大源太山    1598m 新潟県        
      


2019年7月10日(水)

 一か月近いブランクを経ての久々の山歩き。このところ外国人ご夫妻のホームステイのお世話とか、何かと気忙しく山のフィトンチッドにはすっかりご無沙汰となってしまった。ようやく時間がとれたと思ったらまさかの風邪っぴき。喉がいがらっぽく咳が止まらない。

 ヘルニア由来の足の痺れもあり、ぎりぎりまで迷ったものの、最後はフィトンチッドの誘惑に負けていそいそと山支度。向かう先は谷川岳馬蹄形縦走の際、間近に眺めて以来ずっと頭の片隅にあった大源太山だ。本場アルプスは無理でもせめて上越のマッターホルンは征しておきたい。

 深夜に自宅を後にし、関越道をひた走る。群馬県の山間部に入ると無情にも辺り一面、小雨交じりの濃い霧。相変わらず咳も止まらないし、今日はやはり無理筋だった、次のICでUターンして大人しく帰ろうと弱気の虫が囁く。そんな声に耳を塞いで、ハンドルを握り続ける。

 冬期の関越トンネルはいつも入り口から出口で劇的な変化を演出してくれるが、夏場も例外ではない。国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国ならぬ「青空」だった。朝日を浴びたスキー場のゲレンデの緑が眩しい。これで下りきっていたモチベーションが一気に復活、俄然やる気モード全開となった。


林道終点の駐車スペース 帰着すると車は5台あった


 大源太キャニオンの先にある登山口の駐車スペースには一番乗り。簡単に朝食を済ませ、午前6時ちょうどに歩き始めた。暫くは杉林の緩い登り坂。山と高原地図に丸木橋と書かれた地点に着くと、橋は影も形も無く、固定ロープが渡してあった。前日の降雨のせいか水量が多い。登山靴が半ば水没したものの、辛うじて浸水は免れた。謙信ゆかりの道との分岐を過ぎて暫くするともう一か所の渡渉点。ここは水量も少なく難なくクリアする。


丸木橋跡 登山靴の水没は免れない



渡渉点 ここはチョロい


 ところで、気掛かりだった咳と痺れはどうなったか。豊かな自然に抱かれながら、フィトンチッドを胸いっぱい深呼吸すると、どんな吸入薬よりも効験あらたかだった。酷い咳き込みがピタリと治まり、足の痺れも嘘のように消えたから不思議。フィトンチッドを初めとする森林浴効果が作用しているのは間違いないのだろう。

 沢を離れると急登が始まった。それも生半可な急坂ではない。伸びきったアキレス腱の緩む間が無いほど。時には四つん這いになりながら高度差400mを最短距離で登って稜線へと出た。小休止の後、鎖やロープの設置された痩せ尾根を慎重に登り、8時15分、マッターホルンの山頂立った。


樹間から除く主稜線



スリリングな痩せ尾根



新潟県側から眺める大源太山は平凡



振り返るとこの景色 湯沢周辺はスキー場とゴルフ場で禿はげ



トンボが群れる山頂


 標高1600mに満たないピークながら眺めは絶品だ。特に巻機山の絶好の展望台になっている。景色を楽しみながら、カロリーと水分補給を済ませ行動再開。


七ッ小屋山へと続く稜線



巻機山方面



朝日岳はガスに包まれている


 七ッ小屋山へと向かう縦走路は中々険しい。山頂からはまず覗いても下が見えない程の地獄の激下り。その後は刈払いされておらず、水分をたっぷり蓄えた笹原漕ぎで水責めの刑に処せられるのだ。渡渉点では水没しなかった登山靴は今や沢靴状態。沢靴のように水が抜けないので中はグチョグチョだ。


大源太山からの下り 下が見えない



大源太山を振り返る 群馬県側から眺めると迫力十分



登山道は笹に覆われ、、、



ズボンと靴はグショグショ


 七ッ小屋山が今回のコースの最高点。標高は1675m。ここからは笹原の中を緩やかに下って行く。群馬県側から押し寄せたガスで谷川岳本峰は雲の中、その分ニッコウキスゲに始まり、次第に色とりどりの高山植物が目を楽しませてくれるようになった。



蓬峠への稜線



眺望が無い分、花が楽しませてくれる





 標高1544mの分岐点から謙信ゆかりの道に進む。この道は謙信の関東攻めの際に使われた古道を最近になって復興整備したものだとか。適度な斜度を保ったジグザグの道で膝にやさしくとても歩き易い。時計回りの周回ルートにして正解だったようだ。


1544m分岐点からシシゴヤノ頭へと向かう



シシゴヤノ頭より 大源太山見納め


 渡渉点で汗まみれの体を拭き、正午を少し回ったところで車に帰着。半日コースの山歩きながら、久々に気持ちの良い汗が流せた。しかし、気分爽快は一時だけ、帰宅するとたちまち咳と痺れが再発し、元の木阿弥になってしまった。大自然の森林浴効果はあくまで現場限り、残念ながらお持ち帰りは出来ないようだ。


行動時間  6時間15分



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