2014年4月8日(火)
先週に引き続き、一泊二日の予定で越後の山巡りに出かけた。初日は越後駒ヶ岳。4年前の5月、百名山ピークハントの際に一度頂を踏んだきりで中々再訪を果たせなかった山だ。
午前5時30分、シルバーラインの入口に一番乗り。開門を待つ間に朝食や身支度などを済ませておく。6時きっかりに解放されたゲートを通過、殆ど全区間がトンネルと言った感じのシルバーラインを登って行く。
起点となる石抱橋には、ちょっと迷って行きつ戻りつしながらも20分ほどで到着。橋向こうの最終除雪地点には、どこで追い越されたのか先着車が一台あり。その主は私と同世代の方、私と入れ違いで出発していった。
6時40分、単独氏を追って私も北ノ又川沿いを歩き出す。ここからの眺めは素晴らしく見事だ。真っ白な越後駒ヶ岳を背景に雪解けの澄んだ流れが絵になっている。
越後駒ヶ岳遠望
暫くは雪に閉ざされた温泉施設を眼下に左岸をハイクアップしていく。今のところ天気は良さそうだが、気がかりなのは風。左手にそびえる荒沢岳山頂付近には、雪煙やガスが相当なスピードで流れている。どう見ても風速20Kmは軽く超えていそうだ。今日は弱い気圧の谷通過との予報、ある程度の悪天は覚悟しているが、問題は天候回復のタイミング。一刻も早く風が収まってくれることを祈りつつ歩を進める。
先日EVA父さんのブログで紹介されていた骨投沢の落ちかけスノーブリッジは未だ健在だった。おかげで難無く対岸に渡ることができた。
温泉や山小屋を見下ろしながら先へ進む 柳沢合流地点
程なくして道行山から派生する尾根の下部に到着。事前調べの通り、柳沢を少し登って2番目の尾根へと取り付く。すぐにかなりの急斜面となったが、幸い固めのザラメにシールがよく効いてくれる。
結構な急斜面をジグザグ登行 荒沢岳に流れる雲が早い
キックターンを繰り返しながら登って行くと、先発の単独氏が休憩していた。足回りは、かなり年季の入った輪カンジキ。越後駒ヶ岳には毎年この時期に必ず登っているそうだ。
胸を突く急登も尾根筋が近づくと緩やかになってきた。ダラダラと登り続けて道行山山頂に到着。先ほどまでの青空がいつしかどんよりとしたグレーに変わっている。遮るもののない山頂の風当たりは強い。ザックから取り出したアウターはバタバタとはためいて、袖を通すのも一苦労だ。
ゆったりした登りの尾根筋に出た 天気は下り坂
道行山山頂から明神峠方面 越後駒ヶ岳山頂付近は雲に覆われてしまった
道行山からはシールのまま稜線沿いを標高差で60mを滑り降りる。先ほどまでスッキリ見えていた越後駒ヶ岳は今やすっかりご機嫌斜め。ガスが激しく流れ、山頂近くの視界は完全に閉ざされてしまった。
小倉山は先行トレース通り山頂直下をトラバースする。頭上の雪庇を気にしつつも無事クリア。標高1300mを越えた辺りから雪面がクラストし始め、風当たりも一段と強い。不意に襲ってくる爆風には、一度ならず歩みを止めて耐風姿勢を取らされた。
小倉山 中ノ岳方面も雲の中
前駒に近づくに連れて風が強くなり、、、 視界も閉ざされ引き返すことに
ガスの切れ目に観察すると前駒の急斜面はアイスバーンでテラテラだ。歩き始めてから3時間40分、百草ノ池手前、標高1540mの地点まで来たが、どうやら今日はここで止めておいた方が良さそうだ。アイスバーンが厳しそうなので早晩スキーを担ぐことになろうが、この強風では板がめちゃくちゃに煽られるのは必至。自然に逆らっても仕方ない。悔しいが引き返すことにしよう。
吹き曝しの稜線で滑降準備に入る。降ろしたザックが風にもっていかれそうになったり、スキーもまるで「メンコ遊び」のように裏返しになったりと風の悪戯ぶりは大変なもの。シールを飛ばされないよう注意しながら剥がして滑降準備を済ませ、10時35分に下山を開始する。
クラスト、ザラメ、腐れ雪等々、雪面はめまぐるしく変化。小倉山手前で先ほどの登山者とすれ違った。彼は午後には天候回復するだろうから、アイゼン、ピッケルで山頂を目指すとのこと。その根性に脱帽、お気を付けてと別れを告げて軟弱者は下山を継続する。
雪庇が怖い小倉山のトラバース(帰途撮影)
なだらかな下り勾配と思いきや、意外に細かなアップダウンがあって疲れる。道行山の雪庇下トラバースを全速で駆け抜け、後は手漕ぎを交えて道行山との鞍部に到着。ここでシールを貼って登り返し。時折ガスが舞い降りて視界が閉ざされるので気が気ではない。
道行山山頂で再度シールオフ。山頂から滑り降りるとザラメの具合が最高だ。気持ちよくターンを決めてどんどん滑り降りていく。ところが我ながら懲りない男。往路をトラックバックするつもりが、尾根を取り違えるという、いつものミスをまたやらかすことに。
視界が悪くなってきたが、、、 雪質はまずまずで気持ちよく滑降
クレバスが進路に立ちはだかる 前日のシュプールはこの藪を突破
前日と思しきシュプールに追随して降り、どうも様子が違うと気がついた時はすでに遅し。目の前に大きな雪割れがパックリ口を広げていて先へ進めない。GPSをチェックすると南向きの尾根をだいぶ降りてきてしまったようだ。シュプールは迷った挙句、痩尾根の反対側に回って密度の濃いブッシュのなかを強行突破している。しかし白沢下部の状態がわからないし、これ以上の深追いは止めておくべきだろう。躊躇なく登り返すことに決めた。
約70mを再びシール登行して、往路に使った尾根に復帰。再々度シールオフして滑降を再開する。雪質は標高が下がるにつれて激重になってきたが、何とかコントロールできるレベル。急斜面に雪だるまをいくつも転がしながら、柳沢へと滑り込んだ。ここからはヒールフリーにして来た径を引き返すが、雪はグズグズの上、細かなアップダウンがあったりして思いの外時間がかかった。
本来の尾根に戻り滑降する
下山してもお山は相変わらず雲の中
13時40分、石抱橋に帰着。ここから眺める越後駒ヶ岳は相変わらず雲の中だ。無理せず引き返して正解だった。
行動時間 7時間
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