権現岳   長野・山梨県 2715m          
 


2020年10月20日(火)

 このところ続いた冷たい雨で自宅近くから眺める富士山は、白一色となりすっかり冬の装い。八ヶ岳も冠雪したようなので、雪景色の鑑賞がてら先日DNFの憂き目にあった編笠山、権現岳を再訪することとした。

 年寄りの朝は早い。午前4時に一番乗りで観音平に到着。早速身支度を整えて4時15分に車を後にする。この季節になると山は静寂そのもの。時折聞こえるのは鹿の鳴き声だけだ。それと秋ならではの大量の落ち葉。登山道を覆い隠し、暗闇とおそらくは認知機能の低下も手伝って度々行く手を見失ってしまうほどだ。

 押手川の分岐を確認し編笠山への直登ルートに進んだはずが、ここで痛恨のルートミス。ヘッドランプの明かりを頼りに手探り足探りで進むうち、いつの間にか青年小屋へと通じる巻道へと迷い込んでしまったのだ。引き返そうかとも思ったが、戦意喪失であっさり断念。前回といい今回といい、よくよく私を敬遠していると見える編笠山はパスし、直接権現岳へ向かうことにした。フルコースのはずが、前菜無しのメインディッシュだけになってしまった。


夜明けの富士


 標高が2200mを越える辺りから一面雪景色となってきた。どうやら三日前の積雪が根雪となってその上に前日の新雪が積もっているらしい。7時ちょうどに人気のない青年小屋に到着。予想していた以上の積雪にやや不安を覚える。たかが10月の雪と侮り、アイゼン等の冬山装備を持参してこなかったことを後悔するが後の祭り、今更どうにもならない。行けるところまで行って前進困難なら引き返すことにしよう。


三ツ頭はすっかり冠雪



次第に辺りは雪景色になってきた



無人の青年小屋



登りそこなった編笠山


 先に進むほどに積雪は一段と増してきた。前日の新雪は10cmほど、せいぜい足首程度だが、吹き溜まりでは膝まで潜ってしまう。やっかいなのは森林限界を抜けた岩稜地帯では日当たりが良いせいか、三日前の雪がいったん融けて氷化していること。アイスの上に新雪という理想的な滑り台になっているのだ。幸い、危険区間にかけられた鎖がまだ雪に埋もれていなかったので随分と助けられた。


権現岳へと向かう そろそろ森林限界



権現岳(右手のピーク)が望めるようになってきた



さらに近づく



新雪を踏みしめて登る



やや緊張しながらギボシのトラバース 高度感満点



権現岳が指呼の距離



何度眺めても飽きないこの景色



あともう一息で山頂


 8時40分、頼りない足元ながら、何とかスリップもせずに無事に権現岳の頂に立つことができた。赤岳を始め南八ヶ岳の峰々、たおやかな北八ヶ岳とは対照的に、猛々しいほどに険しく、そこに雪がついた姿は圧巻の迫力だ。



権現岳山頂



編笠山を振り返る バックには中央アルプスと御嶽山



南アルプス


 大パノラマを満喫したところで、つぎのマイルストーン、三ツ頭へと向かう。事故の大半は下山時、スリップしないようことさら慎重に下っていく。急斜面のトラバース地点は幸い、鎖やロープが出ていたので難なくクリアできた。9時50分、三ツ頭到着。ここで軽くランチを摂ったら、後は一気呵成に下るだけ。


ここは急斜面トラバースで残雪期いつも苦労するところ



三ツ頭から振り返るとこの景色



見納め



甲府盆地を俯瞰



標高1800m辺りは紅葉真っ盛り


 雪がある間は慎重に、後は小走りを交えて八ヶ岳横断歩道の分岐まで休まずに下った。駐車場帰着は12時15分。出発時とは打って変わって多くの車で埋まっていたが、早出したおかげで、山中出会ったのは鹿一頭だけ。静かな雪山を心行くまで楽しむことが出来た。


行動時間 8時間



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