富士山BC    山梨・静岡県        百名山
      

20145月24日(土)

 富士山にまつわる諺に「登らぬ馬鹿、二度登る馬鹿」というのがある。馬鹿を通り越すとマニアの領域。いつの間にか今回で10回目の登頂になってしまった。遠目には眉目秀麗でもあっても歩いてみれば火山礫や岩の荒涼とした山。しかし通うほどに惹かれる不思議な山なのだ。富士登山回数3桁の、超のつくマニアが何人もいるのがわかる気がする。

 この季節、週末はスキーヤー、ボーダー、登山者で大盛況。
100人以上が山頂を目指すそうな。スキーでは過去2回訪れているが、いずれも6月に北面の残雪狙いで富士吉田口からのアプローチだった。今年は南面も残雪豊富とのことで、初めて富士宮ルートを利用することにした。

 早朝
6時に5合目の駐車場に到着したが、何と最上段の駐車場はびっしりと満車状態。噂にたがわぬ盛況ぶりだ。一段下がった駐車スペースに車をとめて635分、ハイクアップ開始。シールがどこまで使えるかわからないので、足回りは歩き易さを最優先に登山靴。ブーツとスキーはバックパックだ。


          最上段の駐車場は満車状態                 駐車場まで切れ切れながら雪がつながっている


 見上げると雪は駐車場のすぐ近くまでつながっているようだ。さらにその上の雪渓には既に何十人もの連中が砂糖に群がる蟻のように連なっている。雪はまだカチカチなのでアイゼンが必須。足の負担を少しでも減らそうと雪渓の際のガレ場を登ったが、足場が悪くてスリップ多発。結局どちらが楽だったのかわからない。


山頂を目指す多くの登山者


 尾根を一つ乗り越すと遥か山頂の高みに向かって一面の雪となった。ここで観念してアイゼンを装着。考えたら今シーズンはシール&クトーばかりだったので初めてのアイゼンだ。今シーズンとしては最初で最後かも知れない。


小尾根を乗越して隣の雪渓へ


 直登している人達が多い中、私はジグザグに登行する。歩く距離は長くなっても斜度を抑えた方が、直登より疲労は少ないと思うのだが、果たしてどうだろうか。


        登山者とスキー・スノボーはほぼ同率?       


 標高
3000mを越えると疲れと薄い空気で頭はぼんやりとし、足の運びも鈍ってくる。そんな時、上から眠りを覚ます「ラークッ」の大声。見上げると人の頭ほどの石が凄まじい勢いでころがり落ちてくる。幸い、フォールラインに人はいなかったので大事に至らなかった。

 7
合目では、うれしいサプライズが待っていた。雪に埋もれた小屋脇で休憩中の一団のなかに、何と先週、北アルプスをご一緒して頂いたKさんがおられるではないか。今月富士山に登るとおっしゃっていたのでひょっとしたらと思っていたが、まさかお会いできるとは。ずっとシール&クトーで頑張っておられるそうだ。アイゼンを持ってこなかったのでシール限界まで登って滑り降りる由。


              Kさんと再会                             シール&クトーで頑張るKさん


 
8合目を過ぎてからが辛い。9合目は、遥かな高みのままで中々近づいてこない。青息吐息の私とは対照的にKさんは快調そのもの。クトーを効かせてガシガシと先行する。9合目を越えて一段と斜度が増した辺りでKさんが待ち構えていた。彼は山頂を狙わずここから滑降するそうだ。


            快調に飛ばすKさん                          ようやく山頂が手の届くところに



        雲海をバックに登る私(Kさん撮影)                  山頂へ最後の力を振り絞る私(同左)



山頂手前より見下ろすと後続の列が延々と続いていたので驚く


 K
さんと別れてから、またひと頑張り。4時間30分かけてようやく浅間大社に着いた。ザックとスキーを神社の裏手にデポして剣が峰へと向かう。雪面はコンクリートのようにカチカチだ。剣が峰を登りつめるとレーダーサイト跡にはボーダーの団体さんがいて割り込む隙間が無いほど。火口に眼をやるとボーダーらしき一人が登り返している。雪面が全く緩んでいない状況で一体どこを、どう滑り降りたのだろうか。


            雪に埋もれた鳥居                              剣が峰へと向かう



             剣が峰は人でいっぱい                   



浅間大社を振り返る



白山岳


 再び神社へと戻り、ザックを回収し下山を開始する。山頂直下は岩が露出しているし青氷の個所もある。それに登山者が引きも切らず登ってくるのでスキーはとても無理。登山靴のまま
50mほど下り、人通りから少し離れたところを整地してブーツに履き替えた。

 
1230分に滑降開始。雪は緩み具合も丁度良く、極上のザラメだ。スキーヤーズライトは登山者が列をなしているので、左側の大斜面を思いのまま滑降する。滑っているのは私だけ。大勢のギャラリーの目を意識して、みっともない転け方だけはすまいとちょっと緊張する。


スキーヤーズレフトの斜面を滑る


 かなり左手寄りに滑ってきてしまったので右に進路修正。
7合目で一旦スキーを外して小尾根を乗り越え、登行した雪渓へと戻った。この先、もう一度雪渓を乗り換える必要があったのだが、タイミングを失して結局6合目の小屋に降りてしまった。ここまで標高差1000m20分足らず。


どこまでも快適


 
7合目を過ぎると雪はザクザクとなり、さらに縦皺も出てきて快適とは言い難い状況になってきた。6合目からはスキーを担いで最初の雪渓に戻り、さらにしつこく50mほど滑ってからスキーを外した。後は駐車場まで僅かな距離を歩いて今年初の富士登山は無事終了。降りてから気がついたが、Ski tracksをOnにし忘れていた。滑降記録が取れず返す返す残念。

 大の字のつく満足感に浸りながら新緑が眩しい富士山スカイラインをゆっくり流して帰宅の途に就いた。今回で板納めのつもりだったが、富士山にはまだ雪と未練がたっぷり。どうもまだ機が熟していないような予感。。。



行動時間6時間45

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