富士山BC    山梨・静岡県  百名山      
      

201365日(火)

 入梅したばかりというのに、このところ晴天が続いている。先々週、飯豊の石転び沢で今シーズンのスキーは手仕舞いしたつもりだったのが、心のどこかに焼けぼっくいが残っていたらしい。好天につられて再び火が燃え盛り、富士山で二度目の板納めをすることになってしまった。思い起こせば昨年も同じような顛末を辿り、〆はやはり富士山だった。

 昨年同様、残雪豊富な北面の大沢狙いだが、今回は少し変化を持たせるため、大沢から屏風尾根を乗越して小御岳流しに転進する腹積もり。

 午前
5時前にスバルライン終点の富士吉田5合目に到着。520分、板とブーツを背にスニーカーを履いて歩き出す。駐車場を見渡すと登山者に混じってスキーヤーの姿もチラホラ目に付く。どうやら往生際が悪いのは私だけではないらしい。駐車場から見上げる小御岳流しは、青空をバックに一条の真っ白な残雪が美しい。


スバルライン5合目駐車場より小御岳流し(左側の雪渓)を望む


 しばらく林道を歩いて
6合目に到着。ここから見上げる大沢は雪渓の末端が7合目辺りまで続いているものの、岩肌の露出は多く、残雪は昨年の同時期より明らかに少ないようだ。


              大沢の残雪                                 昨年6月18日の様子


 背にした荷は重いがスニーカー歩きは快適至極、兼用靴とは比較にならない。息が乱れない程度の、まったりペースでシーズン開幕前の静かな富士を満喫しながら歩く。平日の早朝ということもあって夏富士の喧騒とは無縁の「
My富士」、「My世界遺産」だ。山頂までに見かけたのはお三方のみ。大沢の雪渓を遡行するスキーを背負った単独と、8合目で休憩中の登山者二人だけだ。


           すっかり露出した夏道を行く                      大沢の雪渓にスキーヤー


 8
合目を過ぎると夏道に雪が出はじめた。雪が硬くステップもしっかりしているので足元はスニーカーのまま続投。標高3400m辺りに達したところで、大沢から小御岳流しへの屏風尾根乗越ポイントを確認する。トラバースルートの下部にある三角岩がどうやら格好のランドマークになりそうだ。


               8合目を望む                          小御岳流しへのトラバースポイント


 9
合目を過ぎると時間的に流石に雪が緩んで来て、踏み抜いたり雪解け水で浸水が始まったりとスニーカーでは辛くなってきた。そろそろ限界と思いつつも、快適さの誘惑に負けて、びしょ濡れのスニーカーのまま歩き続ける。


            雪道でスニーカーも限界                    下界には雲海がもくもくと湧き出てきた


 山頂の久須志神社に
1010分に到着。時間も早いことなので、ふとお釜に初挑戦してみようかと言う気になった。ところが、所詮軟弱男の哀しさ、白山岳をトラバースしかけたところで御殿場側からガスが盛んに上がっていることに気づき、途端に気力が萎えしまった。お釜滑降は次回の宿題としてあっさり撤回。視界不良とならないうちにさっさと大沢を滑り降りよう。


              もう一息で山頂                               やっと着いた



お釜滑降に意欲をそそられたが、、、


 引き返して白山岳鞍部から下界を眺めると雲海が大分高くなってきているが、幸い視界を妨げるほどではない。手早くランチを済ませて
1115分、滑降開始。雪面は細かく波打っていたり、細いクラックが走ったりしているが、適度に緩んだザラメでまあまあ快適だ。


白山岳より滑降開始


 途中で登ってきたスキーヤーに挨拶してトラバースルートへと進む。ところが遠目では分からなかったが、この辺りは深さ
1mほどの縦皺が連なっていて溝の幅もあるため、スキーではなかなか越えられない。強行突破しようとするとスキーの先端が壁に刺さってしまう。


         ランドマークの三角岩が見えてきた                      高さ1mの縦縞が連続


 四苦八苦してようやく屏風尾根を乗越し、小御岳流しの最上部に立った。先週末のものらしいシュプールが一本残されている。遠目には美人に見えたが、近くで見ればあばただらけのおぞましいお姿。雪面はスプーンカットの一歩手前というか、凸凹に波打っているし、しかもまだ十分緩んでいない。硬くて板が跳ねるのでバランスを崩さないように滑るのが精一杯。


小御岳流しの全体像、雪面は凸凹だらけ


 コブに跳ね飛ばされて何回も転ける体たらくで、雪の緩んだ大沢の大斜面にすれば方が良かったとつくづく悔やむも後の祭り。それでも時には上手く描けた円弧もあって
5合目から遠望できるかな等と能天気なことを考えつつ、何とか末端まで下降した。


        スバルラインの5合目駐車場が見える                  雪渓末端、ここから修行系の歩き


 ここからはスキーを担いで歩き出す。火山礫のザレた斜面は、それでなくとも歩きづらく、ともすれば足首まで埋まってしまうので正に難行苦行。下部の小さな雪渓二つを縦断して樹林帯へと向かう。ここでわざわざ密度の濃い藪に突入してしまい、スキーを担いでの藪こぎという最悪のパターン。顔に引っかき傷をつくりながら、這這の体でお中道へと出た。駐車場に戻る道すがら、例によって観光客の奇異の目に晒され気恥ずかしい思いをしながら車に帰着。


             藪を漕いで、、、                                お中道へと出た


 今回はスキーを楽しむというには程遠かったが、新たなルートにチャレンジできたので大満足。燃焼感も十分だ。石転び沢の燃え残りは完全燃焼できたので、今度こそ目出度く今シーズンの板納めができた(はず?)。


行動時間  7時間35分

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