茶臼岳   栃木県 1917m       百名山   
 

2016年10月22日(土)

 紅葉が見頃と聞き、期待に胸を膨らませて実際に現地を訪れてみたものの、タッチの差でピークを逃してしまった、とはお決まりのパターン。参考にする山行記録は早くても翌日以降の事後報告、またそれを見てから行動を起こすまでのタイムラグを考えれば、当たり前かも知れない。今回歩いた紅葉狩りの名所、那須も標高の高いところはその例の一つになってしまったようだ。

 まだ夜の明けやらぬ午前5時過ぎに沼原池の駐車場に車をとめる。広大な駐車スペースに先着の車は数えるほどで、ロープウェイ利用客で大混雑する那須高原側とはえらい違いだ。

 明るくなるのを待ち、5時50分に車を後にする。茶臼岳(白笹山経由)と書かれた案内板に導かれるまま山道へ。道の両側には背丈を越す笹、頭上には高木が生い茂る薄暗い登山道を黙々と登る。


            案内に従って白笹山へ                         笹の群生地を抜けていく


 しばらく登ると、眼下には沼原池、その後方には朝日で赤錆色に染まった黒滝山など塩原方面の山並みが望まれるようになった。


                沼原池                                眺望の無い白笹山 


 標高差500mに一汗かいたところで、文字通り笹に囲まれ全く展望の無い白笹山に到着。ここには先行していたハイカーが一人。茨城から来られた私と同年配の方で、彼とはその後も同じ道程を抜きつ抜かれつしながら最後までご一緒させてもらうことになる。

 白笹山から南月山へは、背の低い笹とハイマツの明るく気持ちの良い尾根道だ。下界を俯瞰すると東側は見渡す限り雲海が広がっていた。天気は下り坂、下山する頃にはこの雲海が西側にも押し寄せ、沼原池も覆うようになる。


            雲海の広がる那須町                            一部紅葉する山肌


 南月山の頂に立つとこれまでの草木中心の風景から一変し、いかにも火山帯らしい荒涼とした景色が広がった。目の前には側面から白い噴気を上げる荒々しい茶臼岳が聳えている。


南月山から茶臼岳を望む



茶臼岳東面裾野の紅葉は終盤



噴煙を上げる茶臼岳


 歩きにくい火山礫の道を進んで行くと日の出平で沼原池からのショートカットに合流。この辺りから今までの静寂が嘘のように人通りが多くなる。噴気を間近に望む牛ヶ首にはロープウェイで登ってきた大勢のハイカーで賑わっていた。ここから先は山と言うより観光地だ。


牛ヶ首より茶臼岳を望む


 ディズニーシーにあるシンボル火山にでも登るかのような、軽装の観光客に交じって茶臼岳山頂へと向かう。老若男女のなかには、小さな子連れのカップルが多い。それも何故か山ガール予備軍の元気な女の子ばかり。男の子はいったいどこに消えてしまったのだろうか。


茶臼岳を歩くハイカー


 午前9時ちょうどに茶臼岳山頂に到着。百名山ハントに躍起だった2010年の春以来、2度目の頂だ。しかし余りの喧騒にゆっくりもしていられない。次から次に押しかけるハイカーに押し出されるように山頂を後にした。富士山をミニチュアにしたようなお鉢をぐるりと周回し、峰の茶屋へと向かう。


               茶臼岳山頂                           雲海がどんどん広がっている


 高みから見下ろす朝日岳の東面一帯の紅葉を楽しみにしていたのだが、完全に期待外れ。やはり一週間ほど時機を逸してしまったようだ。


朝日岳と三本槍岳



朝日岳東面裾野の紅葉も盛りを過ぎている


 峰の茶屋からは無間地獄を経由して再び牛ヶ首へ。ここから眺める姥ヶ平方面には少しは紅葉が残されているようだ。期待を胸に牛ヶ首から一気に下る。


無間地獄の噴煙


 姥ヶ平から木道を辿った先にある、ひょうたん池から眺める茶臼岳の紅葉がこの日のハイライト。盛りを過ぎてしまったとは言え、赤く色づいた木々とハイマツの緑、荒々しい茶臼岳のコラボという自然の造形は期待に応えてくれた。


ひょうたん池より



同上


 姥ヶ平へと引き返し、ベンチで昼食をとるハイカーを後目に下山する。単調な道だが、下るに連れて見頃になってきた紅葉に加え、途中でご一緒した茨城の方と山談義をしながら歩いたので退屈することもなかった。


標高1300m辺りは見事な紅葉



同上



駐車場近くの紅葉


 最後は沼原湿原巡りをして11時50分に駐車場に帰着。やや時期を外した感もあるが、それでも那須の紅葉は十分見ごたえがあった。それに温泉にも大満足。今回、道すがら立ち寄ったのは板室温泉。大正村幸乃湯の豪快な露天風呂で気持ちよく汗を流し帰途についたのだった。


行動時間  6時間


注 写真はコントラストを加工しているので視覚以上に鮮やかです。誤解なきよう悪しからず。



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