火打山BC  新潟県 2462m       百名山
   


2018年4月21日(土)

 群馬のKさんより火打北面台地のお誘いがあった。思い起こせば同氏と初めて山スキーを共にした懐かしの地だ。今回は同郷のスキー仲間、Sさんもご一緒されるとのこと。北面台地は、天国への階段とも賞される山スキーの別天地。迷わず二つ返事と言いたいところだが、頚城山塊を南北から挟んで車のデポと回収が大仕事なのでつい二の足を踏んでしまった。

 結局、配車の手配はKさんとSさんお二人にお願いすることで、ご一緒させてもらうことになった。私はスタート地点の笹ヶ峰でお二人に合流し、下山地点の笹倉温泉からはKさんの車に便乗して車を回収するという手筈。配車に協力もせず虫のいい話だが、歳の差に免じてご容赦願おう。ちなみにKさんは私より一回り以上年少、Sさんに至っては息子と言っても良い年齢なのだ。

 かくして午前5時半、笹ヶ峰に全員集合。早速支度をして予定通り6時に笹ヶ峰を後にした。登山口の小屋はいつも半ば雪に埋もれているのがこの時期の常なのに、殆ど全体が露出している。やはり今年は季節を超えて雪融けが進んでいるようだ。


登山口の小屋は完全に露出


 黒沢沿いの平坦地も雪が少ない。GWを待たずして、あちこち地肌が出てきそうだ。黒沢遡行は端から断念し、尾根に取り付く。十二曲がり前後の急登は土地勘豊富なSさんのガイドで、痩せ尾根の急坂を避けて西側から上手に迂回。おかげでスキーを担ぐこともなくシールのままで富士見平へ登り上げることができた。


黒沢沿いを行くKさん、Sさん



黒沢を渡る私 横着してスキーを履いたまま



黒沢を渡ってから大きく左側に回り込み、右手の尾根を登る



急だがシール登行を継続



富士見平に到着



火打山の山頂周辺は雪切れ



妻たち また来年お会いしましょう!



まだ真っ白な金山に再会


 いつもは黒沢岳中腹を標高ロスが無いように巻いて高谷池へと向かうが、ここもSさんの提案でダイレクトに高谷池ヒュッテ目指してショートカット。シールを剥がして標高差60mほどを滑降した。この方が多少の登り返しがあっても、シールトラバースよりも太腿と股関節への負担が少なくて済むので助かる。


高谷池ヒュッテ


 ヒュッテから天狗の庭へ一旦標高を下げてから山頂まで凡そ350mの登り。その殆どが南面トラバースなので、照り付ける太陽の直射と雪面からの照り返しで両面焼きのグリル状態だ。こんがりとローストされながら汗まみれの難行苦行。


火打山へ最後の登り



妙高山をバックに登る



先行する3人パーティも笹倉へ向かうとのこと


 中々ペースの上がらないロートルを尻目に、若いSさんは流石に強い。先行するパーティを次々に追い抜き遥か先を歩いている。Kさんも足取り軽く、どんどん先行。私はマイペースを維持して歩き続け、お二人より少し遅れて火打山の頂に立った。時刻は11時15分。すっかり雪の消えた山頂には老若男女、大勢の登山者で賑わっていた。


雪の消えた山頂で記念写真



北面台地の様子


 一頻り景色を楽しんだ後はお待ちかねの滑降編。山頂から影火打山とのコルまでは雪が繋がっていないので、板を背負って下る。60mほど夏道を下降したところで雪が繋がったのでスキーを履いた。Kさんのガイドで北面の残雪を伝ってコルへと滑り込む。途中でハイマツの枝に足を取られて転倒、ハイマツの海に嵌って脱出にえらく手間取ってしまった。


影火打山とのコルへ向かう私



ドロップポイント



火打山の北側をトラバースする私


 愈々コルから滑降を開始すると、雪質は適度に緩んだ上質ザラメ。Kさん先頭にテレマークのSさん、私と続き、影火打の北側台地を焼山に向かってトラバース気味に滑り降りた。ここから一旦谷に向かって落とすが、そのまま下り続けると下部は崖マーク。進退窮まるので右の小尾根を乗り越さねばならない。ところが、急峻だったり雪庇に阻まれたりで中々適当なポイントが見当たらない。結局標高2000mまで降りて無事乗越すことができた。帰宅後確認すると、3年前にも通過した乗越地点だった。適当なポイントはここしか無いということだろうか。


コルから北面台地へ滑り降りるKさん



火打山をバックに 左はSさん



影火打山の北側をトラバース



尾根を乗越し急斜面を滑降するKさん


 その先は急斜面だが、滑りやすい雪質なので楽しめる。斜度が緩んだところで溶岩台地に走る溝に突入。この辺りで焼山に最接近する。地図計測で焼山山頂から1250m。半径1Km以内は立ち入り禁止区域なので、ぎりぎりセーフと言ったところ。噴煙を上げる焼山を眺めていると、草津白根や霧島連山の噴火を否応なしに連想してしまう。こんな剣呑な場所はさっさと立ち去るに限ると、賽の河原の滑降を続ける。


ザラメを堪能する私



焼山に最接近


 標高1480m辺りで溝の対岸へ登り上げた。その先にも、もう一つの深い溝。これは難なく越え暫く先へ進むと賽の河原越えが待っている。下降点を探して右岸を滑走。ようやく弱点を見つけて一旦底に降り立つが、対岸は崖のように切り立ち、雪割れも酷く簡単には登れそうにない。板を背に生い茂った木のジャングルジムと格闘して雪割れを突破、何とか対岸に這い上がった。


一本目の溝を越える



板を外して溝を越える



賽の河原のジャングルジムを登る



火打山と焼山を振り返る



そろそろ林道 GPSをチェックするKさん 右はSさん



林道を流す


 しかし、そんな試練はここまで。その後は林道沿いの道を流すだけだ。時には九十九折れ林道をショートカットして滑りを楽しみながら眼下に見える人里へ向かって下り続けた。途中で熊を目撃したりとアトラクションにも事欠かない。雪切れで最後はシートラ。笹倉温泉にはほぼ予定通り、午後3時10分に到着した。


桜が満開の笹倉に到着


 3年前は板掴みに遭って板が滑らず難渋したが、今回は最後まで快適な滑降が楽しめた。心地よい疲労感と満足感に浸りながら焼山温泉で汗を流し、Kさんの車で再び笹ヶ峰へと向かった。今回も随分と楽をさせてもらいました。Kさん、大感謝です。Sさん、またどこかの山で是非ご一緒しましょう。


行動時間 9時間5分



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