2014年12月5日(金)
本格的寒波襲来で日本各地から大雪の便りが聞こえてくる。そんな時は天気の良い関東地方の低山ハイキングに限る。行き先はホームゲレンデの丹沢。若い頃から数え切れないほど歩いた山だが、登山口は交通の便の都合から利用するのはいつも南側ばかり。北面からアプローチした記憶が無い。そんな訳で今回初めて413号線から山奥に分け入った神ノ川から登ってみることにした。
まだ夜の明けやらぬ午前6時に神ノ川ヒュッテに到着。一般車通行止めのゲート前に車をとめた。他に車は見当たらない。今日も静かな山歩きを楽しめそうだ。
明るくなるのを待って6時20分に出発。神ノ川の沢沿いの林道を少し登ったところにヤタ尾根の登山口があった。崖を攀じ登るようにして山道に入る。のっけからの厳しい急登に足がついてこない。それでも喘ぎながら足を前に出しているうちに何とかペースが出来てきた。
ヤタ尾根登山口(下山時撮影) 杉林のなかの急登
薄暗い杉林の急坂を黙々とわき目も振らず登る。しばらくすると急登も一段落、いつの間にか傾斜も緩んでブナ林の明るい尾根となった。木漏れ日を浴びながらふかふかの落ち葉の絨毯を歩く。晩秋の山ならではのこの雰囲気が何とも堪えられない。
この雰囲気がとても気に入っている
標高が1400mを越える辺りから枯葉に白いものが混じり始める。2時間ちょうどで薄らと雪化粧した熊笹ノ峰に到着すると、素晴らしいサプライズが待っていた。目の前に忽然と姿を現したのは裾野まですっかり冠雪した富士山。今まで百万回眺めている山だが、飽くことなく毎度感動させてくれる不思議な存在だ。陽光を浴びて光り輝く樹氷も、えも言われぬほど美しい。
汗をかいたご褒美はこれ!
陽を浴びて輝く樹氷 稜線は薄ら雪化粧
カメラを彼方此方に向けながら、凍てついた稜線を歩くこと30分。2年ぶりに檜洞丸の頂きに立った。広々した気持ちの良い山頂だが、樹林に阻まれて眺望が得られないのが難点。先が長いので軽く小休止しただけで蛭ヶ岳へと向かう。
檜洞丸山頂
青ヶ岳山荘を過ぎると獲得標高大放出の急降下。約300mは下らねばならない。それと意外なほどあるアップダウン。途中の臼ヶ岳に至っては200m登らされ、また100mを下るのだ。
青ヶ岳山荘 蛭ヶ岳は遥か彼方
臼ヶ岳から蛭ヶ岳を望む 蛭ヶ岳へ最後の登り
こうして登り降りを繰り返しながら、最後は鎖場もある高度差300mの急登に耐えて蛭ヶ岳に着いた。ここで本日初めて他のハイカーに出会った。おまけに山小屋の黒犬にも。ランチをとりだそうとするとザックに鼻づらを突っ込んでくるのでザックを胸に抱えての攻防戦となる。犬が去った隙に慌ただしくおにぎりを詰め込んで栄養補給は無事終了。
それにしても山頂からの景色は感動ものだ。伊豆諸島、大島はもちろん、神津島と思しき島影まで見えたのは初めてだ。東京横浜方面も高層ビル群など街並みも眼下に俯瞰できる。ここから眺める夜景はさぞかし壮観だろう。
相模湾の向こうに浮かぶ伊豆諸島
富士山には雲がかかってきた 追い払った犬は別のハイカーのランチを狙う
丹沢山と塔ノ岳 その後ろには太平洋
大休止の後は姫次へと向かって下山開始。暫く山頂直下の急坂を下った後は細かなアップダウンの繰り返し。下山というより、むしろだらだらと登って行く感じだ。乳酸の溜まってきた足には中々しんどい。
蛭ヶ岳からの下り 滑りそう ダラダラ登りで姫次へ
姫次からは東海自然歩道を歩く。よく整備されたコースだが、ともかくうんざりするような激下りが連続する。特に風巻ノ頭を過ぎた後の神ノ川まで500mの一気下りが辛い。膝ががくがくするほど下りに下って、ようやく神ノ川ヒュッテへと続く林道に出た。
午後2時45分に無事車に帰着。朝には無かった車も数台とまっている。ハイカー姿も何人か見かけたが、皆さんどこを歩いてきたのだろう。ともあれ、近場ながら変化に富んだ晩秋の山歩きを楽しむことができて満足の一日だった。それはそうと今度の寒波で雪もたっぷり積もったようだし、そろそろスキー板の出番かな。
行動時間 8時間25分
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