2646m 長野県 | |
2019年9月25日(水) 八ヶ岳は、若い頃丹沢と並んで最も足繁く通った山。しかしその行先は夜行日帰りという制約から交通の便の良い南八ツが殆どだった。その傾向は山歩きを再開した今も余り変わらない。とりわけ佐久側から北八ツへのアプローチはこれまで全く縁が無かった。そこで今回の山歩きは、予てよりやってみたかった南佐久郡の温泉巡り。稲子湯と本沢温泉を天狗岳経由結んで周回することにした。 まだ夜の明けやらぬ5時5分、ヘッドランプを点けて唐沢橋をスタート。シャクナゲ尾根を登る。先日の富士山ではタイムを意識し過ぎ、心肺機能の上限まで頑張ってしまった。ゼーゼーハァーハァーでは山は楽しくない。今回は心拍数を抑え呼吸が乱れない程度のスローペースに徹するつもり。また前回の反省として、66s の高度計は事前に確認しておいた正しい高度で較正しておいた。 夜が明け日が差してくると、深い森と苔の日本庭園の中に身を置いていることがわかる。他の山域でもこうした風景を見かけることはあってもその範囲は限られている。北八ツの場合、全域と言っても良い程、至る所でこうした自然の造形を目にすることができるのだ。
3時間近くノンストップで歩き、ニュウと呼ばれる小ピークに着いた。ニュウという珍妙な山名の由来は諸説あるらしい。登山道脇には「乳」と書かれた案内板があった。しかし実物はどう眺めてみても、女性のそれには見えない。帰宅後調べると、刈り取り後の稲を円筒状や円錐形などに積み上げた稲わら(稲積=にお)説があった。私的には「にお」転じて「にゅう」となったという説が、その形状からして一番もっともらしいと思うのだがどうだろうか。
ニュウから小一時間で中山峠に到着。これまでとは一変して人通りが多くなった。言わば北八ツの目抜き通り、引きも切らずハイカーが行き交う。中山峠へと向かう大勢のハイカーと挨拶を交わしながら、岩のごつごつした急坂を登りきるとそこは東天狗岳の頂き。最高点は、ここより標高が20mほど高い西天狗岳なのだが、過去何度か登っているので躊躇なく割愛。軽いランチを済ませたら本沢温泉に向けて下山を開始する。
主稜線を離れるとやや荒れ気味の急下降の道が続く。沢音が大きくなると本沢温泉は近い。この温泉は通年営業の温泉としては日本最高所というのが謳い文句。但し季節営業の温泉まで含めれば、みくりが池温泉や赤岳鉱泉に続く三番目ということらしい。平日にも関わらず大勢のハイカーがこの温泉目指して登ってきていた。まだ道半ばなので入浴は諦めて先を急ぐ。
本沢温泉からは80mほど登り返し。その後はフラットな道を進むと中山峠からの道を合わせる。やがてミドリ池が見えてきた。ここは最高のロケーション。稲子岳の岩壁を背景に一服の絵になっている。しらびそ小屋前の絶景を望む特等席は大勢のハイカーに占領されており、残念なことに入り込む余地が無い。心残りだが素通りしノンストップで下山を続けた。
車への帰着は午後1時25分。カラッとした秋晴れの下、存分に森林浴を満喫できた。帰路、稲子湯で今度は温泉浴で疲れを癒したことは言うまでもない。 行動時間 8時間20分
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