愛鷹山(越前岳)  神奈川県 1504m   二百名山 
  

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 先週塔ノ岳から富士山の南側のすそ野に聳える山塊を見た。丹沢とほぼ同じ高さで妙に存在感がある。帰宅してから調べると、ニ百名山の一つである愛鷹山だった。この山塊には9つの山があるが、愛鷹の名を付した山は標高が低く最高峰の越前岳をもって二百名山としているらしい。それにしても静岡県に位置しながら、なぜ越前というのだろうか。何はともあれ自宅から車で1時間半程度の近場であるし、さっそく行ってみることにした。最もポピュラーな登山口は十里木高原からであるが、ここから越前岳を往復するとせいぜい3時間程度のハイキングになってしまう。そこで越前岳からはやや遠い愛鷹山登山口から登ることにした。

 東名の裾野ICを下りて24号線をサファリパーク方面へと向かう。愛鷹山登山口と案内のある入口を左折して実際の登山口、山神社へは午前7時に到着した。駐車場には軽自動車が一台あるだけで閑散としている。715分に出発。登山道は駐車場からすぐに始まる。鬱蒼とした杉林の山腹を緩やかに登っていくと、やがて無人の愛鷹山荘が見えてきた。何となくアットホームな感じのする山荘だ。さらに一登りすると尾根筋へと出た。ここは越後岳と黒岳の分岐点の富士見峠だ。時間も早いしせっかくなので黒岳へピストンすることにした。標高差200mの結構な登りが続くが、途中で富士山を一望できる見晴らし台があったりして良い気分転換になる。ここからは一切の障害物無しに至近距離の富士山を眺めることができた。いつも東側から富士山を眺めているので南面から見る富士山と広大な裾野の風景は新鮮だ。時々大砲のような音がしているが、自衛隊の演習なのだろうか。黒岳山頂は広々していて御殿場方面に張り出しているので、富士山はもとより丹沢方面が一望できる。ここで本日初めてハイカーと出会った。おそらく同じ駐車場に車をとめた方だ。


                 登山口                              戸建住宅のような避難小屋



            越後岳への分岐                                  黒岳山頂



 眺望を楽しんだ後は再び来た道を戻る。高度差200mを返上して再び越前岳、須山登山口への分岐へと戻った。ここからは右手に富士山と広大な裾野を眺めながら高度を上げていく。初めはちらほらとしか無かった雪が次第に登山道を覆うようになってきた。気温が低いせいか雪道は硬く締まっていて、とても歩きやすい。胸を突くような急登もない。登るにつれて尾根が次第に痩せてきた。左手には谷を挟んで鋸岳の怪異な岩峰群が垣間見えるが、そうしたところは険しい崖になっているので要注意だ。崩壊地の危険箇所には所々ロープが張ってある。尾根道のハイキングを楽しみつつ920分に広々した越後岳の山頂に着いた。頂きには3名が休憩していた。皆さん揃って私同様単独の中高年だ。十里木高原の登山口から登ってきたらしい。残念ながら北側には低木があって富士山の全体像は拝めないが、ここからの南アルプスは絶景だ。目を凝らすと最北の甲斐駒ケ岳から最南部までがそろい踏みしている。先日訪れた毛無山の方が南アルプスに最寄であるにも関らず、ビューポイントとしてはこちらの方が勝っているように思った。目を転じると遮るものも無い南西方向には駿河湾と富士市が一望できる。伊豆半島の山々も見えてはいるが、逆光の上、海沿いは水蒸気が多いせいか霞がかかっているのが残念だ。


             鋸岳の険しい山容                             次第に雪道に



富士見台から(傾いているのは富士山、それとも自分?)



 ここから富士山に背を向けて呼子岳へ向けて歩きだす。駿河湾を眺めながら痩せ尾根を急降下していくと鋸岳が正面に見えてきた。文字通り鋸状で思ったより険しいようだ。須山への下山路分岐を過ぎて一登りすると呼子岳の頂上に着く。ここからしばらく下ると愈々鋸岳の岩峰群が目の前に迫ってきた。蓬莱山に着くとここで行政(裾野市)からストップがかかった。掲示板には鋸岳へのルートの崩壊が激しいので登山は遠慮せよとある。さてどうしたものか。状況次第で位牌岳を往復するつもりだったが、甘かったらしい。このまま回れ右も癪だし、まだ時間もある。と言うわけで何時もの悪い癖が出た。ちょっとだけ様子を見てこよう。この先はあまり人が入っていないらしい。踏み跡は格段に薄くなった。岩場のトラバースにつけられた鎖は錆びていてしかも細い。どうも今ひとつ信頼がおけない。最初の岩峰を登りきった所で古いロープに導かれ「誤って」細いルンゼを少し下ってしまった。脆い岩と根の浮いた植物の頼りないホールドしか無い。これは明らかにコースではないと気付いて必死の思いで引き返した。それでも懲りずに再び痩せ尾根をしばらく進む。鎖といい道といい、どうやらメンテナンスされていないことは明らかだ。やっぱり無理は止めよう。鋸岳まで行きつけても帰りが大変だ、等と色々理由をつけて引き返すことに決定。安易な方向への決断は早いのだ。


         可愛い御地蔵さんの呼子岳                        蓬莱山にある裾野市からの警告



鋸岳は予想以上に険しい



 先ほどの掲示板まで戻ってくると単独が一名地図を広げながら進むべきか迷っている。状況を説明すると諦める方向に判断が傾いたようだ。彼に別れを告げ須山へ下山することにする。分岐まで来たところでカメラケースの蓋が開放しであることに気がついた。中身をどこかに落としてきてしまった!すぐに引き返すことに。幸い
50m位登り返したところで泥まみれになったデジカメを発見。これで2度目だ。前回は丹沢で後続のハイカーに拾ってもらった。次回は3度目の正直なので、出てこないだろう。今度こそケースを何とかしないと。再び分岐へと戻り、石だらけの大沢沿いを下る。日陰なので雪が融けずに残っていて滑りやすい。スリップに気をつけながら黙々と下り続けるとやがて林道に出た。ここから登山口まで杉林のなかを歩き1150分に駐車場へ帰着した。


行動時間  4時間35分
歩行時間  4時間

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