蛭ヶ岳   神奈川県 1673m       百名山   
 

20121118

 先週眺めた北アルプスや乗鞍岳はすっかり冬の装いだった。そろそろスキーシーズンの幕開け。初滑りに出かけたいところだが、冬型が強まって上信越の雪山は荒れ模様。関東地方は快晴の予報なのでトレーニングがてら近場のハイキングを楽しむことにする。まだ歩いたことのない西丹沢の檜洞丸から蛭ヶ岳にかけての主稜線を散策してみた。

 自宅から
1時間半ほどで登山口近くの西丹沢自然教室に到着。早朝6時すぎというのに20台はとめられる駐車場はほぼ満車の状態。幸い一台分のスペースがあったので、すかさず車を割り込ませた。あれやこれや支度をして630分に車を後にする。まだ薄暗いのでよくわからないが、この一帯、紅葉は今が盛りと言った感じ。帰路にゆっくり楽しもう。

 林道をしばらく歩いて、流木などでちょっと荒れた東沢からツツジ新道へと入った。登山道はすぐに沢から離れ、小尾根へと向かっている。


           荒れた感じのツツジ新道入口                           紅葉が美しい


 遊歩道のような快適な道を進んで行くとほどなくゴーラ沢の出合に着いた。登山道は沢の対岸だが昨日の大雨で増水して石伝いにはとても渡れそうにない。前を行くカップルは堰堤の下で石を放り込んで足場工事の真っ最中。いつ完工するとも知れないので、私は靴を脱いで渡ることにした。水はひざ下程度で大したことはないが、アルプスの雪解け水なみに冷たかった。


        水量多く石伝いには渡れないので、、、                      こうなってしまった


 再び靴を履いてハイク続行。河原の細い流れを渡って尾根に取り付く。しばらくは鎖や階段の急な登り。畦ヶ丸らしき嶺の背後から富士山が少しずつその真白き姿を現してきた。そのすぐ先の見晴台からは、
1週間前にはまだ薄らの状態だったのにすっかり冠雪した南アルプスの峰々もお目見えだ。


これが見たかった


 急登はしばらく続く。次第に傾斜が緩くなると植生保護の木道の上を歩くようになる。歩き出して
2時間20分で檜洞丸の広々した山頂に立った。木々が邪魔でせっかくの眺望が遮られるので、写真を撮るなら木道の途中からの方がベターだ。


               木道を歩く                              だだっ広い檜洞丸の山頂


 先が長いので休まずに蛭ヶ岳へと向かう。山頂直下の青ヶ岳山荘の煙突から薄い煙が立ち昇っていた。暮れも近いがまだ営業しているらしい。山荘から道は一気に
300m下降していく。その後も小さなピークに合わせて、アップダウンを繰り返しながら痩せた稜線を進んでいく。


         青ヶ岳山荘だけあって青一色                         蛭ヶ岳はまだ遠い存在 


 蛭ヶ岳は常に正面にあるが、中々近づいてこないし、随分と高く聳えて見えるのは気のせいだろうか。臼ヶ岳を過ぎると再びもったいないほど
300mの高度を放出し、鞍部から最後の急登にかかる。山頂直下は鎖が連続する厳しい急坂だ。11時ちょうどに山頂に到着。眺望が実に素晴らしい。


            痩尾根をどんどん行く                         臼ヶ岳より、蛭ヶ岳はもうすぐ



             すっかり冬の装い                               連続する鎖場



               蛭ヶ岳山頂                             山頂でまったりするハイカー



晩秋の富士山



南アルプスの峰々


 深田久弥は丹沢山という特定の一山を名山としたのではなく、山塊全体の山や谷を含む全体としての立派さから百名山に選んだそうな。もしピークを一つ選べと言うなら、私は蛭ヶ岳がその最右翼と思う。しばらく眺望を楽しみながらベンチに座ってコンビニランチ。奥深いイメージの蛭ヶ岳だが、北は姫次から、南は大倉や塩水林道からのハイカーで賑わう山だ。

 帰路も長いのでそろそろ引き返そう。山頂から急下降は要注意。スリップしないよう気をつけて下る。臼ヶ岳へ登り返したところで、若いハイカーから檜洞丸への道の状況を聞かれた。大倉から歩いてきたとのことで、かなりヘバッている様子。

 再びアップダウンを繰り返しながら歩く。振り返ると蛭ヶ岳の山頂付近はすっかり雲の中だ。天気は下り坂らしい。行きにはすれ違う人もいなかった主稜線だが、帰路は
10人ほどすれ違う。やはり首都圏の山、丹沢で一番奥まったところだが、歩く人は多い。

 檜洞丸への
300mの登り返しはきつかった。下るときには何とも思っていなかった階段の段差が恨めしい。ガスはこちらにも流れてきて檜洞丸の山頂付近もすっかりガスに包まれてしまった。山頂のベンチに座っておやつを食べていると、小学生くらいの子供が元気いっぱい、駆け足で登ってきた。対照的に両親はよれよれで辛そう。

 ここからはトレーニングのつもりで少しペースを上げてみた。小走りに尾根筋を駆け下る。再びゴーラ沢の出合。水位はだいぶ下がったようだ。石伝いに簡単に渡渉できた。最後は紅葉を鑑賞しながら林道を歩き、駐車場着へは
1510分に帰着した。


         ゴーラ沢、帰りは石伝いに渡れた                    西丹沢自然教室前の紅葉は見事


 東名が混む前にと思い急き立てられるように車を出したが時すでに遅かった。事故もあってにっちもさっちも動かない大渋滞に巻き込まれ、
6時間も東名に拘禁状態。眺望にも恵まれ、殆ど疲れも感じない充実した山歩きだったが、最後がいけなかった。せっかく養った山の鋭気を大渋滞に吸い取られ、くたくたになって帰宅した。


行動時間  8時間40
歩行時間  8時間

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