東谷山・日白山BC   1554・1631m 新潟県            
 


2017年2月4日(土)

 現役時代は時間や気持ちに余裕が無く、叶わぬ夢だった雪山歩き。その反動がこの歳になって出ているのか、絶好の山日和との予報に接すれば矢も楯もたまらず出動してしまう。三日前に前武尊山を訪れたばかりのこの日も「老い先短いので」と決まり文句を家族に残し、いそいそと山道具を車に積み込んだのだった。

 今回、向かう先は谷川岳の大展望台として知られる積雪期限定の日白山。単なる往復ではつまらないので、東谷山から周回する。さらに、鞍部から日白山山頂まで続く標高差150mの登り坂をシール無しでハイクアップしてみるつもり。言うまでもなくお供の道具はウロコ板だ。

 午前7時20分にかぐら田代ステーションの駐車場を後にした。すぐ前を歩いているのは10名ものツアーグループ。国道17号線を渡ると、彼らは日白山へと向かって行った。

新雪は15㎝程度か                            先行する3人パーティ


 二居峠へと続く林道には、単独と三人パーティが先行していた。更にトレースからして、どうやら先頭を切っているのはスノーシューが二人。天気の良い週末に考えることは皆同じ。多くの雪山トレッカーがこの山域を目指しているのだ。


雪は多いが東屋はかなり露出


 積雪量は小雪だった昨年とは比較にならない。稜線に張り出した雪庇も見ごたえがある。送電線の鉄塔を過ぎる辺りから、例年通りウインドクラストしてきたので、クトーを装着。


         尾根に上がると雪が締まってきた                    送電鉄塔を過ぎるとアイスバーンも


 いつも苦労させられる痩せ尾根の急登も豊富な積雪と先行パーティのトレースのおかげで難なく通過することができた。樹林帯の急登が一段落すると樹氷を纏い、きらきらと輝く幻想的なブナ林の中を進む。樹氷に元気を注入してもらったので、この辺りから先頭になってラッセルに励む。


先行していたスノーシューのカップルに追いついた



昨シーズンはモンキーラッセル 今年は雪も多いし、トレースもあり楽なもの



今年の雪庇は見事



ブナの森には、、、                            こんな芸術品も



先頭でラッセルに励む



振り返ればこの景色


 9時30分、一年ぶり、七度目の東谷山山頂に立った。一緒に登って来たスノーシューのカップル、山スキー3人組も日白山に向かうとのことだ。


東谷山山頂 雪庇が連続している


 フラットな山頂を稜線方向に進んだところでシールオフ。皆より一足早く滑降を始めた。稜線方向には大きく雪庇が張り出しているので、降り口を探るため北の尾根沿いに少し下ってみた。ところが、そこに待ち構えていたのは脳みそがとろける様な絶品のパウダー。見境なくつい下り過ぎてしまった。


         足元がいきなり崩れ落ちた                  トラバースするのが勿体ないような垂涎の斜面 


 今更登り返すのも大変なのでトラバースして稜線に出ることにした。雪庇をどう越えようかと思案していると、突然足元の雪庇が崩壊。ドーッと音を立てて落ちていった。やれやれ巻き込まれていれば只では済まなかった。

 胸の動悸が治まったところで、せっかくできた崩壊跡を利用しない手はないと、ここからドロップイン。急斜面をおっかなびっくりトラバースし、稜線へと出た。スノーシューとスキーヤー達はもっと上部から上手く稜線に下りたようで、私がモタモタしている間にはるか先を進んでいた。


稜線に出て東谷山を振り返る



先行する3人パーティ


 鞍部から日白山への登りはそれほど斜度があるわけではない。シール登行すれば楽なのはわかっていたが、敢えてウロコに固執。先行トレースに乗るとどうしてもすり落ちてしまうので、仕方なく緩い斜度で済むようにルートを選び、我が道を行く。


日白山を望む



ウロコでは遅々として進まず先行グループと差がついてしまった


 11時ちょうどに大勢の登山者で賑わう日白山山頂に到着。東谷山からの周回組に加えて、二居からのピストン組、中には土樽から長釣尾根を登って来たスキーヤーもいた。同氏はこれから来た道を滑り降りるとのこと。話を聞いていて、タカマタギから日白山を経由して長釣尾根を下る周回ハイクも面白いかもしれないと思った。その計画は先々の宿題として温めておこう。


日白山山頂到着 東谷山を振り返る



残念ながら谷川岳方面は雲がとれない



タカマタギ方面


 風を避け、山頂から少し下ったところで大休止。谷川岳の絶景を堪能しながら軽くランチをとった後は下るだけだ。雪庇に気を付けながら稜線を滑って二居俣ノ頭との鞍部へと向かい、ここから地王堂川沿いを一気に滑り降りた。


二居俣ノ頭との鞍部へ


 所々クラストした箇所もあったが、概ね、重いが期待通りのパウダー。20分ほどで地王堂川の橋まで下りてしまった。この先は大勢のスキーヤーのシュプールに乗って自動運転。除雪最終地点からも雪の続くところまで、しつこく林道を滑り降りた。


樹林帯を一気に滑り降りた



至福のツリーラン



 振り返ってお山に一礼                            林道を滑り降りる


 12時10分に田代の駐車場に無事帰着。今回のBCではウロコ板の限界が良く分かった。性能を十分に引き出せない己の未熟さを割り引いても、緩斜面でも長く続く登りに対してはストレスが溜まる。次の機会には、ウロコ+クトー(ブンリン3Dアセント)でどこまで対応できるか試してみるつもり。


行動時間  4時間50分


  
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