすんとも言わない。結局、64sをだましだまし使うしか手が無くなってしまった。山スキーのシーズン開幕はもう目前。一刻も早く修正ソフトをリリースして欲しいものだ。
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