阿弥陀岳  2805m 長野県      
 

2018年8月17日(金)

 八ヶ岳、特に南八ヶ岳は私のお気に入りの山域。若い頃もよく通ったので、どこも歩きつくしてしまった感がある。しかし改めて地図を眺めてみると一般登山道で歩いた記憶の無い尾根が一つあった。阿弥陀岳の西に派生する御小屋尾根だ。サンデー毎日の身軽な身、早速行ってみることに。折角なので2年前に初挑戦した南稜から登り、阿弥陀岳経由、この尾根を下山路として使うことにした。

 お盆時期の高速渋滞を避けるため、午前中には下山したいということで、出発は午前4時35分。まだ闇に包まれた舟山十字路を後にした。ゲートを越え、暫くは舗装された林道をゆるゆると登って行く。

 やがて右手に分かれる踏み跡が出てきた。確か2年前は立ち木に阿弥陀岳南稜と書かれた道標があったはずだが、、、と訝しく思いつつ踏み跡を辿って行くと見覚えの無い堰堤の真下に出た。しかも広河原沢は前日の降雨の影響で水嵩はかなり多い。林道まで引き返そうかと弱気の虫が顔を出す。しかし南稜はバリエーションルートだけに、取り付き点の踏み跡にもそれなりのバリエーションがあるのだろうと思い直して先へ進んでみることにした。


ここを右折してしまった 記憶は当てにならない


 靴を半ば水没させながらも何とかソックスを濡らさずに渡渉に成功。すぐに胸を突く急登となる。四つん這いになりながら細々と続く踏み跡を追い、10分ほどで記憶にある立場岳の尾根に出た。帰宅後チェックすると前回の分岐点は50mほど先だったようだ。


尾根筋に出た ここは見覚えがある


 ここからは一本調子の尾根歩き。吹き荒れる強い風に木々が騒めいているが、深い原生林に守られ、顔に当たるのはむしろ心地よいそよ風だ。次第に下草は厚い苔の絨毯にとって替わるようになった。木漏れ日がスポットライトになって苔の緑を美しく際立たせている。正に自然の造形美だ。


森の散策



ため息がもれる


 スタートから2時間少々で立場岳を通過、すぐ先にある青ナギまで進んで小休止。ここは絶好の展望台だ。これから向かう阿弥陀岳を初め権現岳など南八ヶ岳の名峰が一望の下にある。風が冷たく寒さ慣れしていない手先が凍えそうなほど。たまらず手袋とウインドブレーカーを身に着けた。


権現岳がどーん



青ナギの先には阿弥陀岳がどーん


 この先のピークを越えると稜線はやせ細り岩稜帯を歩くようになる。ヘルメットを被り、トレッキングポールをザックに仕舞い、戦闘準備完了。


さらにズームアップ



樹林帯を抜けると岩稜帯



今日は下界も良く見える


 P1、P2は左から巻いて難なくクリア。P3の基部をやはり左にトラバースすると愈々本日のハイライト、ガリーの直登だ。前日の雨のせいか、かなりの水が流れ落ちており濡れた岩が滑りそうでいやらしい。滑落すれば一巻の終わりとなること間違いなし。


P2を左から



ゴリラの頭のようなP3 前回は龍が寝ているように見えた



基部を左にトラバースし、



P3ガリーへと向かう



固定ワイヤー 頼らなくともホールドはふんだんにある


 ホールド、スタンスを確実に確保しながら慎重に登って行く。斜度は幾分か緩くなってくると草付きが混じってくる。棚田のようにフラットな足場が出てくるとこのガリーも終盤だ。その後も崩れやすい急な岩稜が続くので緊張が解けない。


草付きまで登ってきた


 最後のP4を慎重に巻くと四つ足登行も愈々フィナーレ、8時50分、阿弥陀岳の山頂に立った。山頂にはハイカー数人だけとシーズン中にしては静かなもの。抜けるような青空の下、中部山岳全てが勢揃いの大展望を堪能しながらの贅沢なランチタイムとなった。


山頂直下 岩が脆いので最後まで気を引き締めて登る



阿弥陀岳山頂より赤岳を望む



同横岳



北八ヶ岳



富士山と権現岳



中央アルプス



南アルプス


 帰路は初踏破となる御小屋尾根。中央綾との分岐を見送り、ガレ場のような足場の悪い急坂を下って行く。息もつかせぬ600mの急降下の後は気持ちの良い尾根歩きとなる。フィトンチッドを全身に浴びながら、なだらかな森の散策だ。


御小屋尾根を俯瞰



明るく気持ちの良い散歩道



無事舟山十字路に帰着


 御小屋山から先は次第に道幅が広くなってきた。斜度が無くなったところで唐突に舟山十字路のゲート脇に出た。11時25分車に無事帰着。山の余韻を咀嚼する間もあらばこそ、着替えを済ませ、速攻でハンドルを握る。それでも小仏渋滞に巻き込まれた。4Km渋滞で済んだのはまだ僥倖というべきか。


行動時間  6時間50分



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