2010年9月19日
恵那山には幾つか登山口があるが、ハイカーによく利用されているのは神坂峠(みさか)と広河原の2ルートらしい。前者は登山口で既に1600m近い標高があって一見楽そうだが、アップダウンがきついし時間もかかる。一方、後者は開かれて10年足らずの新ルートで標高差が1000mを越えものの、山頂への最短コースの由。営林署のプロが関わった登山道とかでとても歩きやすいらしい。今回はこの広河原コースから登ることにした。
昨日は光岳を終えた後、飯田市内へ立ち寄って夕食をとったため阿智村に入った頃には、すっかり日が暮れてしまった。477号線(峰越林道)に入ってすぐ、月川温泉の近くで立派な公衆トイレを見かけたのでその前に車を停めて夜明かしすることにした。歳をとるとどうしてもトイレが近くなるのでこうした環境がとても有難いのだ。やっと寝場所が決まってクーラーボックスで冷やしておいたビールを遠慮なく呑めるのも嬉しい。
午前3時半に目を覚ました。空を見上げると満天の星、曇天の予報であったが外れてくれたようだ。ちょっと早いがカップ麺の朝ごはんを済ませて、峰越林道を登山口へと向かった。宿泊場所からせいぜい15分程度でゲート前に到着。真っ暗闇だが車がずらりと並んでいるのがわかる。駐車スペースは既に一杯のようだ。少し戻った林道脇に車を停める。小屋泊まりをするような山ではないので皆さん車中泊をしているのだろうが、4時半を過ぎても誰も起きだす気配が無い。暗いうちに本谷川を渡渉したくなかったのでしばらく車のなかで待機、5時を待って出発した。例によって一番乗りかと思ったら後ろからヘッドランプがついて来る。早起き鳥は私だけではないようだ。林道を2kmほど歩くうちに白々と夜が明けてきた。林道途中に立派な登山口の案内がある。ここから頼りない丸太橋を渡って対岸の登山道へと取り付く。事前調査の通り、ジグザグの道はとても歩きやすい。それに途中途中に合目標示があるので励みになる。
熊笹のなかを登る 合目表示があって励みになる
展望が広がってきた 熊笹の朝露ででびしょ濡れになる
最初は樹林のなかだが、次第に展望が開けてきた。尾根筋に出ると北東方面の景色が一気に広がった。南アルプスであろうか。あれほどの星空が一転して雲の多い天気になっている。ガスが流れて期待したほどにはクリアな眺望が得られないのは残念だ。そのうち熊笹に覆われた緩やかな尾根筋を進むようになる。朝露をたっぷり身にまとった笹を掻き分けるので、たちまちズボンがびしょ濡れになってしまった。まさに露払いとはこのことだ。そのうち振り返ると北方向にも山が見えてきた。これは中央アルプスだろう。苔むした木々と大きな石が配置された日本庭園のようなところを過ぎると、じきに山頂だ。ここまで2時間30分、たっぷり汗をかかせてもらったが、時間的にはお手軽なハイキングだった。三角点の近くに恵那山神社の祠と展望用の櫓があった。背の高い周囲の針葉樹林で展望の無いことに対するネットでの不評に地元が配慮したのであろうか。さっそく櫓に昇ってみた。ガスの合間から中央アルプスの黒々した峰々が見えている。南アルプス方面は流れるガスに覆われ見え隠れしている。
頂上の標識は貧弱でちょっとさみしい
山頂の社 展望櫓
独り占めの頂上をしばらく楽しんだ後、下山を開始した。静かな往路とはえらい違いで、途中から切れ目が無いと言っても大袈裟ではない程、引きも切らず登ってくるハイカーと行き交うようになった。やっと百名山の本領発揮だ。人の流れに逆らいながら下山を続け、駐車場には9時35分に帰着した。全行程4時間半程度、ちょっと急ぎ過ぎたかも知れない。しかしこれで中央道の大渋滞は避けられるだろう。午後の早い時間に一番クリティカルな個所を通過して目論み通り高速をスムーズに抜けて帰宅することが出来た。
本谷川、釣り人がいる 林道のトンネル
百名山不人気ランキングによく登場する恵那山だが、私は「気に入った」と敢えて言いたい。大パノラマは望むべくも無いがそれなりにアルプスの展望も楽しめるし、何よりも熊笹に囲まれた登山道の明るい雰囲気が何となくホームグラウンドの丹沢を連想させてくれて心地よかった。もう一つの不人気山、申し訳ないが本当にぱっとしなかった光岳とセットで登ったことも多少影響しているかも知れないが。。。 山頂がどこかという議論もあるかも知れない。私は三角点と櫓ですっかり山頂に到達したと信じて疑わなかったが、国土地理院の地図ではさらにその先の最高峰を山頂としているようだ。
行動時間 4時間40分(林道歩き含め)
歩行時間 4時間10分
歩行距離 12.1km
標準CT
5時間40分(林道歩き含まず)
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