白馬鑓ヶ岳BC    2903m 富山・新潟県        
      

20155月3日(日)

 今年は山頂や稜線の雪消えが早くBCに向かう先も次第に限られてきた。そんな中でBCスキーヤーにとって最もポピュラーなコースの一つであるにも関わらず、これまで訪れる機会がなかったのは鑓温泉経由の白馬鑓ヶ岳。出来ればGWの混雑を避けたかったが、次のチャンスはいつ来るかわからないと思うと矢も楯もたまらない。バタバタと支度し、深夜に自宅を出て猿倉へと向かったのだった。

 まだ薄暗い猿倉の登山者用駐車場に車をとめる。午前4時35分にスキーを担いで出発。猿倉荘から夏道の尾根沿いを歩く予定が、よく分からず長走沢まで行ってしまったので、ここから小日向のコルを目指すことにした。雪面には思っていた以上に縦皺が大きく育っている。こんな状態で帰りはスキーになるのだろうかとちょっと不安になる。


              林道から長走沢へ              凄まじい縦皺のオンパレード 


 長走沢を離れて小日向山方向に向かい始めると大学の山岳部らしき若人がぞろぞろと下山してきた。彼等は1802mピークの方向へ向かっていったが、これから雪上訓練でもするのだろうか。


雄大な景色 正面は杓子岳か



        大学山岳部らしき連中                 小日向のコル                    


 暫く急登に耐えて1時間40分で小日向のコルに到着。色とりどりのテントが出向かえてくれる。ここで兵庫から来たという若者と一緒になった。同君とはこの先鑓温泉まで行動を共にし、滑降ルートやスキー用具について色々と参考になる話を聞かせてもらった。


         小日向のコルのテント村           コルから白馬鑓ヶ岳に向かって滑降         



コルから酷い縦縞を滑る


 コルでシールオフしてガリガリの縦縞を滑り降りる。双子尾根をトラバース気味に下りきったところで再びシールオン。出発から3時間で鑓温泉に着いた。ここにもテント村があった。温泉付きのテント生活ならさぞかし快適だろう。ここで真っ黒に日焼けした山スキーのベテラン氏と出会う。どうやら小日向のコルにテント定住してスキー三昧をしているらしい。話していると何と先週の焼山北方斜面でニアミスしていたことがわかった。やはりこの世界は広いようで狭い。


鑓温泉へ向けて再びシール登行開始



           鑓温泉に客は無し                硫黄臭がそこかしこに 


 ベテラン氏と若者に別れを告げて一足先に山頂へと向かう。しかし今日はどうも体調が今一つ優れない。標高2300mを過ぎた辺りから、目に見えてペースダウン。女性のパーティや単独などにどんどん抜かれてしまう。ベテラン氏にも追いつかれるが、とても彼のペースにはついていけない。


             鑓温泉を後にする              後続にどんどん抜かれ情けない


 標高2500mを越えると頭はクラクラするし脱力感で足もフラフラ。大出原で一旦休憩してパワーを充電、牛歩の歩みを続けて何とか2774mピークとのコルに立つことが出来た。今回はそもそも標高差が大きいということもあるが、久々の2500m超の山なので高山病の症状が出てしまったのかも知れない。


            稜線が見えた                  天狗山荘方面から降りたシュプール


 コルからはシートラで山頂を目指す。それにしても雪が少ない。下から仰ぎ見る白馬鑓ヶ岳はまるで夏山のようだ。登山道を黙々と歩き続け、11時40分山頂到着。予定を大幅にオーバーしてしまったが、体調不良のなか山頂に立てただけで上出来だ。


白馬鑓ヶ岳は夏山のよう


 白馬岳方面からのスキーヤーも沢山登ってきており、それぞれ滑降ルートを見定めたりしている。私も興味本位でこわごわ中央ルンゼを覗きこんだりしたが、岩だらけだし、先の様子もわからない。流石にここを降りていく人はいないようだ。私は当初の予定通り無難な東面カールを滑り降りるつもり。


          やっとのことで山頂に                白馬岳と杓子岳



            中央ルンゼの様子               滑降準備をするスキーヤー達


 山頂から50mほど下った辺りの雪渓がドロップポイント。数人のスキーヤーに続いて私も滑降を始める。正午を過ぎて小さな縦皺なら気にならない程度に雪が緩んでいるので中々快適だ。急斜面に大きめのターンを刻んで大出原へと滑りこんだ。


東面カールを滑る



             まずまずの急斜面              上方を振り返る


 ここから比較的面ツルの斜面を求めて南側へトラバース。気持ちの良いザラメを楽しんで再び鑓温泉へ。この先は縦縞との勝負になり、やや試練となるものの、一応スキーになるので苦痛というほどではない。

 降り切ったところで再びシールオン。既に脚は殆ど残っておらず、ここを登らねば帰れないという帰巣本能だけが前に進ませてくれる。コルからは再び快適ではないがやや楽しめる雪面でのスキー。人様のシュプールを辿って今度は尾根沿いに直接猿倉へと向かった。


            帰路は尾根伝い                 中央のツリーホールに落下


 駐車場まで雪が繋がっているのでやれやれ無事に帰りついたと急斜面を下っていく。ところが駐車場を目前に後5秒というところで不覚の転倒。うっかり枝を踏んでしまった途端、エッジが滑り足払いを食らったように横倒しになってしまったのだ。運が悪いことに、すぐその下にあった、沢水の流れる大きなツリーホールに吸い込まれるように落下した。

 岩場に左足太腿を強打して気が遠くなるほどの痛みに耐えつつ、何とかスキーを外して脱出できたが、顔や手足も擦り傷だらけ。打撲傷の痛みは時間とともに増してくるのが常なので、予定していた温泉やグルメは全てパス。着替えもそこそこに車を出して自宅へと向かったのだった。太腿の痛みに加えて関越35Km渋滞に苛まれるとも知らずに。。。


行動時間  9時間40分


後記
 翌日病院でレントゲンを撮ってもらったところ、幸い骨折はしていなかった。私の場合、どうした訳か登山口が見えてから負う怪我が多い。元来おっちょこちょいで怪我は絶えない方だが、山での怪我は遭難に直結する。改めて気を引き締めねばと文字通り痛感した次第。

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