新潟県・群馬県 2141m | |
2010年6月17日
いつも歩き始めだけは元気なのだが、今日はどうしたことか、スタートから全く調子が出ない。暑さのせいか、それとも昨日の飲みすぎが祟ったのか、鉛を引きずるように足が重いし、汗が滝のように滴る。短い夏を精一杯生きようとする蝉の鳴き声が凄まじく、不調の身には騒音としか聞こえない。道は次第に痩せ尾根の上を行くようになるが、胸を突く急坂である。高度が上がるにつれて虫達の鳴き声が遠ざかり、代わって耳に心地よい鶯の鳴き声になった。大気は水蒸気をたっぷり含んで春霞状態、見晴らしはあまり良くないが、燧が岳の双耳峰だけは常に目の前にあって癒してくれる。
燧岳が常に視野にある
痩せ尾根の急登ではたっぷりと汗をかかされたので下台倉山で水を補給、500mlのペットボトルがあっという間に空になる。ここからは軽いアップダウンを繰り返しながら距離を稼ぐ区間になる。平ヶ岳が時折遠望されるが、山容ははるか彼方、ともかく「遠い」としか言いようがない。台倉山を過ぎた辺りから残雪が現れてきた。踏み抜きに注意しながら歩くが、予告無しにいきなりズボッとはまるので防ぎきれない。一度は踏み抜いた拍子に大きくバランスを崩して転倒する始末。コメツガの原生林のなかは雪が深く、何度かルートを見失う。行きつ戻りつしながらマーキングや木道を見つけて軌道修正を繰り返す。この辺り日当たりが良くて雪が融けたところは凄まじい泥濘である。踏み抜き恐怖の残雪と泥濘が交互に現れる。ズボッ、グチャ、ズボッ、グチャである。
冷たい水が欲しくなるが、どの水場も雪の下。生ぬるい持参の水を補給し、体調の芳しくない体に鞭打って池の岳への最後の急坂を登る。池の岳の頂上は広々とした湿原になっていてミニ尾瀬といった感じ。ここからは一転して先ほどの急登が嘘のような木道歩きとなる。一旦ゆるく下って平ヶ岳の樹林帯に入ると再び雪道となりルートがわかり辛くなる。ここで下山してくる登山者二人とすれ違った。聞けば一人は今朝3時、もう一人は4時に出発したとのこと。やはりルートファインディングには苦戦したらしい。だだっ広い山頂には10時20分に到着。展望スポットが変わると景色もガラッと変わってしまう。ここから眺める山々のうち幾つかは山頂を極めたのに確信を持って同定できないのが悔しい。北方面にはまだ豊富な雪を頂いた荒沢岳や越後駒ヶ岳が遠望できているはずが、どれがどれやら。情けないが確信を持てたのは燧ケ岳、至仏山、会津駒ヶ岳、日光白根山くらいか。
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