2016年3月26日(土)
2年ぶり、3回目の越後駒ヶ岳BC。寡雪の今シーズンにも関わらず、前日の降雪で新雪はたっぷりあったし、天気にも恵まれ、宿題にしていたオツルミズ沢源頭の滑降も3度目の正直で実現することができた。しかも季節外れのふかふかパウダー。しかし世の中すべからくゼロサムゲーム。お楽しみの後は悪雪に泣かされる難行苦行の下山となった。
午前6時のシルバーライン通行止め解除時刻に合わせてゲート前に到着。既に車数台が列を成している。ゲートオープンとともに各車一斉にスタート、曲がりくねった道を駆け上っていく。長いトンネルを抜けて石抱橋に着くと青空をバックに真っ白にお化粧した越後の山々が出迎えてくれた。
またやって来ました
いつもの出発前ルーティンを手早く済ませ、6時40分にハイクアップ開始。前日の降雪は20㎝ほどだろうか。以前のトレースはきれいにリセットされ、そこにはスノーシューとスキーの真新しいラッセル跡が二本。トレースのお陰で楽をさせて頂き、難なく柳沢の出合いに着いた。
トレースを有難く拝借
道行山へ向かうトレースはここで二手に別れていた。スノーシューは一番目の支尾根へ、スキーはセオリー通り柳沢沿いの二番目の支尾根へと向かっている。私はもちろん後者へ。
二番目の支尾根へ トップを行く新潟の方
急坂をキックターンを繰り返しながら登っていくと、尾根筋に出た辺りでようやく先行するお二人に追いついた。先頭でラッセルしていたのは神奈川のテレマーカー。もうお一方は地元新潟から。何と昨年乙妻山山頂でお会いした方だった。長身を活かした大きなストライドでぐいぐいと力強くハイクアップしている。
尾根筋に出るとこの景色
スノーシューのご夫妻(左)は地元の方 驚くほどタフ
堂々とした荒沢岳
道行山山頂から銀山平を俯瞰
道程は遠い
2時間20分で道行山のピークに立った。ここからは稜線の50mほどの下り。念のためヒールを固定し、シールのまま一気に滑降する。先を行くスノーシュー組とスキーのお二人は足が速く、早くも豆粒ほどにしか見えない。
小倉山が近くなってきた
小倉山の手前まで来たところでようやく休憩中のお二人に追いつき、トップを交代する。足首ラッセルでささやかな恩返しだ。まずは小倉山のトラバース。一定勾配を保ちつつ反対側の稜線へと抜ける。その後は大展望を横目になだらかな稜線の気持ちの良い雪山ハイク。
前駒手前 スノーシューのご夫妻が先行
前駒への登りに差し掛かると、急な上に氷結個所が出てきたのでクトーを装着。駒ノ小屋直下まで来たところで今度はアイゼンに替えた。シールのままでも問題無さそうだったが、過去2回のBCで不調だったCampのTecアイゼンの調整結果を確認したくて敢えて換装。その結果は良好だった。ピンをヒールのロックポジションに確実に固定できるようにアイゼンのソール長を少し長めにセットしたことで、これまでのように脱落することは無くなった。
駒ノ小屋直下
そんなこんなで小屋直下の急登でもたもたしている間に、若いスキーヤーグループなど後続の連中に抜かれてしまい殿になってしまった。それでもほぼ予定通り、正午過ぎに越後駒ヶ岳の頂に立つことができた。
山頂到着
課題のもう一つはオツルミズ沢滑降だが、折しもガスがかかり沢の様子がわからない。願いが天に通じたのか、余り待たされることも無くガスが晴れてきた。若者4人組が先行、続いて神奈川のテレマーカー氏がドロップ。私も意を決して滑り降りた。
オツルミズ沢滑降
上部は薄い新雪の下が氷結している部分もあったが、下るに連れ底つきのしない、最高のパウダー滑降が楽しめた。左俣との分岐点まで気持ちよく滑降しストップ。時間にして数分、この束の間の悦楽を味わうために片道10㎞を登って来たようなものだ。新潟の方も気持ちよさそうな大回りで滑り降りてきた。
ボトムより振り返る
オツルミズ沢左俣を登り返す若者達
駒ノ小屋へは150mほどを50分かけて登り返し。若いスキーヤー達は駒ノ小屋へは戻らず、オツルミズ沢左俣から小尾根を乗越して大チョウナ沢の源頭へ滑り込んで行った。いったいどこを登り返したのだろうか。
大チョウナ沢源頭へドロップする若者達
午後2時25分、シールオフして下山開始。小屋直下の南東向き急斜面は陽光にパックされたせいか、引きずるように重かった。下るにつれ雪質はさらに悪化。モナカ交じりとなり、私の足前では一筋縄ではいかない難儀な雪になった。そんな雪でもご一緒していた新潟の方はスキーがお上手であっという間に後姿が見えなくなってしまった。
越後駒ヶ岳に別れを告げる
道行山にシールで登り返す
道行山へは再びシールオンして登り返し。ピークから眺める痩せ尾根の急斜面は凄まじい状況になっていた。雪面は先に降りたスキーヤーのシュプールや登山者の足跡で無残にも掘り返され、半ば凍結して殆ど雪崩のデブリと言って良い状態だ。白無垢の斜面はモナカ地獄にて論外。
下りの痩せ尾根はこの有様
最初はだましだましスキーで降りていたが、標高1100mを切った辺りでついに白旗を上げる。この悪雪で藪の急斜面はとても手に負えない。怪我でもしたら元も子もないと板を背につぼ足で歩くことにした。時刻は既に午後4時を回っている。モタモタしているとシルバーラインのゲートが閉じてしまうと気が気ではない。
帰路は歩き易さを優先し、しっかりした踏み跡のついた第一番目の支尾根経由で下った。北ノ又川沿いに降りてからは再びスキー。残念ながら下り一辺倒ではない。細かな登り坂に無情の追い打ちをかけられながら、最後の力を振り絞って石抱橋に帰着。神奈川のテレマーカー氏もほぼ同着だった。時刻は午後5時ちょうど。手早く着替えを済ませハンドルを握り速攻で下山、6時のゲート閉鎖時刻には辛うじて間に合った。
行動時間 10時間20分
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