東谷山BC  新潟県 1554m             
 

2020年2月2日(日)

 最近バックカントリーを楽しむ外国人の遭難記事が良く目につく。タイトルは決まって「コース外を滑って遭難」。つい先日見たネット配信ニュースに至っては「スキー場の無いコース外で遭難」と正に噴飯もの。管理されたゲレンデ以外を全て同列に扱い、管理エリア内の禁止区域とスキー場とは全く関係ない山岳地域が区別されていない。こうした不正確かつバックカントリー全般を白眼視するかのような報道姿勢に不快感を覚えるのは私だけだろうか。もっとも一たび遭難事故を起こせば他人様に迷惑をかけることになるので、当事者としてはどう叩かれても文句は言えまい。

 そんな思いを胸に秘めつつ、「スキー場の無いコース外滑走」の愛好者の一人として、今日もいそいそとコース外へと向かったのだった。行先は国道を挟んで田代スキー場の反対側にある東谷山。私にとってこの時期定番の山だ。昨シーズン同様、貝掛から登り、北西斜面を滑降し貝掛へ戻る。このルート取りは、二居峠経由と違い、車回収の煩わしさが無いので気に入っている。

 夜明け前に貝掛に到着。国道脇の除雪スペースには先行者の車が2台あった。その主は既にスタートしている模様で人の気配は無い。6時10分、ヘッドライトを点けて私もハイクアップ開始。路肩の雪を繋いでシール登行する。

 ラッセルで少しは汗をかくつもりだったが、最近東谷山はとみに人気の山。しっかりしたトレースが先へ先へと延びており、今日は道開拓には貢献できそうにない。国道下のトンネルを抜け、林道を歩き始めて間もなく数名のパーティが追い付いてきた。林道を忠実に辿るのは最初に先行したパーティ。この団体さんは林道ルートを採らず、手近な尾根に取りついてショートカットするつもりらしい。このルート取りは未経験だったので、私も彼等を後追いしてみることにした。


団体さんに先行してもらった


 皆さんとっても気さく。彼等とスキー道具談義などをしながら和気藹々と少々斜度がきつい枝尾根を登って行く。途中で団体さんが休憩に入ったのを機に先行。足首程度の軽いラッセルながら、やっとポンの出番が来た。


枝尾根における藪の様子



少しは開けたところもある



青空が一瞬覗いた


 標高1000mを越えた辺りでトップバッターのトレースに合流。どうやら先行者は二人。再びお客様状態で楽をさせてもらった。さらに標高を上げていくとアイスに薄く新雪が乗ったいやらしい雪面が登場。斜度もあり、スリップ多発。クトーを使いたかったが、うっかり120mm幅のものを持参したのでポンには使えない。図らずもアイスの無い箇所を選びながら独自の道を開拓する羽目になった。


これを楽しみにして来た


これも。。。



そしてこれも


 二居峠からのトレースが合流。辺り一帯は美しい樹氷の森となった。期待通り、文句なしの素晴らしい景観だ。斜度が緩んでくると山頂も間近。8時55分、一年ぶりの頂に到着。そこには先行していたのは滑走準備中のお二人の姿があった。開口一番ラッセルの感謝を伝えておく。


山頂付近の藪は例年になく濃い


 小雪交じりの生憎の天気だが、風が弱いので遮るものの無い山頂でもそれ程寒さは感じない。深い雪に膝まで埋もれながら滑走準備を整え、一足先に滑降していった二人に私も続いた。彼等はスキーが上手で濃い藪を巧みに縫いながら、あっという間に姿が見えなくなった。私は安全運転に徹してマイペースで滑降する。


先行した二人組


 山頂直下は比較的疎林で良かった。しかし、パウダーランが楽しめたのは高度差にしてせいぜい200m位だろうか。後はさらに濃くなった藪をどう切り抜けるか見定めながら、尺取虫のような滑降となる。慎重を期したつもりでも、ゴーグルに枝パンチを一発食らい、大きな傷をつけてしまった。


滑るスペースが無い。。。



国道はすぐそこ


 沢芯は所々割れて水流が見えるので山腹を左にトラバース気味に進む。程なく登路の林道に出れば後は自動運転。あっという間に国道が見えるところまで降りてきた。車への帰着は10時20分。短時間ながら、樹氷見学やパウダー滑降等の山スキーならでの悦びを味わえ、充実の「コース外」滑走となった。



行動時間 4時間10分


Gear  Pon2oon 159㎝、Scarpa F1Tr


  
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