2013年11月23日(土)
晴天が確約されたこの週末、2年ぶりにお気に入りの山の一つ、権現岳を目指すことにした。実は、予定していた本命は昨秋同様、立山での山スキー。幸か不幸か、お気に入りの宿が一杯で諦めざるを得なかった。状況次第では、真砂岳で起きた大規模な雪崩に私も巻き込まれていたかも知れないだけに複雑な心境だ。世の中何が明暗を分けるかわからないとつくづく思う。いずれにしても山スキー同好の士として今回不幸に遭われた方々のご冥福を心から祈りたい。
首都圏から八ヶ岳南部の山は中央高速がスムーズでありさえすれば思いの外近い。ゆっくり自宅を出発したつもりなのに、夜が明けやらぬ前に天女山の駐車場に着いてしまった。そろそろ路面凍結の時期なので八ヶ岳高原ラインの天女山入口止まりを覚悟していたが、道路閉鎖は11月29日からとのことでぎりぎりセーフ。これで少し楽ができることになった。
明るくなるのを待って6時10分に車を後にする。すっかり葉の落ちたカラマツ林のなか、息を整えつつゆっくり登る。ウォームアップがちょうど済んだ頃、天の河原に到着。振り返れば朝日に輝く富士山の秀麗な姿がくっきりと見える。予報通り今日は最高の天気だ。ここで追いついた中年の夫婦連れに挨拶して先に進む。
夜明けの富士山 朝日を浴びるカラマツ林
だらだらした単調な登り坂にうんざりするが、樹間から覗く素晴らしい景観が慰めてくれる。山頂部分が白く粉をまぶしたような南アルプス、もう完全に冬山の様相の中央アルプス、御嶽山、乗鞍岳など、近い峰々から順繰りにショーアップしてくるので気が紛れる。真打は屏風のように連綿と続く北アルプスの真っ白な山並みだ。
薄ら冠雪した南アルプス かなり白くなった中央アルプス
再び樹林帯に入るとカチカチに凍りついた滑りやすい雪道の急登となる。これを登りきると前三ッ頭のピーク。三ッ頭が邪魔をしてまだこれから目指す権現岳の姿を拝むことはできない。もうひと頑張りで三ッ頭のピークに立った。ここで初めて八ヶ岳南部の山々がその全貌を現した。アルプスの山々と比較すると降雪量はいかにも少なくちょっとがっかり。念のためアウターやピッケル、アイゼン等の冬山装備を担いできたが、完全に無駄骨だったようだ。
前三ッ頭 三ヶ頭目指してGo
三ヶ頭から権現岳と赤岳
編笠山の背後に北アルプの山並み
三ッ頭を越えたところで先行していた単独氏に追いついた。前にもお会いしましたねと、私を権現岳の常連さんと勘違いしていたが、どうやらこの界隈を根城にする私に似た還暦オヤジがいるらしい。
雪が付いているとやっかいな山頂直下の鎖場のトラバースも難なく通過。9時20分に権現岳の頂きに立った。記憶では山頂の岩に突き刺さっていた鉄剣は横倒し。それに串刺し団子の山頂標識は無残に崩れ落ちていた。狭い山頂を北側に回って絶景をカメラに収めた後は、陽だまりに移動し、いつものように早目のランチタイムとする。
山頂までもう一息 山頂
北アルプスの山並み
富士山は眺めても登っても良いお山
山頂滞在は20分ほど。絶景を十分堪能できたし、帰路のエネルギー補充も出来たしと言うことで、ぼちぼち下山を開始する。正面に富士山を眺めながら、岩場をスリップしないようにゆっくりと歩き始める。
樹林帯の中は結構雪が残っている 富士山を正面に眺めながらの下山
下り始めてすぐに先日の富士山同様、また足先に異変を感じて憂鬱になる。右足の中指と薬指がピリピリと電気が走るように痛むのだ。今まで一度も問題の無かった履きなれたトレッキングブーツでもこの痛みが常習化してしまったという事だ。症状からしてモートン病に間違いない。合わない靴を長く履き続けることに起因して、足指の横方向のアーチ構造が崩れ、第3趾と第4趾の間にある指神経が圧迫されて起きる障害だ。
既に大枚を投じて準備してきた海外トレッキングの出発の日が迫っている。待ったなしで何らかの対策を取らないといけない。靴を新調するか、インソールを変えてみるか、、、等々、折角の素晴らしい景色も上の空であれやこれや悩みつつ下山を続け、12時15分に天女山の駐車場に帰着した。
雰囲気は良いが単調で苦痛 ハイカーで賑わう天の河原
情けないことに、年を取るほどに何かしらの痛みを抜きには山歩きが語れなくなってきた。今年になってからだけでも、年初の膝痛から始まり、夏は腰痛に悩まされ、そして年末は足指痛に泣くと言った具合。加齢で肉体が徐々に朽ちていくのは止めようがないし、覚悟もしているが、知恵と工夫でオンボロの肉体を何とか一日でも長持ちさせたいものだ。
行動時間 6時間5分
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