2014年10月16日(木)
初めて武尊山に登ったのは百名山巡りに熱を入れ始めた5年前。あいにくの天気で終始ガスの中、景色は全く楽しめず、単なるピークハントに終わってしまった。以来、ずっと心残りだったのだが、何故か再訪する機会に恵まれなかった。ところが最近この山域が人気のBC(バックカントリー)スポットであることを知って、にわかにモチベーションアップ。シーズン入りを前に前回のリベンジとBCの下見を兼ねて再び武尊山を歩いてみることにした。
午前6時前に川場野営場の駐車場に到着。先着は地元ナンバーの車が一台だけ。今日は静かな山歩きが期待できそうだ。6時10分、駐車場を出発。しばらくは緩やかな登りが続く。紅葉はかなり下に降りてきており、標高1200m辺りがちょうど見ごろになっているようだ。
川場野営場の駐車場 不動岳との分岐
ダラダラ登りは不動岳ルートとの分岐まで。そこからは天狗尾根の急坂をジグザグに登るようになる。30分ほどかけて尾根筋に出ると急坂も一段落。少し楽ができるかなと思いきや、一息つく間もなく前武尊に向けて再び急登が始まる。
下界は雲海 尾根筋に出た
所々に酷い泥濘があるので靴とズボンの裾は泥だらけ。それでなくともぬかるんで滑りやすい登山道なのに、方流れの斜面では摩擦係数ゼロの根曲竹が待ち構えているので叶わない。
そうこうするうちにオグナほたかスキー場が眼下に広がってきた。リフト最上部は登山道のすぐ近くに迫っており、標高も1800mを越えている。これならリフトを乗り継げば、僅かなハイクアップで苦も無く前武尊山頂まで行けるだろう。
リフト降り場 前武尊の日本武尊像
前武尊には1時間50分ほどで到着。写真でお馴染みの日本武尊像が仁王立ちで待ち構えていた。その下ではリーダーらしき男性一人とシニア女性ばかり数名のパーティが休憩中。車の送迎付きなので往路を戻る必要は無く、武尊山登頂の後は武尊牧場へ下山するのだとか。アクセスの足枷が無いとは羨ましい。
水分補給をしただけで一足先に失礼する。しばらくは今日初めての下り道。目の前には、神社の屋根のような形をした川場剣ヶ峰が圧倒的な迫力で聳えている。かつて大崩壊があったとかでピーク越しは不可なのだそうな。登山道はこの大屋根の東側を巻いているが、冬場は雪崩の通り道になりそうで、ここの通過には難儀しそう。
川場剣ヶ峰 東面は滑り台のようだ
川場剣ヶ峰への登山路はロープで封鎖 これが良く滑る
川場剣ヶ峰を過ぎて小ピークを登るとようやく武尊山(沖武尊)が姿を現した。その手前には中ノ岳や家ノ串山が連なっている。左手にはこれまた剣ヶ峰山。川場剣ヶ峰と紛らわしいが、こちらには格が違うぞとばかり「山」が付いている。ここにも山頂直下までスキー場のリフトが迫っているが、冬場はどうだろうか。急峻な剣ヶ峰を越えていかないと武尊山には到達できないので、やはりバックカントリーにはそれなりの覚悟と準備が必要だろう。
剣ヶ峰山
武尊山は近くに見えても、稜線は痩せて岩だらけの上、細かなアップダウンがあるので意外に時間がかかる。痩せ尾根を過ぎると、間もなく武尊牧場への登山道との分岐点。その先の中ノ岳は西側から巻いていく。見上げると、先ほどまでの青空はいつの間にか姿を消し、山頂にはガスがかかり始めている。またもや展望ゼロかと気が気ではない。少しペースアップして先を急ぐ。
武尊山と中ノ岳(右)
痩せ尾根の岩場が続く 武尊牧場スキー場分岐
中ノ岳左側を巻いて、、、 山頂に到着
9時25分に5年ぶりの武尊山山頂に立った。雲底がかなり下がってはきたものの、360度のパノラマ景観は辛うじて確保できた。これで前回のリベンジは目出度く達成だ。貸切の山頂で早目のランチとする。
雲のかかった前武尊方面を振り返る
谷川岳方面
皇海山らしき山影
15分ほど山頂に滞在して下山開始。先ほどの黒一点付き女性パーティとは武尊牧場への分岐辺りで再び出会った。他にもトレラン、夫婦連れなど5人ほどとすれ違った。それでも百名山としては静かな方だろう。
家ノ串山から川場剣ヶ峰
前武尊からは時間もあることなので点線コースの不動岳経由とすることにした。初めのうちは日当たりが良くて乾いた歩き易い道が続く。30分ほど下ると岩峰が立ちはだかり、一転して険しい鎖場が連続するようになった。スタンスが細かい上に濡れて滑りやすい岩場があったりして中々スリリングだ。妙義山ほどではないにしても、結構腕力を要するので非力な女性にはかなり手強いかも知れない。
脅されると余計行きたくなる 岩峰が見えてきた
細かいスタンス、、、かつ 高度感も十分
アップダウンを繰り返しながら岩峰を無事通過すると、やれやれと思う間もなく道は急下降。この川場尾根ルートは絶対登りにはとりたくないと思うほどの急坂だ。傾斜が緩んだところで川場野営場と旭小屋との分岐点に到着。野営場へ向かう登山道をジグザグに一頻り下りるとほどなく沢を渡る。ここから5分ほどで往路の登山道に合流。後は紅葉を愛でながらぶらぶら歩きで駐車場へと向かった。
紅葉を愛でながら下山
行動時間 6時間35分
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