富士山静岡・山梨県 3776m      百名山   
 

201410月24日(金)

 秋が深まるにつれて雪の便りが日本各地から聞こえてくる。北海道では早くも10月にオープンする自然雪スキー場もあるとか。関東周辺で、この時期唯一の積雪地帯は富士山の山頂付近。雪化粧に加えて裾野の紅葉が素晴らしく、秋と冬を同時に楽しむことができる。そんな富士山に、このところの冷え込みと前線通過でかなりの降雪があったらしい。新雪の感触を確かめようと早速出掛けてきた。

 午前
6時過ぎに今回で7回目となる富士宮5合目登山口に到着。平日のせいか、広い駐車場はガラガラ。登山者のものと思しき車が数台とまっているだけだ。見上げる富士山は、期待していた通り8合目辺りから上が真っ白に冠雪している。わくわくしながら早速身支度開始。ロングスパッツを身につけ、半年ぶりに押入れから引っ張り出したアイゼン、ピッケルを背負って車を後にした。


         富士宮登山口より 冠雪した山頂                       紅葉黄葉真っ盛り


 6
合目まではダラダラ登りで軽いウォーミングアップ。朝日に輝くカラマツの黄葉を愛でながらゆっくりと登る。朝の冷え込みで火山礫に含まれる水分が凍結しているようだ。踏みしめた足元が砂走りのようにザクザク崩れないのでとても歩き易い。


           6合目のバリケード                        新7合目を過ぎると雪が現れてきた。


 新
7合目を過ぎると斜面には白いものが混じるようになってきた。初めは粉を薄くまぶした状態、それが白とグレーのまだら模様となり、いつしか辺り一帯は真っ白な雪景色となった。登山道は半ば凍結、半ば吹き溜まり状態になっている。時折スリップするのが煩わしいが、アイゼンを必要とするほどではない。


          積雪は次第に増えてきた                    フットプリントの数からすると先行者は2,3人


 つぼ足のままでハイクアップを継続。雪の吹き溜まりでは、膝下までもぐってしまうことがある。そんな所は、先行者のつけた雪面の踏み抜き跡を有難く使わせて頂く。いきおい脚の上げ下げの動作が大きくなるので息が切れるが、自らラッセルするよりましだ。


          あっという間に抜き去られる                         吹き溜まりは膝まで 


 
9合目(標高3500m辺り)を越えると高度障害の一つ、眩暈の症状が出てきた。頭がクラクラして足元がおぼつかない。最近富士山で毎度悩まされるようになったこの眩暈、体調のせいか今日は特に酷いようだ。頭を上下や左右に大きく動かすと、途端に平衡感覚がおかしくなる。ストックで身体を支えていないと、立っていられないほどだ。

 そんな有様でもたもたしていると、後ろから中年の登山者が急ピッチで追いついてきた。私を追い抜くと後ろ姿が見る見る遠ざかっていく。いつもなら少しむきになるのだが、気力がすっかり萎えているので追随しようという気にもならない。
9合目を過ぎると完全に息が上がって更にペースダウン、すっかり牛の歩みになってしまった。

 5合目から4時間15分かけて、ヘロヘロ状態で浅間大社に到着。3年前には無雪期とは言え、同じコースを2時間45分で歩いたとはとても信じられない。今年5月には、スキーを担いで登ったが、その時の所要時間と大差ないのもショッキング。我が身ながら一体どうなってしまったのか。


         この辺りが一番きつかった                               浅間大社


 考えられる理由はいくつかある。最近体重が増えて明らかにメタボになっていること、直近に
3000m級の山を歩いていないこと、それと考えたくないが、つい最近高年期のジャンル入りしたこと。。。寄る年波には勝てない、自然の摂理と割り切るしかないがちと悔しい。。。そんな胸中のほろ苦い思いを振り切り、せっかくここまで辿りついたからにはと最高地点の剣ヶ峰へと向かった。


         剣ヶ峰を目指す足跡は二人分                       ヘロヘロになりながら最高点へ


 雪面についた足跡は
2人分。剣ヶ峰直下でまた若者に追い抜かされたので計3人分の足跡を追う。ゆっくり歩いても息が切れる。20分ほどで剣ヶ峰に到着。ここからの雪を頂いた富士山のお鉢の眺めはまた格別だ。風もなく穏やかな日本最高点で雄大な景色を楽しみながらの優雅なランチタイム。しかも一足先に到着した若者はさっさと下山してしまったので、剣ヶ峰は私だけの貸切だ。


        タッチの差で先行した若者はすぐに下山                   八ヶ岳は冠雪していない



富士山頂はすっかり冬の装い


 エネルギー補給を終えて、そろそろ下山準備にかかる。無くても済みそうだが、せっかく持参したので
12本歯のアイゼンを装着しておく。眩暈はまだ治まっていないので足の運びは慎重に。下りも牛の歩みだ。

 9
合目からは先に下山した人達の足跡を追って、私もブル道を歩いてみることにした。距離は長くなるが、勾配が緩いので少し楽。標高が下がるにつれ、低酸素のダメージが解消されて頭のクラクラが治まってきた。


今年5月にはこの辺りからスキー滑降



     まだスキーは無理だが、あと一降りもすれば。。。                 麓は紅葉、黄葉真っ盛り              


 7合目で登山道と合流。雪の消えた登山道をペースアップしてどんどん下る。6合目まで下ると何やら人声がする。それも中国語。外国人観光客が三々五々ハイキングしている。その合間をぬって下り続け、午後220分に無事駐車場に帰着した。今回で富士山は13回目。慣れるほどに楽になるかと思えば、事実は全くその逆。それでも私にとって色々な意味で修養の場を提供してくれる有難い存在だ。しかし、今日のような体たらくではとても富士山フリークのお歴々の仲間入りはできそうにない。。。


行動時間  
7時間40

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