2715m 長野・山梨県 | |
2017年8月6日(日) 梅雨明け宣言から梅雨らしくなってしまったおかしな今年の夏。迷走台風5号が日本付近をウロついていることもあり、サンデー毎日の身ながら、山に出掛けるタイミングを中々つかめないでいる。フラストレーションもそろそろ限界と、祈る気持ちで各種予報をチェックすると、この日曜日は何とかいけそうな感触。山域を選び、頑張って早起きすれば多少の晴れ間は期待できるだろう。そんな条件に合うのはアクセスの良い八ヶ岳連峰だけ。盟主赤岳は少々食傷気味なので、久しぶりに権現岳の頂を目指すことにした。 午前4時過ぎにまだ闇に閉ざされた天女山の駐車場に到着。休日にも関わらず広い駐車場はガラガラだ。先着は10台程だろうか、どの車にも人の気配は感じられない。 いつものリチュアルを済ませ、少し明るくなった4時40分に車を後にした。辺り一帯は深い霧に包まれ、木々から落ちてくる滴が降りかかる。上から濡れるだけではない。南八ヶ岳の登山道はどこもそうであるようにクマザサの中を縫うようにつけられている。朝露をたっぷり蓄えた葉は、まるで勢いよく水を噴出するシャワーヘッドだ。今回もあっという間に下半身はずぶ濡れとなり、果ては靴の中にも浸水する始末。
濡れ鼠を我慢しながら、小一時間ほど黙々と歩き続けた。標高2000mを越えた辺りでどうやら雲海を突き抜けたようだ。振り返れば、明るい陽射しにダイナミックな夏雲が映えている。期待通りの展開にワクワクする。
さらに標高を上げていくと南アルプスや富士山の山頂部が雲上に姿を現した。きつい急登に耐えて三ツ頭の頂に立つと、目的地の権現岳とともに盟主赤岳や阿弥陀岳が圧巻の迫力で出迎えてくれた。
だがこれも沸き立つガスに飲み込まれるのは時間の問題だろう。案の定、権現岳直下を登りだす頃には、赤岳は山梨県側から押し寄せた雲に没してしまった。
7時50分、山頂到着。スタートから3時間10分をほぼノンストップで歩き通した。鉄剣の背後にある最高点の岩に恐々攀じ登って遊んでいると、若い単独女性が登ってきた。今朝青年小屋を発ってきたとのことだ。彼女に鉄剣前の特等席を譲り、少し下に降りて本日2度目の朝食にパクつく。 暫くして、ガスの切れ目から陽光が差した途端、「わーっ、すごーい」と歓喜の声。私も駆けつけてみると、何と小ぶりながらブロッケンの妖怪が出ている。彼女は、初めて目にした自然現象に大感激していたのだった。
その後は大勢のハイカーが詰めかけ狭い山頂は大盛況。観音平へ下山するという彼女とともに押し出されるように山頂を辞した。山談義に花を咲かせながら三ツ頭の先にある分岐まで行動を共にした彼女は、愛知から来た気さくな山ガールだった。 その後は時折、ハイカーと行き交うだけの静かで気ままな一人旅。小走りを交えて下り続け、10時30分に駐車場に帰着した。今日は天気もほぼ想定通り。足腰の鍛錬にもなったし、近々予定している南アルプスの山旅に向けて丁度よい足慣らしができた。 それと実はこの日は私の誕生日。古希を目前にしながら、まだ元気に山を歩けたことが何より嬉しいバースデイプレゼントになった。 行動時間 5時間50分 目を楽しませてくれたお花 |