会津駒ケ岳BC  福島県 2133m   百名山    
   

2019年4月28日(日)

 このところ笠ヶ岳や平ヶ岳など、尾瀬をベースに春の山歩きを楽しんでいる。こうした山の高みから常に視界に入っていたのは南会津の白くたおやかな峰々。脳裏にしっかり焼き付いたイメージは意識せずとも次第に形になるもの。私が次に向かいたいと思う山は、往々にしてこうした刷り込みで決まってしまうのだ。かくしてスーパーGW前半唯一の山日和に、この山域の盟主、会津駒ヶ岳を訪れることとなった。

 早朝6時過ぎに桧枝岐に到着。滝沢登山口最寄の登山者用駐車場に車をとめた。広い駐車場は早くも七割がたが県内外の車で埋まっている。6時25分、三々五々出発していく登山者に交じって私も車を後にした。歩きながら、大戸沢岳南東尾根の積雪状況を観察すると、尾根の下部には殆ど雪がない。実はこの尾根を下山する腹積もりだったのだが、とても無理、源六郎沢に寄り道しながら大人しく夏道を往復することにした。


滝沢登山口 周辺の雪は前日の降雪


 登山口から林道を100mも行かないうちに除雪区間は終了。その先も途切れ途切れの雪道なので、背負った板は降ろさずツボ足でハイクアップする。小一時間歩き、ようやく林道の終点、階段を前にした登山口に着いた。この先の夏道も急坂の上、断続的に雪切れしており、とても板は背から降ろせない。


林道を行く



登山口


 標高1330mまで高度を上げると漸く急登が一段落。雪も完全に繋がったのでシール登高に切り替えた。大勢のツボ足登山者と相前後しながらスキーで登って行く。このところ人跡稀な山歩きばかりしているので、常に周囲に人がいるのは不思議な感覚。面白いことに直登するツボ足とジグザグのシール登高は、ほぼ同じペースなのだ。しかし結局はスキーの勝ち。踏み抜きに苦戦するツボ足組は次第に遅れ出し、いつしか遥か後方となってしまった。


下山時には登山道の雪は完全に融けていた



ブナの森を歩く



滑る予定にしていた大戸沢岳南東尾根が見える



反対側には燧ヶ岳


 ブナからシラビソへと植生が変化し、そのシラビソも疎らになると山頂が近いこと教えてくれる。広い雪原には目印となる赤いポール。どうやらこの目印は、駒の小屋へと導いているらしい。これを無視し、トラバース気味に最短距離で山頂へと向かう。山頂直下の急斜面は部分的に氷化。安全を期してクトーを装着し一登り、10時15分、会津駒ヶ岳の頂に立った。


山頂を展望 滑降したのは山頂右下の樹林



燧ヶ岳は先週よりも白くなっている



平ヶ岳や越後三山をバックに



中門岳 そのバックは守門岳や浅草岳?


 予定していた大戸沢岳南東尾根滑降は没になってしまったが、往路を戻るだけでは芸が無い。Plan-Bの源六郎沢滑降に予定を変更。広範囲に氷化している斜面を避けるため、大戸沢岳への稜線から南向き斜面へと回り込み、源六郎沢源頭部へと滑り込んだ。前日の新雪が早くも沈降し、パウダーやザラメのように気持ちの良いターンは出来ないが、それでも十分楽しい。


大戸沢岳への稜線を滑降し右手から源六郎沢へ



貸し切りの快適ツリーラン



どんどん落ちる



更に落ちる



まだ落ちる


 標高差300mはあっという間、標高1800m辺りまで滑り降りるとV字谷となってきた。この先、沢割れのリスクもあるので、深入りせずここでストップ。再びシールを貼って登路の尾根を100mほど登り返した。尾根筋に出たところでシールオフ。トラバース滑降して夏道に復帰した。その後は陽光と気温上昇でターンもままならない重く腐った雪に苦労しながらのツリーランとなった。


登り返しの最中に見た珍光景 環水平アークという大気光学現象らしい



登り返しの最中、ボーダーが奇声を上げながら降りて行った 彼は一体どこを登り返したのだろうか


 標高1270m地点でスキーは終了。板を背にすっかり泥濘と化した夏道を慎重に下った。午後1時10分、駐車場に無事帰着。累積標高差1000mの滑走が出来たものの、満足度は今一つ。山頂から麓まで板を外すことなく通しで滑走を楽しむにはやはり、3月中辺りが限度かもしれない。


行動時間6時間45分


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