富士山BC    山梨・静岡県        百名山
      

20145月29日(木)

 スキーシーズンの〆は富士山と決めている。先週の富士宮南面ルートがすこぶる快適だったのに味をしめて、富士山へ二度目の板納めに向かうことにした。今回は山梨側の吉田ルートを登って吉田大沢を滑るつもり。今度こそ今シーズン最後の山スキーだ。

 今年の富士スバルラインは雪崩の危険ありとのことで時間限定の営業。午前
6時の営業開始時刻に合わせて10分前にゲートに到着すると、既に数台の車が列をなしていた。いずれも家族連れや物見遊山の観光客で、山姿は見当たらない。平日とはいえ大盛況だった富士宮口とは何という違いだろうか。

 ゲートオープンとともに前の車に続いてヒルクライム開始。
5合目までは15分ほど。駐車場に車をとめて手早く準備を済ませる。吉田ルートの下部には通常雪が無いので、前回同様足元は登山靴にした。板とブーツを背にして635分にハイクアップ開始。


            残雪豊富な富士山                             南アルプスも遠望


 駐車場から晴れ渡った空を見上げると、残雪の白さがくっきり際立つ富士山の凛々しいお姿。西にはやはり白い頂きの南アルプスの高峰が連なっている。しかしこの好天は朝のうちだけだ。予報に依れば、気圧の谷が通過する昼ごろから徐々に崩れるとのこと。午前中が勝負なので先を急がなくては。

 今冬は本当に大雪だったようだ。富士精進線の周辺は正に豪雪地帯。分厚い雪渓が間際まで押し寄せているし、雪崩に押し流されたと思しき木々の残骸がそこかしこにある。


           押し寄せる雪渓末端                               吉田大沢の様子


 
6合目からは、いつものように落石防護柵に沿った夏道を歩く。7合目まで来るとすっかり雪道になったのでアイゼンを装着。しかし気温が高いせいか、雪が緩み過ぎて爪が雪面を噛んでくれない。足場が安定せず歩きにくいことこの上ない。過去のトレースからしっかりした踏み跡を見つけて少しでも足場を確保しようとするが、気温上昇とともにこうした踏み跡もザクザクになってしまった。


         しばらく夏道を登るが、、、                               すぐに雪道に



吉田大沢の様子



吉田大沢の様子


 疲れる足元から時折、空に目をやると、先ほどまでの晴れ間はどこへやら。はっきりと目視できるスピードで入道雲がモクモクと沸き立ち増殖している。しばらくすると雷鳴も轟いてきた。やはり予報通りの展開だ。視界が閉ざされるのも時間の問題。ペースを速めなければと気ばかり急くが、標高
3000mを越えた身体は反応が鈍くちっとも応えてくれない。9合目の鳥居が視界に入ってからがどえらく長かった。


            入道雲がモクモクと                               道のりは遠い



ここが一番辛かった


 頼りない足場と肩に食い込むザックに毒づきながら歩き続け、
1230分、山頂に到着。昨年より1時間も余計にかかってしまった。ワースト記録の更新だ。ゆっくり休憩したいのは山々だが、ガスがどんどん流れて見る見る視界が悪くなっているので気が気ではない。ノンストップで白山岳との鞍部へと向かう。最初は見えていた剣ヶ峰もいつの間にかガスに飲み込まれてしまった。


          半分雪に埋もれた鳥居                             やっとのことで山頂


 予定では白山岳山頂から滑降するつもりだったのだが、ぐずぐずしているとホワイトアウトになってしまう。鞍部からのスタートに甘んじることにしよう。


          白山岳の頂きから滑ろうとするも、、、                 視界が無くなってしまい諦め


 急いでブーツを履き替えて
1255分、滑降開始。視界に難ありだが、起伏の無いザラメ斜面がすこぶる快適だ。広大な吉田大沢のバーンに大回りのシュプールを刻んでどんどん落ちる。殆ど休む事もなく、標高差1160mを20分足らずで滑り降りてしまった。


下降すると視界は回復


 標高
2900m辺りでスキーヤーズレフトの雪渓に乗り換えているシュプールがあるのが気になったが、視界がどんどん悪くなっているので不用意な追随は止めておく。夏道に近い無難な雪渓の滑降を継続する。標高を下げても落石も少なくきれいなものだ。最終的に6合目の落石防止壁近くまで滑り降りることができた。前回、落石だらけの斜面を強引に下っても、やっと7合目までだったのと比較するとかなり得をした気分だ。


          7合目を過ぎてもまだ滑れる                       6合目近くまで来て板を外した


 雪渓の端で再び登山靴に換装していると、ガスが一段と濃くなって見る見る視界が無くなってしまった。間一髪間に合ったという感じ。

 細々とした雪渓沿いを伝って下ると巨大な堰堤の上に出てしまい立ち往生。ガスの中、右往左往して降口を探し、何とか夏道に降り立つことができた。観光客で賑わう
5合目へと向かい、午後230分に車に帰着。

 結局山中では誰一人出会うこともなく、大賑わいの富士宮ルートとは極めて対照的に静かな富士山にどっぷり浸ることができた。今回は緩んだ雪に苦戦させられてえらく消耗しただけに完全燃焼。天候は冴えなかったが、今シーズン最後の山スキーを思い残すことなく終えることができた。板とブーツをチューンアップに出し、装備も頭も夏山モードに切り替えることにしよう。



行動時間  7時間50分


滑降データ
Maximum Speed 26.4 kmh
Distance 2.9 km
Vertical 1132 m
Slope 36°
Duration 00:17:04


 Map    Track    Weather  Map
   トップ    山歩き  
 
inserted by FC2 system