東谷山BC  新潟県 1554m             
 


2019年2月17日(日)

 先週金山岩で負った打撲はまだ完治せず、体のあちこちに残る醜い痣と腫れが生々しい。しかし、今シーズンのラストパウダーとなりそうな週末寒波と聞いてはじっとしてはいられない。比較的近場でお手軽にディープパウダーを楽しめるところと言えば、近頃すっかり有名スポットとなった東谷山。ひと頃は二居からのアプローチが代表的だったが、最近は貝掛から登る人が多いらしい。今回リハビリがてら、私もその一人になってみた。

 なお、連れ滑落したKさんは、この日は滑落現場の徹底検証のため再び金山岩へと向かった。山に癒しを求める軟弱な私とは根性が違うのだ。


貝掛の駐車スペース あっという間にこの有様


 午前6時30分、貝掛の除雪スペースに車をとめた。車中で着替えをしていると、車が次から次にやってくる。どうやら皆考えることは同じらしい。7時ちょうど、先行した群馬のカップルに続き二番手で私も車を後にする。足元は今回をもってシーズン最後のお勤めとなりそうなポンツーンだ。

 国道沿いからヘアピンカーブへ、半ば雪に閉ざされた道路高架下のトンネルくぐりといった、いつもとは逆コースを辿って二居峠へと抜ける林道に出た。先行者が脛レベルのラッセルでしっかりトレースを刻んでくれているので、満身創痍から回復途上の身としては大助かり。


道路脇の雪壁を攀じ登ってハイクアップ開始



高架下のトンネルはこんな埋まり具合


 緩い登り坂でもしっかり体が温まり額に汗が滲むほど。アウターを脱いでしまいたいが、こんこんと降り続く雪にそうするわけにもいかない。


先行者のトレースを有難く使わせて頂く


 山頂から西方に伸びる支尾根に取りつくと斜度がぐんと増してきた。トレースは次第に深くなり膝レベル。いくら軽い雪でもラッセルは楽ではないと思うが、先行するカップルの姿は見えない。そのうち若者が力強いストライドで追い付き、たちまち抜き去っていった。こんな調子では、今日はラッセル貢献させてもらえそうもない。高速道路を辿るだけのお客様に甘んじることになりそうだ。

 標高が上がり風当りの強いところではクラストした雪面に新雪が乗ってシールが効きづらくなってきた。標高1000m辺りで躊躇せずクトーを装着。これで格段に歩きやすくなった。



 この支尾根は二居峠からの主稜線とは異なり、雪庇や痩せ尾根といったフォトジェニックな景観は全く期待できない。谷川岳方面の大展望も山頂までお預け。主稜線に遮られ、いくら天気が良くても期待すべくもない。ひたすら地味に広い尾根筋をジグザグに登るのみ。敢えてメリットを挙げれば、雪庇の起伏が無いので歩き易いことと、出発点に回帰できることだろうか。

 標高1400m、風当りの強い山頂での作業は出来るだけ減らしておこうと、ブナの大木を風よけにしてヘルメットを装着しておく。9時35分、視界ゼロの山頂に到着。ラッセルのお礼をしたかったが、そこに先行者の姿は無かった。寒いので速攻で滑降の準備をする。


2年ぶりの山頂


 9時50分、滑降開始、、、したものの視界不良の中、いきなり吹き溜まりに突入。スーパーファットでも腰まで浸かってしまうほどだ。気温が低く雪が軽いのが幸い。何とかこの雪風呂を脱出し滑降を再開する。


ブナの森のツリーラン



同上


 斜度が出てくると、底突きなしの真正ディープパウダーだ。雪質は期待通りの極上品。舞い上がる霧雪で全身雪まみれとなる。アウターの胸元に開いた僅かな隙間からシャワー状態の雪が入り込んでくるが、そんなことも気にならない程の滑り心地だ。

 ブナの森を浮遊しながら舞い降りるのに踏ん張る脚力は要らない。板の上でバランスをとっているだけで、標高差800mを30分ほどで滑り降りてしまった。10時25分、貝掛へ帰着。半日にも満たないツアーながら、おそらくは今シーズン最後となるパウダースノーを思う存分満喫することができた。


行動時間 3時間25分


Gear  Pontoon 159㎝、Scarpa F1Tr


  
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