富士山  山梨・静岡県 3776m    百名山  
 


2012
828


 来月に予定の海外トレッキングに備えて富士山に登ることにした。如何程の効果があるのか疑問だが、少しでも高度順応の足しにするためだ。過去、富士宮口と河口湖口は利用したことがあるので、今回は目先を変えて御殿場口から。この登山口は5合目とは言え、これまでで最も標高の低い1440m。頂上との標高差は2336mもあってかなりキツそうだ。

 最近は何故かこうした体力酷使系の山歩きばかりしている。俗に言う
M嗜好になってきたようでちょっと心配。。。ともあれ今回は高所体験が主目的なのだが、実はもう一つやりたいことがある。それは、私にとって銀塩時代以来となる一眼レフ「オリンパスOM-D」のデビューなのだ。カメラ操作の習熟、それとモンベルで買ったカメラバックとの相性を確認するつもり。

 自宅を午前
3時に出発。富士山は意外な程近い。100km少々の距離なので登山口には5時前に余裕で到着できた。駐車場は半分程度埋まっているものの、登山者の姿は数える程しかいない。聞けば御殿場口は富士登山者全体の3%しか利用していないそうだ。平日のせいもあろうが、やはりマイナーな登山口らしい。

 朝食、身支度といつものリチュアルを済ませて
5時きっかりに車を後にした。遥か彼方に聳える富士山目指してザクザクと火山礫を踏みしめて歩き出す。御殿場口から山頂までは、直線距離で11kmもあるので広大な裾野を嫌というほど歩かねばならない。


             鳥居をくぐって出発                              火山礫の続く裾野


 出発してすぐ、大石茶屋を過ぎた辺りで日の出を迎えた。早速おニューのカメラを取り出して、モルゲンロートに染まる富士山や周辺の山々に向けて何枚もシャッターを切った。

 朝日を背に受けながら
SF映画の舞台になりそうな広大で荒涼とした火山礫地帯を黙々と歩く。どこまで行っても景観に変化は無く何とも単調。御殿場口は修行系のコースだと聞いていたが、確かに言い得て妙だ。しかしよく眺めれば荒涼とした火山礫ばかりの世界ではない。植生の潤いがある。黄色の花のオンダデや、紫色の花をつけたフジアザミ等々、極限の環境で生きるしたたかな高山植物だ。


              フジアザミ                                    オンタデ?


 やがて二ツ塚が同じ目線になる頃、先行していたハイカー達に追いついた。若い男女のグループ、カップル、子供連れ、単独の中高年等、年齢、性別もばらばらでいかにもポピュラーな富士山らしい。皆さんに会釈をして先に進ませてもらう。単調極まりないジグザグの道を黙々と登る。もうそろそろ七合目かと期待していたら、まだ六合目なのでがっくり。五合目から六合目まではうんざりするほど長かった。

 どうした訳かこの辺りからカメラが突如不調に。「書き込み禁止」のメッセージがファインダーに現れてシャッターが下りないのだ。仕方ない。山頂に着いてからゆっくり直そうということでカメラはしまい込んだ。


            二ツ塚が眼下に                           永遠と思えるほどジグザグに登る



               日の出館                                      砂走館


 そろそろ足に乳酸が溜まってきて足が重くなりペースダウン。七合目の日の出館で早目のランチタイム。コンビニのパンでエネルギー補充をして歩行再開。火山礫の足元も踏み固められて少し歩きやすくなってきた。それに疲れた足に栄養が回ったのか、再びペースが上がってきた。


             頂上まで後わずか                               下界は雲海


 バテバテの若者一人を追い抜いて
1045分に浅間大社に到着。自分としては精一杯頑張ったつもりだが、5時間45分もかかってしまった。富士山フリークの方のHPによれば、このコースは軽く5時間を切って当たり前らしい。やはり素人にはそんなに甘くはなかった。


              直下まで来た                                   浅間大社


 さて問題のカメラ。休憩がてら腰を据えて設定をやり直し、何とか撮影できるようになった。しかし
SDカードの初期化からやり直したので、登る最中に撮りまくった画像は全滅。従いここに掲載されている写真は全て山頂到着以降のものだけだ。


山中湖



剣ヶ峰



駿河湾を望む


 高所順応のためには山頂に出来るだけ滞在しないと意味がない。時間もあることなので反時計回りでお鉢巡りをすることにした。須走ルートを見下ろしながら北側へと回る。
6月に滑った吉田大沢の雪はすっかり消えて赤茶けた火山礫のスロープになっており、全く雪山の面影はない。


          吉田大沢へのドロップポイント                        賑わう富士山最高点


 剣ヶ峰は若い人で賑わっていた。その中に割り込んで一応最高地点は極めておく。太平洋を眺めながらぐるりと浅間大社へと戻ってお鉢巡り終了。トイレを済ませて下山を始める。


           宝永山目掛けて降りていく                        まだ登ってくるハイカー多数


 七合目まで下ったところでザックカバー、スパッツを付け、顔面をタオルで完全にマスクしている人がいた。大砂走り対策らしい。そこまでしなくともと、無防備のまま大砂走りに突入。まるで深雪を滑り降りるようだ。足首まで火山礫に埋もれ、雪煙ならぬ土埃を巻き上げながら下っていく。


           大砂走りに差し掛かった                               振り返ってみた


 一歩
3mで飛ぶように歩けるというが、それは無理でも効率が良いのは確か。私の場合、GPSのトラックレコードを見ると、精一杯の大股で歩いて時速6km前後とまずまずのスピードで下っている。下りに要した時間は2時間20分、しかし全身土まみれだ。上下ウエアはもとよりザックからカメラバッグまで細かい粒子の火山礫が入り込んでいた。やはり万全の対策を取るべきだったとちょっと後悔。


大砂走りもそろそろ終わり、五合目の駐車場が見えてきた


 ところで高度順応の方はどうだったのか。私の場合、ちょうど六合目辺り
2800mがひとつの鬼門らしい。軽い倦怠感を覚えて足に力が入らなくなった。これはアルプスなど他の山でも同様のことが起きるので特に心配はしていない。ただ気になったことが一つ。今まで登山で頭痛がすることは滅多に無かったが、今回は軽い頭痛を経験した。それも大砂走りを下山中の最中だったので高度との相関が今ひとつ良くわからない。いずれにせよ、富士山程度の標高であれば、海外トレッキングの際にも高山病に苦しむことは無いだろう。問題は4000m以上だがこれは経験してみないと分からない。

 カメラバッグの方は期待外れだった。カメラの出し入れに一々手こずってかなりイライラさせられた。それと防塵仕様のカメラだったから良かったものの、ボディからレンズまですっかり土まみれになってしまった。これは次回までに何とかしておかないと。



行動時間 9時間45
歩行時間 9時間


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