船越ノ頭   金山沢            
      


二日目 

2017年5月4日(木)

 昨日は夕食後、迷わず寝床へ直行。頭を枕において5秒後には意識が飛んでいた。翌朝午前4時には心地よい目覚め。爆睡したのでもう一山を越えて下界に戻るパワーは十分チャージできた。

 今日の行程は、船越ノ頭経由、金山沢を滑降し、猿倉へ帰着というもの。船越ノ頭までの標高差は1150m。地元の山に例えれば、丹沢の塔ノ岳一つ分といったところだろうか。


蓮華温泉 旅立ちの朝



朝日岳、五輪山方面 次回はこちらにも足を伸ばしてみたい


 朝食後、すぐに宿を後にする。時刻は6時15分。雨溝の酷い沢を少し登り、ほぼ夏道通りに右手の尾根に取り付いた。シールの効きは上々で順調に高度を上げて行く。眼下には蓮華温泉、空を見上げれば昨日にも増して素晴らしい青空が広がっている。ただ、朝から気温が高いようで、北斜面にも関わらず早くも雪面はぐさぐさだ。


右の尾根に取り付く



ダテカンバの疎林を登る



蓮華温泉が遠ざかる


 天狗ノ庭が近くなるにつれ、斜度が一段と増してきた。キックターンもそろそろ限界となったので、板を担ぐことにした。急斜面につま先を二度三度と蹴りこんで直登する。雪が緩み過ぎて足場が崩れるため、Wウイペットも総動員しての四駆登行だ。


四駆登行するKさん


キックステップで直登



Kさん 雪倉岳をバックに


 斜度が緩んできたところで再びシール登行に復帰するが、右足のシールの効きが今一つ。何かおかしいと足元を見ると、何と足下にあるはずのクトーが見当たらない。シートラで歩いている間にどこかに落としてしまったようだ。

 出発から2時間半で天狗ノ庭を通過。山腹をトラバース気味に進むと樹林も疎らなフラットな地形になってきた。10時ちょうど、白馬大池に到着。一足早いがランチタイムとする。


船越ノ頭(左)と小蓮華岳(右)


 雄大な景色を眺めながら、蓮華温泉で用意してもらった握り飯にパクつく。厳冬期に良くお世話になる白馬乗鞍岳を裏側から眺めるというのは中々興味深い。

 腹が満ちたところで登行再開。船越ノ頭の北斜面はかなり地肌が露出しているため、雪を繋ぎながらハイマツの際を登る。


大雪原を行く私



白馬大池を振り返る 右のピークは白馬乗鞍岳


 10時55分、シールのままピークに登り上げた。早速、滑走予定の金山沢を覗き込んで様子をチェック。上部はえらく急だが、雪が緩んでいるので大事では無いだろう。むしろ湿雪雪崩が心配だ。3年前の悪夢が頭を過る。栂池方面からスキーヤーが三々五々登ってきているので、下手をすれば雪崩に巻き込んでしまう。余りモタモタしてはいられない。


船越ノ頭より金山沢源頭部を望む



三国境方面には巨大雪庇



栂池方面もメローでいい感じ



雪倉岳見納め


 11時25分、Kさんからドロップ。急斜面をもろともせず、ジャンプターンの連続で滑降していく。スラフも流れないので雪面は安定しているようだ。続いて私。急でもザラメなのでターンが良く決まってくれる。標高差500mはあっという間だった。


Kさん Ready to drop in



滑降開始


私も続く



どんどん落ちるKさん


どんどん落ちる私



更に落ちるKさん


更に落ちる私


 楽しい滑降が更に続く。前回は上流から下流までデブリランドと化して陰惨な印象を与える沢だったのに、今回は一転して全く別物。雪面はきれいだし、広々して明るい雰囲気に好感度は一気にアップしてしまった。

 ちなみに若い女性向けメディアに依れば「第一印象が“最悪”な男こそ、理想の彼氏になる」のだそうな。山も同じかも。それでも流石に大雪渓に合流する手前、標高1500m辺りの狭いところでは土砂を巻き込んだデブリが出ていた。強面の意地を見せたということだろうか。


デブリはここだけ



大雪渓に合流



林道に合流


 林道に出てからはヒールフリーで半ば自動運転。駐車場一歩手前でツリーホールに落ちて怪我した前科があるので、最後まで気を抜かずに滑り終えた。猿倉帰着は12時20分。

 二日間で33qを踏破するロングツアーながら、天気、雪質、それに良き相棒に恵まれ、安心安全の山旅を満喫することが出来た。Kさん、今回も感謝です。


行動時間  6時間5分


一日目



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