2014年6月8日(日)
関東地方は梅雨入りしてからというもの連日雨続き。ブロッキング高気圧とやらが雨雲を関東甲信越の上空に押し留めているらしい。しかし私は重症のフィトンチッド中毒患者なので、天気の回復を悶々と待つのは耐えられない。森の香りを求め、多少の雨は覚悟して出掛けることにした。選んだ行き先は、私にとっては未踏の蝶ヶ岳。日本百高山96番目の山でもある。
スキーを使わない「普通の」山歩きは久々だ。いつものように夜半過ぎにセットした目覚ましで起床。すぐにJARTICの最新情報をチェックする。気がかりだった集中豪雨による中央高速の通行止めは解除されていたので一安心。
雨が断続的に強く降る深夜の高速を慎重にドライブして、三股には午前5時に到着。日曜日なのに広い駐車スペースに車は数えるほど。梅雨の最中にのこのこやってくるのは、私同様、余程の物好きに違いない。
ゲートを出発 心洗われるような新緑
朝方にはまだ雨が残っていても稜線が見えた
5時40分、小雨のぱらつく中を、手には傘、足元をスパッツでがっちり固めて駐車場を後にした。ゲートから登山口までのだらだら登りの林道は丁度良い足慣らし。
登山者カードを提出 本沢に架かる吊り橋を渡る
案内所で登山者カードを提出して山道へと入る。いくらも歩かないうちに常念岳へ向かうコースとの分岐点に到着。案内板によれば、河川増水の場合は迂回路を使うようにとのこと。吊り橋を渡るとしばらくは沢沿いの道。幸い水量はそれほどでもなかったので回れ右して迂回路へ向かわずに済んだ。
常念岳へのルートの分岐点 水量はそれほどでもなかった
沢を離れると路は山腹をジグザグに登っていく。ほどなく有名なゴジラ君登場。以前見た写真には無かった目玉まで嵌っていた。なかなか愛嬌のある姿に仕上がっていて面白い。
これが見れただけでも来た甲斐があった
力水 ゴジラみたいな木
ここからは忍の字の登り。まめうち平らの手前で、息せき切って登ってきた若い衆3人組に追いつかれた。彼等は登山道整備の作業員。こんな天気なのに御苦労さまです。
前常念岳方面
標高2000m近くになると、そこかしこに残雪が出てきた。元々石がごろごろの路に雪が中途半端についているので歩き辛いことこの上ない。悪路に注意の表示があったが看板に偽りなし。
まめうち平 2000mを越える辺りから残雪
雪渓のトラバースが出てくる頃になると、残雪が優勢となって今度は踏み抜き地獄の始まり。いきなりズボッと太腿まで嵌ったりするのでかなわない。
雪渓のトラバース
2300m辺りで先行の男女二人組に追いついた。彼等はアイゼンを効かせてガシガシと登っている。ここからは一段と傾斜を増した雪渓をほぼ直線的に登ることになる。今回、気休め程度の簡易アイゼンしか持参しなかったので、キックステップのままで頑張ることにした。つま先を蹴り込んで足場を確保しつつ、一歩一歩慎重に登っていく。
雪の急斜面を登りきると、、、 這い松の稜線に
出発から3時間50分で蝶ヶ岳ヒュッテ到着。地図をろくすっぽ見ていなかったため、山頂と勘違いしてそのままヒュッテの北側にある小高いピークへと向かうが、そこは山頂ではなく瞑想の丘だった。ハンガーノック気味だったので山頂は後回し。早目のランチタイムとする。
蝶ヶ岳ヒュッテ 展望指示盤
梓川方面の展望が辛うじて開けた。新緑が美しい
展望は梓川方面が少し開けているだけ。常念岳がちらりとでも姿を現さないかと期待するが、無風に近い状況ではガスは動きそうにない。さてこれからどうするか。まだ10時前なので常念岳を経由して周回するオプションもある。しかし展望は絶望的だし、午後からは雷雨という予報も出ている。今日は大人しくピストンにする方が無難というもの。
蝶ヶ岳ヒュッテに戻ると先ほどの二人がベンチで休んでいた。今日の予定を聞くと大滝山に行くつもりだったが、ノー・トレースだったので止めにした由。彼等と別れた後は、ガスの立ち込めた山頂へ立ち寄ってお義理のようなピークハント。
山頂に立ち寄り、、、 雪の急斜面を下山
そのまま休むことなく下山を開始する。雪渓を下る前に念のため簡易アイゼンを装着しておく。雪の斜面を歩いて下るのは久しぶりだ。雪質といい、斜度といい、スキーがあればとつい未練がましく思ってしまう。
ようやく夏道が出始めたところで、休憩していた若い男性二人組に出会った。結局この日、同じコースを歩いたのは山仕事衆を除けば私を含め5人だけということになる。
石だらけの悪路にさしかかる前にアイゼンを外しておく。まめうち平周辺では先の若い衆が登山道整備の真っ最中。「御苦労さま」と感謝の気持ちを伝えて下山を続ける。
下るほどに濃くなる緑に癒される。午後1時を少し回ったところで駐車場に帰着。多少雨が降ろうが、眺望ゼロだろうが来て良かったと満足感が沸々と湧き上がってきた。
しかし、翌日は久しぶりの酷い筋肉痛。太腿が痛くて階段を下りるのに四苦八苦する有様で、つい先週まで毎週のように山スキーに出掛けて大腿四頭筋を酷使していたのは一体何だったのだろうと思うほど。筋肉の使い方と負荷がスキーと歩きではこれほど違うのかと文字通り痛感したのでした。
行動時間 7時間25分
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